※過去に日記で書いたことのある♂×♂
※エロ表現あり
※長いです
お題:
腐乱犬様
スクロールOK?
スクロールGO↓
月の薄暗い灯りだけで浮き彫りになる手の平に載るティッシュ。
非生産行為の証ともいえるものがティッシュの中に包まれている。
それは間違いなく俺が出したもので。
一体、この非生産行為に何の意味があるというのだろうか。
「・・・・敬幸。」
カチッ、軽い音を立てて炎を点したライターに煙草の先をつけて煙をたてる男。
ボクサーパンツのみを身に纏った男はゆっくりと様になる仕草でシーツを身体に巻く俺を見た。
「何?」
この男も俺と同じく非生産行為をした。
本来なら、異性である女と行う行為である筈なのに。
異性である女と行えば、生産行為となる筈なのに。
同性である俺と行うが為に非生産行為となってしまう。
そこに意味など存在しているのだろうか。
「・・・もしかしてお前、罪悪感に見舞われてる?」
何も返事せず、ただ手の平のティッシュを見つめる俺に気付いたらしく、男は特有の薄い笑みを浮かべていた。
燃えていく煙草から煙が漂う。
燃えて固形としての存在が消え、煙に姿を変えて漂い、気体としても存在が解け消える、煙草。
そうなっていく運命のそれに意味があるのか。
所詮、消える運命。
なら、何故生まれた?
この非生産行為をもし、生産行為として行っていたら、ティッシュに包まれる白い液体が生命となっていたら全ては正解なのだろうか。
所詮、いずれ死に消えていく運命。
なら、何が正解だ?
「・・・・敬幸は、罪悪感を感じるか?」
「さぁね。でも、俺達は悪くないよ。」
有害な煙を吸い込んで一度溜めてから長く吐き出すと、薄い笑みを浮かべたまま俺の方へ身を乗り出した。
口元は弓なりに口角が釣り上がっている。
自分が優位に立っていると確信している表情。
「悪いのは、俺達を生み出した神様でしょ?」
俺達を男にした神が、非生産行為とした神が、生命となるものを殺した神が。
神が全て悪いのだろうか。
神がそう定めなければ俺は罪悪感に、背徳感に背中を撫でられることもなかったのだろうか。
「ねぇ、早稲。生まれ落ちた時に人が何で泣き叫ぶか、知ってる?」
何処か楽しげに煙草をふかしながら話す敬幸に、聞き入るしか俺は出来ない。
煙はあてもなく彷徨い揺らめくだけ。
「よく、この世に生まれ落ちたことを悲しんで泣き叫んでるって言うけど、それは違うんだよ。本当は神様から逃げられたことを喜んで泣き叫んでる。けど、蓋を開けてみればビックリ!神様はこの世にもはびこってるし。」
逃げ場がない、とはまさにこのことだよね、と言いながら煙草をくわえて薄い笑みで敬幸が笑う。
黙って俺は敬幸を見つめる。
神が人を生み出して性で縛り付け、常に傍に置いて逃げられないようにする。
何処に行っても神は存在し、その名を知らしめている。
そう、逃げ場などない。
全ての始まりは神からだというのに。
「そうだ、早稲。神様に見せ付けてやろうか?」
変わらず楽しげに話す敬幸は、まだ半分程の長さを残す煙草を灰皿に押しつけた。
座り惚けている俺に近付きティッシュを奪い取ると、その中に包まれている俺が出した非生産行為の証を指で掬い舐めた。
【神を犯す日】
(神なんか信じてねぇだろ)
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