ヴィリジアンブルー

サヨナラと言われるのが怖かった
目を合わさぬように俯いたまま
心臓と背中が近付いてゆく
私の体は酸素が足りない

あなたの腕にずっと絡まって
呼吸が乱れる前に眠りたい

オレンジジュースに混ぜた粉薬
ストローで一緒に飲んでくれたら
同じウィルスに感染するから
もっと激しく熱にうなされる

毛布を被って山を登ろうよ
寝汗をかいて海を渡ろうよ

マスクで息苦しい夜だった
あなたに貰った水が美味しくて
何度もお代わりをしたけれど
本当はその顔を確かめたかった

あなたのスリッパの音を聞くと
いつもより早く起きようと思う
新しい口紅の色を試し
パジャマを脱いで出掛けたくなった

シンデレラになる為のハイヒール
一度履いたら手放せないのは
あなたと同じ目線で歩きたい
不安定な踵で踊るような
アイドルみたいに笑ってみせる

玩具のマントを付けて遊んだ
あの頃は空を飛べると思った

黒いランドセルが重たくなると
少しずつだけど視力も落ちて
教科書を開く両手は止まり
夢を浮かべる窓が欲しかった

赤いランドセルの子と一緒に
イヤフォンをぶら下げながら歩くと
繰り返される愛の意味よりも
目の前にある三つ編みの方が好き

何かを約束した訳じゃないが
先回りで君を待つ時間は
お腹の音が鳴ったとしても
チョコレートをくれる人は居なくて

出された美術の課題に沿って
僕の手は君の体をなぞる
スケッチブックに広げた夢が
三つ編みのリボンにピンクを塗る

玩具のマントを付けて遊んだ
あの頃は空を飛べると思った

黒いランドセルが重たくなると
少しずつだけど視力も落ちて
教科書を開く両手は止まり
夢を浮かべる窓が欲しかった

赤いランドセルの子と一緒に
イヤフォンをぶら下げながら歩くと
繰り返される愛の意味よりも
目の前にある三つ編みの方が好き

何かを約束した訳じゃないが
先回りで君を待つ時間は
お腹の音が鳴ったとしても
チョコレートをくれる人は居なくて

出された美術の課題に沿って
僕の手は君の体をなぞる

スケッチブックに広げた夢が
三つ編みのリボンにピンクを塗る

ホクロの位置は春の大三角形
宇宙の秘密に気付いた夜は
空を眺めると青白いスピカ
電池の切れた人間になったら
僕はあの場所で光を貰う