「ブロッケンは?」
「ハミガキでござる」
いきなり顔を覗かせたバッファローマンに番茶を啜っていたニンジャが振り向きもせず応える。
「あれ、泊まりと言ってなかったか?」
不思議そうに尋ねるアシュラマンに応える事無く、ぺとぺとと背後からやって来たJr.に向き直る。
「あれ、バッファ泊まりじゃっうわっオイっコラーっ!」
ひょいっと、Jr.を肩に担ぎ上げ「今夜は冷えるからな」
と言い捨てるバッファローマンに、ニンジャは冷たく一言。
「主だけのようだがな」
「コラーはなせーおろせー」
ギロッとニンジャを睨むとバッファローマンは、本気ではないJr.の抵抗を受けながら自室に向かって行った。

「なんだよーバッファの奴、態度悪いな」
完全無視状態のアシュラマンがぼやく。
「まったく、大人げないでござるな。てでぃべあが欲しいのなら、もう少し可愛くあれば良いものを、フンッ、素直でないでござる」
「───てでぃ…」
ニンジャから出た[てでぃべあ]と云う言葉に暫し考える。
「あ。そうか、なるほどな。」
思い当たりニヤニヤと笑い出す。
「そりゃ、寒いだろうな」
「でござるな。まぁ、あやつを振ったおかげてブロッケンに被害が少々生じたがな」
「ブロッケンなら良いだろ」

「バッファ、酒臭ぇ〜…」
押し込められたバッファローマンの寝床から顔を出し、Jr.がぶつぶつと漏らす。
「うるさい。黙って寝ろっ!」
ばふっと、布団をかけられるが再度顔を出しバッファローマンを見て、
「…寒いんなら、何か着りゃ良ーのに」
上半身に何も着ていないバッファローマンに当たり前の事を言ってみる。
「ソレとコレは別問題なんだよ」
「ふーん」
別に良いや、と云うようなJr.の隣に潜り込んで来たバッファローマンは、Jr.を抱き寄せる。抱き込まれたJr.は、腕をバッファローマンの肩に回しヨシヨシと云うようにその肩を撫でる。
「───お前、血の気の割に冷てーな」
「ん。平熱は低いんだ」
ニヤッとしてバッファローマンの胸に顔を埋める。
「バッファのが、あったかいよな」
くっくっくっと肩を震わせるJr.を強く抱き、失敗したと云うように短く舌打ちをしてバッファローマンは眼を閉じた。

最初の目的とは逆になってしまったが、このコドモを暖めながら寝るのは悪くないと思いながら。






Juliet
Song by.THE ALFEE
2005/01/31