「あの人の傷みを受けることが私の幸せだったの」
深夜、帰宅途中のアートを待ち伏せしていた女は一人の男を捜してくれと懇願した。
「なにも出来ない臆病な僕に彼は優しくしてくれたんだ」
普段、一般人からの依頼を受けないハニーは渋い表情のまま彼の頼みに耳を傾けた。
「今は耐える時なんだと、私があの子に説いてきたんだよ」
大切に思っていた子がいなくなってしまったと、その見た目より歳を重ねているらしい一見客の話しをマスターとコネコはなんとはなしに聞いていた。
「弟のように思ってきた。アニキの俺があいつを守ってやるんだと産まれた時からずっと心に決めていた」
人を捜して欲しいとやって来た青年は擦れた仕草を見せながらも、便利屋たちの胸にと訴えかけた。
「好きなの。今も。とても大切で、とても好き。だからあの人が幸せになるチャンスを逃したくないの。お願いします。あの人を捜してください」
青春の薫るセーラー服はその骨ばった体躯とあいまい、初恋のような永遠の恋を探偵たちに見せつけた。
五人の依頼人。五人の人間が捜す男。
「同じ奴かも?」
それぞれのかすかな手掛かりは五つの手掛かりとなり、ターゲットへの道を作る。ノーウェアをベースに五つのチームが一つになった。
「共通するのは、みんなターゲットの幸せを願ってるんですね」
それぞれの五人はなぜ彼を捜すのか、理由は「彼が幸せになるため」だった。
「こんなトコになんのご用?」
「ナイスが言わなかったことがあるだろう」
便利屋たちはレシオの伝である精神科医を訊ねる。
「突き放しちゃイケないって思っただけよ。別にヒマだったし」
言い訳のように捲し立てるハニーにスリーは静かに頷いて見せる。
「なんだかなあ」
「なんだか。でした」
「疲れてた。あの人」
「エスとエムの縺れ。には見えなくて。ナイスならきっと何か分かるかなって思ったんだよ」
「同じ奴。って言ったろ」
見つけ出したターゲット。
そこに集った依頼人たち。
六人の前で探偵が解く謎は五人の依頼人を満足させるものだったのか。
『メイソウダダイズム』
(オールキャラ小説本)
A5 コピー 44P(予定)
なんてな。
あらすじつかあおりみたいな