【ご褒美と奢りの境界線】
蝉もすっかり姿を消した八月の終わりに。
しかし暑ィな、と額から頬、頬から顎へと伝う汗を手で拭いながら苦しそうに唸るオレンジ頭。
背中に張り付く、汗に濡れたTシャツが不快感を煽る。
「何で俺様がこんな事せにゃならんのだ…」
「云い出しっぺは先輩じゃないっすか、「全員テストで平均点越えたらアイス奢る」なんて」
「居眠り三昧で赤点常連のリュータやタローがまさかやるとは思ってなかったんだよ!」
「奴らの現金パワーを舐めたらダメなんですって、あいつら本当にやる気の出し方ズレてますから」
「マジ腹立つ…くそガキども」
ガサガサと鳴くビニール袋の中には大量のアイス。
両手にそれをぶら下げて歩くオレンジ頭の教師――DTOの愛称で呼ばれる修は、隣で同じくビニール袋を抱えて歩く後輩教師、ハジメの苦笑に合わせて毒づいた。
「しかしまぁ夏休みの補習も今日で終わりですし、先輩ゆっくり出来るじゃないですか」
「その夏休みの補習の最後にアイスを奢らされるのがムカつくんだよ!」
あんまり腹が立つからカップアイス用のスプーンを木の奴じゃなくて紙スプーンにしてやったからな、と話す修にハジメは大人気ないと内心で突っ込んだが、紙スプーンで必死にアイスに挑む馬鹿な教え子の姿が安易に想像出来て堪らず笑いを洩らした。
「つーか夏休み明けたら次は体育祭と文化祭だぜ?俺休めねぇじゃん!」
「あ、俺んとこのクラス、文化祭は出店やるんすよー!」
「メロンパン屋だろ、ナカジが「あのハチマキ教師馬鹿じゃないのか」って云ってたぞ」
「メロンパンの良さをアイツは知らないんですよ!いいですか、メロンパンっつーのは…」
「あーはいはい」
段々見えてきた校門を目指して。
教師らしかぬ二人は、教え子の待つ教室をゴールにグダグタと話しながら足を進めた。
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グダグタな雰囲気は仕様です。意味不明←
久しぶりにポップン〜!学生キャラ年齢的に曖昧すぎてワカンナイネー!←←
取り敢えず無理矢理同学年設定でお願いします(笑)
ハジメの持ってる袋の中は多分メロンパンですね。シュークリームは買ってあるんでしょうか。