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a ReloaD -ウォーリアside- 番外編 A

A


 無音で進む八つの影、そして、手信号(ハンドシグナル)を左手を刀のように振り縦に切るように動かした。


「スクエア、レッツゴー(α分隊、行くぞ!)」

「Yes Sir !!」


特殊部隊、その中でも比類なき部隊が存在する。その名もゴースト(亡霊)と呼ばれる連中が…


 ロシア軍は1999年、8月チェチェンへ再侵攻を開始。手始めは爆撃から始まり9月には地上軍を展開を本格化させていた。そして、



 (チェチェン共和国、ダゲスタン共和国 国境地帯)



火砲はチェチェンの小さな村に向けられていた。
125o砲は確実にそこに暮らす人間に向けられたものだという事だ。キャニスター弾と榴弾(EP弾)とが村々に打ち込まれる。もちろん、目標は村人達にだ。

 苛烈な攻勢は容赦なく非武装市民に対しても向けられていた。

そして、そこに俺たちもいた。
ゴーストリコン、強力な強行偵察部隊であり陸軍全体を動かす斥候(タスクフォース、指揮指導隊)として戦闘を有利に進めることができる通常の部隊ではない所謂スペシャルフォース(特殊部隊)である。

その無限軌道輪は躊躇なく村々を踏みつけていた。
チェチェンの多くの住人達はテロになど加担してなどいなかった。テロに関与したのは今まで調べた中では分離独立派が起こしたことで大多数の住人は無理やり戦争に追い込まれていた。
「戦争」というのはいつも弱者が犠牲になるというがそれは本当だ。しかも、否が応でもその火中に放り込まれ日常を地獄へと変えられる、まさに地獄の窯蓋がぽっかりと口を開けていた。だが、これも世界中で繰り返されてきた一部でしかないのだが……

α隊とβ隊とが特務一個小隊を編成していた。

それは誰の目に触れない山道、カフカスの森の中を進んでいた。少し前に偵察部隊らしきロシア軍の山岳師団の1個小隊を叩き潰したばかりだったがそんなのは序の口でしかなかった。本格的な戦いはこれから始まる。

もちろん、正式に派兵されていない。しかも、ロシア軍との戦いは避けたいところだがそうも行きそうにもなかった。チェチェンのテロリストだけが悪いわけではない、しかし、ロシア軍との全面戦争は避けねばならない。もともと、戦うべきではない相手と戦い四面楚歌の状況を自らは作りたくはないものだ。実際はそうはいかないようだ。テロリストを追う中である一人の族長の名前が何度か出てきた。その男は射撃の名手というがそれだけではなくある重要な情報を握っているらしい。


「アブサヤブ、だったな確かテロリストの奴らは…」


事前に得ていた情報とは若干違っていた。元はそんな連中ではなくチェチェン独立派の一派イスラム過激派だと聞いていたが別の勢力もこの動乱に紛れて動いているらしい。それも、戦争という名のカオスがもたらすものの一つにしか過ぎないのだが。

戦車は村を攻撃し学校をそのキャタピラで踏みつけていた。もちろん戦車だけではなく歩兵部隊や装甲車、上空にはハインドとお決まりの侵攻だ。

最新型の125oと122o砲を積んだ完全機械化部隊、つまりは完全武装の機甲部隊が地上軍がチェチェンの地を制圧しつつあった。だが、情報をよこした人物を確保する必要があった。幸いにもその村はかろうじて占領までにはまだ至らなかった。

「今のところは間に合いそうだ。だが、敵部隊は迫っているぞ。」

脅威となるのはチェチェン側ではなくロシア軍だった。


「イワン共め、ここから先は簡単には通れないぞ」


αチームリーダーとして、米特務隊の隊長として俺はここにいる。俺はサム・バーライド、俺たちはここにいるが存在しない。なぜならは我々はゴースト(リコン)だからだ。




 次回へ続く


a ReloaD -ウォーリア side- 番外編1


それはすべてだった。


 「闘い」それが男そのものだった。



それは一度目のチェチェンでの戦いだった。俺はまだとある「特務隊」の隊長になったばかりだった。そして、
 まだ始まったばかり
地獄の窯蓋は開いたのだ。


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カフカスのいち地域とみなしていたロシア軍は「テロリストを掃討する」という大義名分を抱え ついに1999年8月、ハサヴユルト条約を破棄し空爆を開始。チェチェンへと再侵攻を再開した。これは後に「第二次チェチェン紛争」と呼ばれることとなった。その戦場にもやはりあの男はいた。


血塗れた戦いがカフカスの森で始まろうとしていた。そして、そのカフカス地方の深い森の中を音もなく進む8つの影があった。




 (1999年9月初め チェチェン共和国、ダゲスタン共和国との国境地帯)


503補給部隊、偽装されたその部隊名だけで彼らが特殊な任務を帯びていることがわかる。そう彼らは隠匿されるべき戦略上有効打となりうる部隊なのである。この部隊のアルファ隊の隊長こそが
『サム・バーライド』だった。

彼らの名をゴースト・リコン(亡霊偵察部隊)と呼ばれるが正式な名前はごく一部の軍幹部しか知らない。だから別名を付けるしかないのだ。そのユニットは少数でも強力な打撃として恐れられていた。それは敵からも味方からもだ。畏怖を以て呼ばれるその名もなき者たちは足音1つ立てずに素早くまるで風のように進んでゆく。それはまさに亡霊と呼ばれるには適当な動きだった。

その森林にいた2人のロシア軍山岳歩兵師団のスカウト(斥候)は不運だとしか云えなかった。気付く間もなくサプレッター付きのM4カービンでたったの二発で瞬殺されたのだから…


音もなく倒れた敵兵、そして50m以上先までは聞こえない微かな銃声 まだ敵は気付いていない。
声も出さずにただ進む8つの影



「こちらアルファ、ベータ遅れをとっているぞ こっちは待機する。何をしている本隊の側面を突け!!」



そう云い、手信号を送る男



そこから120メートルほど先には歩兵師団の一個小隊が簡易的な陣を形成していた。


その部隊には あるまたの名 が名付けられていた。



目の前には暴漢されたばかりと見える女性の姿があった。
男たちは冷静にその様子を遠巻きに見ていた。


「見てみろ好き勝手だな…あの腕章・・・これは これは。奴ら皆殺し師団じゃないか」

「奴らは今回のターゲット(主目標)じゃないぞ。ほっておけばいい 迂回しよう」

「いや、目の前の障害物(危険因子)は排除せよ、がうちの部隊の唯一のとりえだろ」

「そうだな、仕事をしよう」



ゴースト同様の非正規の部隊であり、相手は山岳歩兵随一の殺戮部隊、ゴーストとは違い正式には傭兵と呼ぶのが正しいだろう。だが特務隊を敵にすれば造作もなかった。ベータ隊が側面に回り込むと側面から敵陣に銃弾の嵐を叩き込んだ。的確に弾数は通常の部隊の半分も必要なかった。さらに前進して来たアルファ隊も銃撃を加え ものの10数分で蹴りは付いた。

戦闘が終わると何もなかったかのように通り過ぎる男たち。その姿は米軍のものではなく中性的な戦闘服であり星条旗などは一切身に着けていなかった。武器も生産国はばらばらのものでM4だけではなく基本大半の隊員が現地の銃を装備していた。

そして、暴行された女性に目も触れずに足早に走り去った。


彼は存在していない。


正確に言えば 証拠を何も残さない。米軍特殊部隊であることを……


もちろん彼らは正式に派兵などされていない。極秘裏に派遣されている。だから、米兵だと気付かれる訳にはいかなかった。先を急ぐ必要があった。
メインターゲットはこの戦争を世界に伝えること。つまりは情報を正確に収集し本部に伝えるのが今回の目的なのだ。だから急ぐ必要があった。情報とはモノだけではなかった。人間の証言も貰う必要があった。特に重要人物から直接的に。その前に口封じされては今回の展開が意味がなくなるからだ。


隊長はユニットに手信号で伝えた


  {go-go-go(行け、行け、行け)!! Move first(急ぐぞ)!!} 




ただ進む亡霊たち。
物音に気付き丘の下の細い通りを見るとゆっくりと進む横一列に隊列を組む機甲部隊の姿があった。


「あれはT-85……最新型の戦車隊じゃないか、しかも歩兵も随伴している。かなりの数だな」

「しかも"突撃隊形"だ。やる気満々じゃないか!」


その125o砲の砲身がまっすぐにチェチェンの小さな村に向けられていた。


「かなりの数だ。レーザー誘導で爆撃でもしよう」

「この辺だけで一個連隊はいるな。あぁそうだな、この車列にA-10の30oバルカン砲とヘルファイア叩き込みたいぜ」

「おいおい、そんなことしたらロシアとアメリカの全面戦争になるだろう。今回の展開の意味がなくなる…どころかまるで逆効果だ」


そんなことをするはずもなかった。しかも機甲一個連隊にたったの『一個戦隊』で無謀な戦いを挑む訳もなかった。



その時、ヘリコプターの爆音が轟いた。少し離れた上空を編隊飛行するハインド、ロシア軍の戦闘ヘリが低空を掠め飛んで行った。そして、無数のロケット弾が村に放たれるのを見ていた。もちろん、彼らはその眼にその姿を焼き付けるだけだったのだが・・・




  To be コンティニュー!!


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a ReloaD 番外編用 プロットと短編@

 南オセチア紛争、第二次チェチェン紛争との絡みを中心に
もちろん、アナちゃんとの話もつなげますよ そこで下の短編が肝心になってきます。


サム・バーライド率いる特務小隊は『極秘裏』にチェチェン領に派遣される。時間軸は1999年9月
ちなみにサムは当時「ゴーストリコン」所属。もちろんだが同部隊については公表されて居ないので逆にプロットが組みやすい(ほぼ想像でいける)のです。

オセチアといえば5デイズウォーですね。

ということでチェチェンにも展開してますよ。皆殺し師団こと死の部隊を登場させています。グルジアにムスリム同盟、チェチェン軍各勢力のカラミも出そうかと思います。
それに対峙するのはロシアの正規軍、海軍特殊部隊スペツナズも出します。(なんかてんこ盛りだ)

ネタバレ気味になるので詳細に関するデータは出しておりませんがそれにストーリーを大きく左右する重要な兵器である、アンチマテリアルライフルなども登場させますよ。あとは本編でということで


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 短編 「rear side war(直背の戦争)」



それはチェチェンでの戦いも終わらない最中に起こった。まさに戦争のプレゼンテーションのようなそれの陰湿さを表した闘いだ。

『南オセチア』

何のことはない。よくある民族紛争だ。この地域は複雑でナチの統治後から度々紛争が散発的に起きている場所だ。周辺部でも戦争ばかりやらかしているような場所。そんな所に俺たちは展開された。正しくはオセチアではなくさらに良くない状況の場所だった。こんなカフカスの山中にナゼいるのかは判らない。でも、この森は殺気に満ちていた。しかも陰湿な大人(オス)どもの雰囲気ではなく もっと無垢な野獣がここにいる気がしていた。

 同地はこの五十年間全くの『平和』を得たことは一度もなかった。大国の大局にいつでも左右され続けていた。だが、ここの民衆も平和嫌いでも戦争大好きであったわけでもなかった。仕方がなかったのだ。政治屋どもが無能で宗教家どもが政治に介入し国は分列していた。


大カフカス山脈とも云われる山地その北側

カスピ海からはかなり離れた位置にある森深く、俺は居た。




 (2008年、5月某日)



戦局は流動的だった。圧倒的な火力と兵力で無理やり押し切ろうとするロシア軍、無慈悲にもゲリラ的な戦いをするグルジア軍、それが意味するのは最悪のシナリオだった。


「ジェノサイド(大量殺戮)か……」


森の中、ひとり呟いていた。そこにはまさに地上に「地獄」が引っ越してきたように見えた。場所はチェチェンと南オセチアの国境地帯。非武装地帯と謳っていたが何のことはない、戦場はどこにでもあった。そこには簡単な塹壕のような溝が掘られておりその泥水の中には無数の「非武装市民」の遺体が無造作に積み重なっていた。どう見ても戦闘中に殺られたものではなかった銃撃はすべて正面からしかもかなりの至近距離から乱れ撃ちされているのは弾痕からみても明らかだった。だが、解せないのはその周囲にいたハズの兵士たちまでもが『撃ち殺されていた』のだ。


「こいつは…スナイパーライフルの痕? しかもすべて一発ずつで?」


かなりの腕を持った狙撃手だ。兵士たちは逃げ惑った事は確かだった。バラバラの方へと倒れ等間隔でもなかった。しかし、射角はほぼ同じ、…いや、横に走りながら常に陣地変更している。こいつはこの俺もただじゃ済まないかもしれない。

そう思った矢先だった。

弾丸が俺の横を掠め飛んでいった。これは警告射撃以外の何物でもなかった。


「待て! 俺はイワンでもグルジアでもムジャヒディンでもないぞ! アメリカ人だ!!」


 殺気を見えないほどの距離が離れているのに感じていた。

 調定し直し撃鉄を起こし、引き金を引く感覚が分かった。2射目が来る!! 本能的に走り出していた。
そして、その予想は当たっていた。今までいた場所にそのライフル弾が石交じりの土をえぐった。その時すべてを理解した、こいつは俺と同じサーバーガー(狂戦士)だと。冷静に無慈悲な戦いを続けるだけの狂った駒だ。だが、この場合は問題がある。向こう側にいるのはおそらくは 『軍人』 ではないだろう。
つまりは国軍兵士はすべて敵としているところから見ると 武装民間人 に違いなかった。

「やれやれ こいつは厄介だ。これからどうするかだな」


上手いところ倒れた木の影に隠れることが出来た。だが、追撃は止まないらしい。奴は移動している

間違いなくその殺気がこちらへと来るのが判った。マズイことになったと吸わずに持っていた葉巻に火をつけた。どうせ死ぬなら思い残すこと事が少ないことに越したことはないからだ。


スナイパーがスナイパーに追い詰められるなんてお笑いものだ。まぁ、ずっと昔の戦争でも狙撃手同士の戦いがあったがそれよりも状況は良くなかった。一方的に狙われていた。
そこにいただけだ。何もしちゃいなかったのに…いや、それが激怒させたのかもしれない。あと、死体を足でいじったこととかも・・・・・・ 考えてもしょうがなかった。今はピンチを切り抜けるしかなかった。


「アイツらまだか?」


そう、
仲間が近くにいた。それも通常の兵ではない。全滅してている訳がない、奴らに限っては…

まだ、近くにいたらしい。散発的な発砲音が2,3発ずつ聞こえてきた。

それは俺の周囲でしていたが何かの気配が俺に近づいてきた。すでに元いた倒木から離れ生えている幹に身を任せていたがそいつはこっちを見ているようだ。


「よう、相棒。死んでいないようだな」

俺のその言葉に

「お前こそ、まだ生きていやがる どんな死神が付いているだか」


それは同じ特務隊のメンバーのひとりだった。しかし、こいつらに借りを作りたくはなかった。

「すまないがここは俺に任せてくれ。こいつは『倒しちゃいけない』やつだよ。どうにか無傷で捕まえたい
この野獣をな!」

「正気かよ…まぁ、言っても聞かないだろうがな」


そう、この先にいるのは獲物を捕食しようとしている獣であり、ハンティングを狩りを楽しんでいるビーストだ。


「あぁ、至ってまじめだよ」

そう、部下にいった。



 本編へと 続く


  
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a ReloaD 番外編 「闘いの日々」 そのC

 


 教官役など向いていないのは自分が一番知っていた。だが、こんな変わり者連中を指導できるのも俺しかいない。経歴を書類で全員分を見たが寄せ集めの分隊のような部隊・・・いや、「社員」達だ。


「で、社名はバラック・インダストリート・カンパニーってだいぶ変わった名前だな。」

「おいおい、お前が近い将来入社するかもしれない会社だぞ。そんなこと言うなよ」

「入るかよ、こんなクソ会社!」


ウイスキーグラスを傾けながら元ブートキャンプのお偉い鬼軍曹殿のリゲル社長は今や階級では差がついた俺と話している。その掛け合いはまるで長年連れ添った「夫婦」の様に聞こえてくる。いわゆる ずっとやってろというパターンだ。しかし、リゲルの顔は真剣だった。


「デルタで働いたら戦役から身を引くんだよ!何が悪い?」

「正気かよ。本当にそんなことを言っているのか?お前から『闘い』を差し引いたら何が残るって謂うんだ」


俺はしばらく思考が停止していたようだ。気が付くと兵舎のデスクの上にあったグラスの氷は大分融けていた。俺には戻るべき場所があった。それは南イタリア最大のマフィア
 『ゴッドシャル・ファミリー』だ。
文字通り俺にとっては家族なのだ。そこで弟のようなビバルディと・・・・・・



 翌日もクソ訓練に当たらないといけない。なんてざまだ____

しかも、素人同然の連中に教えるわけだ。


「サム・セイフティを解除、スライドストップを押して……って、こら!
 マズルコンシャスを忘れたのか?暴発するのが銃だと思え!」


何でかは知らないか今こうして傭兵会社の社員もとい「戦闘員」諸君に教育的指導をしている。いわゆる軍事教練だ。銃口を向けるんじゃない。もちろん、自分自身にもだ

気をちょっとでも抜いているとあのアマの声が聞こえてくる。


「教官、申し訳ありません。でもウンともスンとも言わなくなったんです……。」

「それが、ジャミングだ。覚えておけ、銃はお前の尻(ケツ)よりもデリケートなんだよ
どうせ整備もしないで無理させたんだろ?」

__________________________________


図星だった。
マズルコンシャス…面倒だが命には代えられない。「暴発するのが銃だと思え」というのはどうやら本当のようで実際これまでに多くの事故が起こっているらしい。しかし、銃というものは手入れがかなり重要らしく暇があればチャンバーやマガジンを抜き差ししてスライドを引っ張り何度も確認している。そして、ちょっとでも違和感があれば分解し、ブラシと蓖麻子油で銃身の中やリコイルスプリングを丁寧に掃除している。


そんな教官を見ているとどうやら気付いたらしい。

「何だ?発情でもしたのかでか尻は?」
「そんなわけないでしょう!」とすぐに返した。

気を抜くとすぐにセクハラ発言をしてくる。
人間としては最低の教官だ。だが、兵士としては確かに優秀のようだ。ほかの兵隊さんからは尊敬のまなざしで見られたり話しかけられることが多いからだ。

銃撃の訓練だけでも体力を使う。強力な反動を両手で抑え込まなければならない。さらに拳銃だけではなくM−4カービンという小銃も使わなくてはならない。反動もそうだが小銃はそれ自体でもなかなかの重量感がある。両手で持つとは云えずっと構えているのは女性にとっては一苦労だ。


__________________________________


 正直に言おう。俺は貴様らが 「嫌い」だ。 と
言えたならどれだけいいか……と言ったところでリゲルとの契約で最後まで教育的指導をしなければならないのだが…すでに嫌気すらする。

注文を付ければすぐに

「あなたみたいな英雄じゃないので」とか「教官殿がバケモノ過ぎます」だとか

言い訳ばかりする奴らだ。

ただ、100mを必ず11秒台で走れとか、腹筋500回は俺にとって序の口というだけなのに
まぁ、ある意味で確信犯ではあるのだが、俺は教官様でこいつらは新兵なのだから

今日もまた訓練だ。

「地べたにキスしている場合かクソ新兵ども」
「いつまでクソ垂れてんだ!」と


今日も軽快に激を飛ばす。

「カービンはしっかりと銃門と銃星を合わせろよ 銃底を肩に合わせろ!」
「ベレッタは反動を考慮して若干、下向きに撃て!」
「力みすぎると的を外すぞ。肩の力は抜け!」


そうすれば次は外しはしないだろう…
その的確な指示が新兵たちを玄人に変えていく。

「今日はまあまあだ クソ新兵どもが!」


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a ReloaD 番外編 「闘いの日々」 そのB



 それは一週間前のことだった。


すべては昔、鬼軍曹と呼ばれていた。リゲル・スタッカーノとの再会から始まった。


「よう、久しぶりだな!
 で、アメリカは嫌いになったんじゃないのか?」

その声は聞き慣れたハスキーヴォイス
そして、嫌な記憶も呼び覚ます。

「・・・・・で何なんだ!俺は特殊班を担当しているんだ。暇じゃないんだぞ軍曹殿」

「あぁ、聞いているよ。
今は軍曹じゃない。「退役少尉」だよ。」

「-?- 現役時代は曹長どまりか、まさか不名誉除隊とか・・・・」

「いや、いや、ちゃんと20年間勤め上げたさ。ただ昇進試験をしなかっただけだ。
退職金を注ぎ込んでいまはPMCをやってるよ!」


 
少し意外だったのは彼が現役以上に給料が上がったのと民間軍事会社、「PMC」を設立したことだ。
彼には軍人以外の才能があるとは思ってもいなかった。しかも、まだ会社を設立して4年目らしい
大概のことでは動揺しない俺が珍しくどうようしてしまった。

「すでにお前の上官には打診しておいたさ、正式な就任前の1週間だけだが俺に使わせてくれるようにってな!」

「おいおい、どういうことだ?最近の軍隊はビジネスマンをやってるのか!
そんなのはだめに決まって……」

その時通りかかったのは一人の女性だった。


「初日から遅れてすいません…」


リゲルは彼女のことを ヴェル と呼んでいた。どうやら彼女も兵隊さんになったらしい。
奴はさっさと用事を済ませると彼女を兵舎の方へと案内した。戻ってきた奴に


「おい!待てよ

戦場に女を連れて行く気かよ!しかもどう見たってド素人だったぜ、あの身のこなしは!」



だが、どうやら本気らしい……




その日から訓練に入ることとなった。

まずは軽く5キロ走、そして、射撃訓練に移ることになった

ド素人同然の面々を前にM-9を差し出した。

「これは通称、ヴェレッタその陸軍使用の拳銃だ。所謂、軍正式化品で標準的な武装だ。弾は9o×40の18発入りだ。まぁ、護身用だがないよりはいい。接近しての射撃、50メートル以内での射撃では有効だ。誰かあの15ヤード先の50pのマトに向かって撃ってくれ!」


そういうといかにも勝気そうな顔をした女性が一歩前に手で来た。

「私にやらせてください」

もちろん俺は銃を逆さにして渡した。

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 彼は教官、しかも「史上最高の」がつくらしい…もっとも私から見るとただの軍人の一人にしか見えない。私はヴェル…本当の名前ではないが私の第2の父が付けてくれた又の名だ。

 だが、その父も2度とも失い 数ヵ月、まともに生活すら送れなかった。

しかし、シスタークレメンスとの出会いでどうにか自分を取り戻すことができた。

銃なら撃ったことがある。引き金を引けばいい……

的に目掛けて銃口を向けた。でも、思い通りにはいかなかった。
 ---弾が出ない その前に引き金も半分も引けない--- ナゼ… すると教官はこちらを嫌な笑顔で見た。


「当然の結果だな、おい、ルーキー!セイフティも知らんのか!!」


 せいふてぃ??? -!- 聞き覚えのある単語だった。それは第2の父と言えるダグラス神父が殺された時にも聞いたフレーズだった。
それは安全装置、スライドストップレバーが外されていなかったのだ。

「この状態でよく撃てると思ったなー、いやーーーホントに感心するよ」

とわざと馬鹿にしていると分かる言い回し方でいったのだ。

今の私にはきつかった。いや、きついというレベルではなかった。
だが、彼は追及の手を緩めてはくれない

「このまま戦場に出ても死ににいくだけだ、今のうちだぞ。逃げるならな!」

「いえ、私は…」


 だが、次の瞬間意外なことを言い始めた。


「だがな、訓練は始まったばかりだ。今、覚えたな。絶対に忘れるんじゃないぞ!それから…
 マズルコンシャス、銃口は味方に絶対に向けるな。もちろん自分にもだ!分かったな!!」

「Sir yes sir !」


これはまだまだ序の口だったようだ

 --続く-- 
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