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a ReloaD −ウォーリア side− B


 −−−それは俺そのものだった。−−−

アサルトライフルを整備するため分解しながらついつい少し昔の事を考え込んでいた。この銃は手入れをしっかりしさえすれば、まさに機械的に正確無比に動く。トリガーを引くとダブルアクションコックが作動しチェンバーに装填されたMk23ライフル弾の薬莢の雷管を撃鉄が叩く。そうすれば薬莢の白色火薬は炸裂し1600ジュールというストッピングパワー(止めるのに必要なエネルギー)を持ったタングステン製のAP弾(弾丸)は弾道という名のシュプールを描きながら有効射程1000mを音速以上、秒速980メートル毎秒で無慈悲にもターゲットを貫くのだ。
そしてすぐさまダブルアクションコックがリコイルスプリングを誘導しライフル弾の薬莢の炸薬の爆発でブローバックした銃身をもとの位置に戻し、再びマガジンから補給されたライフル弾を打芯する

それが喩え敵の頭蓋骨だろうがモモの肉だろうが脳ミソだろうが一度当たれば大けがをするか、「即死」することだって当然ある。放たれた弾丸自体にはもちろん悲しみや責任の類はない。そして、それを撃つ俺自身にもさして感情と呼べるものはなかった。

「「あれはただのターゲット(板切れ)だ」」
撃てと躰が云う

正確に射抜けさえすればそれでいい。軍隊でみっちりと叩き込まれた基礎はいまだに無意識にその両の手を動かす。訓練、そして実戦においても喩え頭が眠っているような状態でもいついかなる時も、応戦できる体になっていた。


 しかしだ、平時にそんな力はあまりにも無鉄砲すぎた。南イタリアのマグダラという町。
その片隅にある廃工場で行われている銃撃戦。敵はあえぐ間もなく次々と撃たれて絶命していく…
ある意味、「痛みという名の恐怖」を無用に与えずともよい。という点では正解だった。
『痛みと死』という恐怖を感じる間もなく ひとりまた一人と敵であるマフィアと武器商どもが倒れていった。それを見ても特に何も感じなかった。「いつものことだ」と思うぐらいだ。大体、悪人どもが死んで悪いという話はない。大手を振って喜ぶべき事柄なのだ。だが、ナゼこんなことを振り返ってしまうのだろう。……


「そりゃ…、目覚めのいい話じゃないからな…。」

−???−

誰かが俺に話しかけてきた。幻聴なんかじゃない。幻覚でもない。目の前には確かに見覚えのある男がいた。その男は昔からの腐れ縁のある奴だった。

「『アルベルト』 お前、いつからいたんだ?」

気づかなかった…のではなく忘れていたのだ。

「呼んでおいてそりゃないだろう……。で、情報は役に立ったかぃ?」と

ニヤニヤしながら言ってきた。

いつになっても慣れない仕草と話し方だ。
自分ではごく普通だと思っているらしいが、誰がどう見ても挙動不審…というよりも格好は誰が言おうがホームレスにしか見えない。

「その前に、その身なりはどうにかならないのか?」
「性分だ、仕方ないさ。それよりもどうだったんだよ!」


どうこうもなかった。手渡されたデータはごくわずかで武器商の組織名や数人の人名とこれまで取引先の一部、それに実際に取引された若干の品物のことが書いてあったぐらいでそのあとのことは「自分たちで裏を取れ」ということらしい。もちろん、実力行使で調べるという手もあったが一部をつぶしただけでトカゲのしっぽ切りになって親玉どもにとんずらされたら元も子もなかった。
だから、今回は別の方法を試みることにした。

「今回は敵情を直接乗り込んで調査するのさ」

「おいおい、また銃撃戦でも・・・」
「しねぇよ、潜入捜査だよ。とはいってもだな…」


アルベルトが新たに持ってきた情報はさらに問題山積みである事を示していた。



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a ReloaD 番外編 「闘いの日々」 そのC

 


 教官役など向いていないのは自分が一番知っていた。だが、こんな変わり者連中を指導できるのも俺しかいない。経歴を書類で全員分を見たが寄せ集めの分隊のような部隊・・・いや、「社員」達だ。


「で、社名はバラック・インダストリート・カンパニーってだいぶ変わった名前だな。」

「おいおい、お前が近い将来入社するかもしれない会社だぞ。そんなこと言うなよ」

「入るかよ、こんなクソ会社!」


ウイスキーグラスを傾けながら元ブートキャンプのお偉い鬼軍曹殿のリゲル社長は今や階級では差がついた俺と話している。その掛け合いはまるで長年連れ添った「夫婦」の様に聞こえてくる。いわゆる ずっとやってろというパターンだ。しかし、リゲルの顔は真剣だった。


「デルタで働いたら戦役から身を引くんだよ!何が悪い?」

「正気かよ。本当にそんなことを言っているのか?お前から『闘い』を差し引いたら何が残るって謂うんだ」


俺はしばらく思考が停止していたようだ。気が付くと兵舎のデスクの上にあったグラスの氷は大分融けていた。俺には戻るべき場所があった。それは南イタリア最大のマフィア
 『ゴッドシャル・ファミリー』だ。
文字通り俺にとっては家族なのだ。そこで弟のようなビバルディと・・・・・・



 翌日もクソ訓練に当たらないといけない。なんてざまだ____

しかも、素人同然の連中に教えるわけだ。


「サム・セイフティを解除、スライドストップを押して……って、こら!
 マズルコンシャスを忘れたのか?暴発するのが銃だと思え!」


何でかは知らないか今こうして傭兵会社の社員もとい「戦闘員」諸君に教育的指導をしている。いわゆる軍事教練だ。銃口を向けるんじゃない。もちろん、自分自身にもだ

気をちょっとでも抜いているとあのアマの声が聞こえてくる。


「教官、申し訳ありません。でもウンともスンとも言わなくなったんです……。」

「それが、ジャミングだ。覚えておけ、銃はお前の尻(ケツ)よりもデリケートなんだよ
どうせ整備もしないで無理させたんだろ?」

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図星だった。
マズルコンシャス…面倒だが命には代えられない。「暴発するのが銃だと思え」というのはどうやら本当のようで実際これまでに多くの事故が起こっているらしい。しかし、銃というものは手入れがかなり重要らしく暇があればチャンバーやマガジンを抜き差ししてスライドを引っ張り何度も確認している。そして、ちょっとでも違和感があれば分解し、ブラシと蓖麻子油で銃身の中やリコイルスプリングを丁寧に掃除している。


そんな教官を見ているとどうやら気付いたらしい。

「何だ?発情でもしたのかでか尻は?」
「そんなわけないでしょう!」とすぐに返した。

気を抜くとすぐにセクハラ発言をしてくる。
人間としては最低の教官だ。だが、兵士としては確かに優秀のようだ。ほかの兵隊さんからは尊敬のまなざしで見られたり話しかけられることが多いからだ。

銃撃の訓練だけでも体力を使う。強力な反動を両手で抑え込まなければならない。さらに拳銃だけではなくM−4カービンという小銃も使わなくてはならない。反動もそうだが小銃はそれ自体でもなかなかの重量感がある。両手で持つとは云えずっと構えているのは女性にとっては一苦労だ。


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 正直に言おう。俺は貴様らが 「嫌い」だ。 と
言えたならどれだけいいか……と言ったところでリゲルとの契約で最後まで教育的指導をしなければならないのだが…すでに嫌気すらする。

注文を付ければすぐに

「あなたみたいな英雄じゃないので」とか「教官殿がバケモノ過ぎます」だとか

言い訳ばかりする奴らだ。

ただ、100mを必ず11秒台で走れとか、腹筋500回は俺にとって序の口というだけなのに
まぁ、ある意味で確信犯ではあるのだが、俺は教官様でこいつらは新兵なのだから

今日もまた訓練だ。

「地べたにキスしている場合かクソ新兵ども」
「いつまでクソ垂れてんだ!」と


今日も軽快に激を飛ばす。

「カービンはしっかりと銃門と銃星を合わせろよ 銃底を肩に合わせろ!」
「ベレッタは反動を考慮して若干、下向きに撃て!」
「力みすぎると的を外すぞ。肩の力は抜け!」


そうすれば次は外しはしないだろう…
その的確な指示が新兵たちを玄人に変えていく。

「今日はまあまあだ クソ新兵どもが!」


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ミリタリー一式 正式化!(短編集編)

introduction



 「タンゴ、2th タイプボギー」
 「インサイト、ボギー確認」


並走して飛ぶヘリコプター、それは軍事用の強力なターボシャフトジェットエンジンを積んだ戦闘ヘリだった。塗装はありふれたミリタリーグリーンであるがそのアローヘッドカメラはまるで毒蛇が持つ目のように常に獲物を欲していた。
彼らの言葉の意味・・・・それは敵を見つけた、しかも二つの敵がそこにはいる。と目視確認までしたのだ。通常ならば相手のセンサー圏外(索敵圏外)からミサイル攻撃、ヘルファイアミサイルで攻撃をするのが常套手段だが 「かれら」 からすればそんなことはどうでもよかったのだ。


「また、軍紀違反とか言わないでくれよ。ヨハン」

「おいおい、今のが軍紀違反じゃねーのか?コードを使えよバイパー2!」



確実に敵か そうではないのか彼らにはどうしても確認しておきたかったのだ。山の谷あいから突如、機関砲をお見舞いされた。


「確実に敵さんだよ。これは」

「違いねぇ、これはボギーだ」


しかも相手はさほど機動性のない対空戦車(AA)だ。しかも旧式の装輪式の牽引タイプ・・・・この時点で逃げることはほぼ無理だろう。だが、広い戦場で敵がこれだけとは限らなかった。相手側も谷間を縫うように軽装甲の戦闘ヘリがやってきた。トップのレドームがそれを感知した。

「お客だ。距離800メートル後方
プラスボギー1st more!高速接近中、ライトアーマーガンシップだぜ」

「お客さんは多い方がいいってな!そら600メートル先に予定通り中規模敵機甲部隊インサイト」



どうやら本命のターゲットを発見したようだ。だが、機動性の高い敵のヘリも相手にしなければならなかった。バイパー2のTADSはまずは対空兵装をそして、敵の本隊(車列)をロックしていた。当然といえば当然だが敵機はバイパー2を確実に狙っていた。

「ニューコンティニュー、H.Qよりメールだぜ(入電)
旧式の攻撃機が接近中、敵さんはどうしても死守したいらしいぜ」

「歩兵は無視していいのかよ」
「携行ミサイルでも持ってなきゃなオーバー」

どうやら雑魚は無視しろということらしい。
そろそろ30o機関砲でも使いたくなったのだろうか。150mの近距離でバイパー1はもう一基の対空砲にチェーンガンを叩き込んだ。



「ディス バイパー1 テイクカバー、ハイドラあるんだろ?」と

にやけた声が無線越しにも分かった。



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