それは一週間前のことだった。
すべては昔、鬼軍曹と呼ばれていた。リゲル・スタッカーノとの再会から始まった。
「よう、久しぶりだな!
で、アメリカは嫌いになったんじゃないのか?」
その声は聞き慣れたハスキーヴォイス
そして、嫌な記憶も呼び覚ます。
「・・・・・で何なんだ!俺は特殊班を担当しているんだ。暇じゃないんだぞ軍曹殿」
「あぁ、聞いているよ。
今は軍曹じゃない。「退役少尉」だよ。」
「-?- 現役時代は曹長どまりか、まさか不名誉除隊とか・・・・」
「いや、いや、ちゃんと20年間勤め上げたさ。ただ昇進試験をしなかっただけだ。
退職金を注ぎ込んでいまはPMCをやってるよ!」
少し意外だったのは彼が現役以上に給料が上がったのと民間軍事会社、「PMC」を設立したことだ。
彼には軍人以外の才能があるとは思ってもいなかった。しかも、まだ会社を設立して4年目らしい
大概のことでは動揺しない俺が珍しくどうようしてしまった。
「すでにお前の上官には打診しておいたさ、正式な就任前の1週間だけだが俺に使わせてくれるようにってな!」
「おいおい、どういうことだ?最近の軍隊はビジネスマンをやってるのか!
そんなのはだめに決まって……」
その時通りかかったのは一人の女性だった。
「初日から遅れてすいません…」
リゲルは彼女のことを ヴェル と呼んでいた。どうやら彼女も兵隊さんになったらしい。
奴はさっさと用事を済ませると彼女を兵舎の方へと案内した。戻ってきた奴に
「おい!待てよ
戦場に女を連れて行く気かよ!しかもどう見たってド素人だったぜ、あの身のこなしは!」
だが、どうやら本気らしい……
その日から訓練に入ることとなった。
まずは軽く5キロ走、そして、射撃訓練に移ることになった
ド素人同然の面々を前にM-9を差し出した。
「これは通称、ヴェレッタその陸軍使用の拳銃だ。所謂、軍正式化品で標準的な武装だ。弾は9o×40の18発入りだ。まぁ、護身用だがないよりはいい。接近しての射撃、50メートル以内での射撃では有効だ。誰かあの15ヤード先の50pのマトに向かって撃ってくれ!」
そういうといかにも勝気そうな顔をした女性が一歩前に手で来た。
「私にやらせてください」
もちろん俺は銃を逆さにして渡した。
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彼は教官、しかも「史上最高の」がつくらしい…もっとも私から見るとただの軍人の一人にしか見えない。私はヴェル…本当の名前ではないが私の第2の父が付けてくれた又の名だ。
だが、その父も2度とも失い 数ヵ月、まともに生活すら送れなかった。
しかし、シスタークレメンスとの出会いでどうにか自分を取り戻すことができた。
銃なら撃ったことがある。引き金を引けばいい……
的に目掛けて銃口を向けた。でも、思い通りにはいかなかった。
---弾が出ない その前に引き金も半分も引けない--- ナゼ… すると教官はこちらを嫌な笑顔で見た。
「当然の結果だな、おい、ルーキー!セイフティも知らんのか!!」
せいふてぃ??? -!- 聞き覚えのある単語だった。それは第2の父と言えるダグラス神父が殺された時にも聞いたフレーズだった。
それは安全装置、スライドストップレバーが外されていなかったのだ。
「この状態でよく撃てると思ったなー、いやーーーホントに感心するよ」
とわざと馬鹿にしていると分かる言い回し方でいったのだ。
今の私にはきつかった。いや、きついというレベルではなかった。
だが、彼は追及の手を緩めてはくれない
「このまま戦場に出ても死ににいくだけだ、今のうちだぞ。逃げるならな!」
「いえ、私は…」
だが、次の瞬間意外なことを言い始めた。
「だがな、訓練は始まったばかりだ。今、覚えたな。絶対に忘れるんじゃないぞ!それから…
マズルコンシャス、銃口は味方に絶対に向けるな。もちろん自分にもだ!分かったな!!」
「Sir yes sir !」
これはまだまだ序の口だったようだ
--続く--