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紫式部観察日記(8)



「ど、どきどきする俺」

「ばか、これからだぞ!」

「そうか、そ、そうだよな!」

「大丈夫!帝は今『学園天国』でノリにノッてる筈だ!」


ざわざわと落ち着きのないここは、特設ステージ裏舞台。
肝っ玉のちっちぇえボンクラ達は、お披露目直前で縮こまりまくり。


「あそこが?…ぷっ。」


くだんない下ネタに、一人で思わず噴き出した。
やべ、今のちょっとおもろ過ぎる。
(別にそこまでじゃない)


「師匠!ろーらーすけーと準備万端です!」

「おーし、オケオケーイ。」


何とか間に合ったローラースケート(もどき)を皆に配り終わったミッチェルが、妙に華麗なローラーさばきであたしに駆け寄る。

お前、密かに練習したな。


「おーし皆の者!これからはあんた達が花形だ!巨人の星に負けないくらい、ホームランかっ飛ばして輝いてこいよ!」

「うおおおおお!」


すでにゲンジとは程遠い雄叫びが上がったとき、ステージの照明が落とされた。
(蝋燭が消されただけ)


『……♪壊れやすーいーもーのばかーりー♪』

「きゃあああああっ!」


敢えてスローなテンポで始まるガラスの十代に合わせ、一つ、二つと灯っていく明かりと共に。

何故か上がった黄色い声と。

ぱあんっ。
ぱん、ぱあんっ。


「…花火まで上げますか。」

「ふふん、あたしをナメてもらっちゃあ困るよ、君。」


上がった花火に感嘆した裏方に、鼻を鳴らして胸を張るあたし。

ぐーるぐーるとステージを暴れまくるとんちんかんなボンクラ共を嘲笑いながら(酷い)、悪代官さながらに高笑いをしてやった。


「一番の功労者はあ た し!一番輝いてるのもあ た し!」

「なかなかの悪よのう、お主。」

「ふ、そこんとこわかっちゃってるあんたもね。」


奴等の晴舞台そっちのけで密かに黒子と絆するあたし。


「あ、ミッチェルが転んだ。」

「ひいいいい!坂田のご子息様が、は、鼻血を…!」


最前列でうちわを振らされていた紫が叫んだと同時に、こっちを見てからまた叫びだす。

うっせえ女だな、マジで。
(とにかく酷い)


「あひいいい!こまち殿、どなたと肩を組んでらっしゃるかわかっておりますか!?」

「はー?黒子そのいちでしょ?」


だってこいつ、黒子のカッコしてるし。

とか、あはあはミッチェルの無様さに笑いつつ返したら。


「その御方は、帝のお付き頭の方ですよ!」

「あ、初めましてこまち殿。」

「あ、そうなん?ちーッス。」

「軽っ、軽過ぎですよ!」


紫が泡噴くんじゃねえかってくらいに、大憤慨してるのにまた大爆笑して。


「帝もきっと、今回の生誕式典に大満足なことでしょう。どうですかこまち殿、今度、帝とお会いになられては?」

「マジでーいいよー。」


うやむやに終わった生誕式典を足掛かりに、あたしはどうやら、大船にうっかり乗っかってたりした。

あたし、マジやるじゃん!





/続く。


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久しぶりに更新したら、
ひっちゃかめっちゃかになりました(笑)

取り敢えず、
全く
紫に敬意とか表してたりしません(・∀・)

紫式部観察日記(7)

帝生誕式典当日。

会場内は和やかながらも厳かに、琴の音色が雅やかに流れる中、風流に和歌が詠み交わされ……



て、いる訳ではなかった。


「皆ーノッてるかーい!?」

「イェ──────イッ!!!!!」

「Hey!」

「ヘイ!」

「Hey!」

「ヘイ!」

「Hey!」

「ヘイ!」

「Hey!」

「ヘイ!」

「「He──────y!」」

♪あいつもこいつもドイツ人ー
あの子ーをー
狙っているんだよー♪


若干の間違った歌詞に乗せて、学園天国がノリノリで流れる。
いいね、あいつらわかってんね!
掴んでる!
キョンキョンを掴んでるよ!

只今、出し物真っ最中。

キョンキョンを歌うは、我が数学塾に通うボンクラ共のオヤジ達。
(こまちに感化された)

あーおっかしー。
こいつらマジ、ノータリンでしょ。

そんなことを思ってげらげら大爆笑してれば、いつの間にきたのか、ミッチェルが隣で鼻息を荒くしていた。


「流石ですね、師匠!」

「そーお?」

「はいっ、こんなに盛り上がった生誕式典は初めてですよ!」


そりゃまあね、平安だしね。

まさか、キョンキョンの歌でうちわ片手に盛り上がるとは、誰も思わんわな。

どうでもいいけど、この空気で誰かしら帝を祝ったりしてんの?

…絶対ないだろ。


「で、帝とやらは?」

「はいっ、あそこに!」


ミッチェルが指差した先。


「イェ───────!大臣サイコー!!!!!」


最前列で踊り狂うノリノリな帝と、


「あああああっ、帝、そのような真似はおやめください!」


縋るように泣きながら頼み込む、けど、頭には『LOVE★キョンキョン』と書かれたはちまきをほぼ強制的に巻かされた紫が、そこにはいた。


「『乱れゆく この世を憂いて バカを見る』」

「おおっ、和歌ですか師匠!」

「うーん…標語?」

「標語かあ!やっぱり師匠は一味違いますね!」


バカを見てんのはお前もな。

そうは口にしなかった。





/続く。


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割りとサバけた感じの平安京。
紫以外の人は
どうやら、
新しいものに
抵抗とかはないみたいです。

帝生誕式典、
まだまだ続きます(・∀・)

紫式部観察日記(6)

♪リーラーの咲ーくー頃ー
バールセロナへー
WowWowWowWow
きっとー×3ー♪

♪壊れやすーいーもーのばかーりー
あーつめてーしーまーうよー
輝きはーかーざーりじゃなーいー
ガーラスのー10代ー♪


「はい、ストーップ!そこ、リンダ!テノール外れてるから気をつけて!」

「ソーリー、ミス・こまち!」


今日の数学塾、
皆でゲンジってます。

何か?
帝の誕生会あるとかで?
あたし、知らないうちに出し物(?)担当になってたらしいから?

ゲンジメドレーをプレゼントフォー帝!
みーたーいーなー?
(数学塾皆で合唱)

ソロで『少女A』振りつきでもよかったんだけどね。

せっかくだから、紫に敬意を表して的な?
(もう意味不明)


「ミッチェル!頼んどいたローラースケートはまだ出来ないみたい?」


ミッチェルの知り合いに、自称発明家がいるらしい。
だから、ローラースケートをイラストに描いて、そいつに頼んでみたあたし。

まあ、たぶん木製だろうけどね。


「はい、どうやら"ろーらー"部分の制作が難航してるらしくて。」

「ふーん…。三日以内に仕上げるよう伝えといて。でないと…」

「鼻フックですか!?」


ざわっ。

鼻フックにざわめく一同。
(彼等にはかなり衝撃だったらしい)


「プラスで千年殺し(※ナト参照)もやるっつっといて。」

「せ、千年殺し!?」


ニューな技の登場に、またもざわめく貴族ご子息ご一行。

お前らほんとに貴族か。

メンタル的に弱過ぎる奴等に、少しだけ、平安京の未来を憂いた。
(余計なお世話)


「ほらほら、練習やるよ!そこ、カーくん役のあんた!フォーメーション崩さないで!」


ぱんぱんっと手を叩いて、あたしはまた、練習に熱意を注いだ。



「ああ、こまち殿は今度は何を…」

「どうやら、帝の誕生会で出し物をやるそうですよ。」

「出し物!?わたくしは聞いていませんよ!?」

「はあ…なんでも紫様に敬意を表して、『ゲンジメドレー』とかをおやりになるそうで…。」

「源氏雌鳥(めんどり)!!???」

「いえ、『ゲンジメドレー』です、紫様。」

「源氏雌鳥…わたくし、不安です…。」


紫がお付きの者とそんな会話をしながら、不安げに見ていたことなんて。

あたしはもちろん、全くもって、知ったこっちゃなかった。


「ああ…不安ですわ…。」


帝の誕生会まで、後一週間。





/続く。


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間違いなく、
紫の予感は的中でしょう。

キリっぺが
楽しみにしてくれてるらしいので、
更新してみたり(・∀・)

『千年殺し』は
シ先生が
トにやった必殺技です。

紫式部観察日記(5)



「よいですかこまち殿、二度とあのようなことをなさってはなりません。」

「…うぜー。」

「こまち殿、"うぜえ"とは一体…?」

「"ブルータス、お前もか!"ってこと。(適当)」

「ぶるうたす…?」


こないだのパチンコ命中以来、いちいちいちいち紫がうっさいのなんの。
どうやら、ミッチェルがパクられてゲロったらしいけど。

あいつ、根性ないな。


「これだからボンボンはなー。」

「こまち殿…聞いておりますか?」


パチンコ取り上げくらってから、微妙に軟禁状態だし。
(聞いてない)


「人様をあのような危険物で狙うなど…うんたらかんたら。」


まあ、よくよく考えたらあたしは怪しい奴には間違いない訳で。
(やっぱり聞いてない)


「だいたい、坂田のご子息殿と言えば…あーだこーだ。」


確かに、紫はあたしによくしてくれてるとは思うけど。
(もう全く聞いてない)


「顔に墨を飛ばすなど、もってのほかでして…ぴーちくぱーちく」


そういえば。

紫って"あの"紫式部なのか?
源氏物語の?
マザコンかと思えば、ロリコン疑惑も浮上しちゃってたりするあれを書いた?


「…こまち殿、聞いていらっしゃいます?」

「紫。」

「…何でしょう?」


真剣に紫を見詰めたあたしに、紫が、怪訝な顔で首を傾げる。

博識、上流階級、温厚、無駄に親切(?)。
そんな言葉が、紫には確かに似合うのかもしれないけれど。

取り敢えずは。


「…あんた意外と、アキバ系なんだね。」


アキバ系がわからなかったのか、相変わらず首を傾げたままの紫に、続け様にこう言った。


「源氏物語。」

「な、なななっ、な、何故それを…!?」


かーっと真っ赤になった紫に、あれまだ公表してなかったのかと確信した。

ふーん…。


「光源氏ねえ…。」

「ひいいいいっ!な、内密に!内密になさってくださいませ!」


おたおたと真っ赤なままに慌てる紫は、たぶん、あたしがにやりと笑ったことなど。

絶対、気づいてないんだと思った。

源氏物語か。

どっかに、カーくん(そういう年代)でも登場させてみるかなー。


「こまち殿!聞いてらっしゃるのですか!?」

「よーうっこっそーここへー♪」

「こまち殿!あっ、どちらへ!?」


真っ赤になったアキバ系貴族を置いて、懐かしソングを口ずさみながら、あたしはご機嫌でそこを後にした。

ミッチェル脅して、今度はローラースケートだな!


「…ああ…わたくしの源氏物語が危ない…!」
(ちょっと動向を把握しつつある紫)





/続く。


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人の話を聞かないこまちさんは、
二十代後半です。

そのくらいの年代でないと
このネタが
わからないかもΣ(・∀・)

紫式部観察日記(4)

本日、快晴なり。


「つまんねえなあ。」


そう、あたしはすこぶるつまらなかった。

今日は塾もお休み。
(自分の都合で勝手に休みにする)
だから、やることがない。
紫で遊ぼうと思って歩いていたら、どうやら今日は、お琴発表会(?)らしかった。

縁側に座って足をぶらぶらさせてれば、どこからともなく足音が近づいてくる。


「師匠!」


振り向けばミッチェル。
ああ、そんなドラマ、昔やってなかったっけ。


「師匠も琴おやりになるんですか?」


嬉々として隣に座ったミッチェルに、煙管片手にあたしは応えた。


「やんないよあんなの。向いてないもん。」


座って琴弾いて、それをオカズ(?)に酒飲むんでしょ?

…やってらんねー。

ぶわあっと煙を吐いて、そんな中心にいる紫を眺めるあたしは、既に、平安京の風流な趣きに飽きていた。


「流石は師匠!流されないんですね!」

「まあ、そうっちゃそうかもだけど。」


あたしが言うのもなんだけど、あんた、大丈夫?
仮にも貴族のご子息様が、そんなこと言っちゃってていいのか?

あたしの珍しい思考を知ってか知らずか、ミッチェルは相変わらず感嘆していた。

あーつまらん。

あ、パチンコでも作るか。


「ミッチェル。」

「はい?」

「こう…ワイ字になってる枝と、ゴムと小石持ってきて。」

「ワイジ?ゴム?」


何もかもにハテナを飛ばすミッチェルにイラつきながらも、取り敢えずわかるように説明するあたし。

すたこらと用意に走ったミッチェルが戻ってきた数分後。


「で、これは一体?」

「こう使うんだよ。」


煙管をくわえパチンコを構えるあたし。
標的となった紫の悲鳴が響いたのは、それからすぐのことだった。


「ひいいいいっ!敵襲!?敵襲ですか!?」

「者共、出合え!出合えー!」


捕まったのは、ミッチェルだけだった。





/続く。


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もちろん、
こまちさんは逃亡しました。

こまちさんを崇拝しちゃってるミッチェル。

大丈夫か。

ちなみに、
これを読んだ優希が


「まんま真心さんじゃないですか。」


…と、
呆れてました(・∀・)
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