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残念トラップだよ

電子の海をかき分けて、ようやくたどり着いた一本の糸。
その先にあるのはずっと追い続けていた一人の伝説。


「あああああああ!!!!」


ガシャン、なんて机からコップやら本やら、書類やらが重力に従って地面に落ちていく。
いや、もしかしたらこれは地面が食べ終わったファーストフードの器や可愛らしいチョコボのフィギュアを引っ張っているのかもしれない。
とりあえず、そんな崇高な事は考えられないザックスは目の前のパーソナルコンピューターの画面をぶち割りたい衝動にかられていた。
むしろ画面を掴んでいる指が白くなっているからこれ以上力をいれたら液晶は儚い命を散らすことになるだろう。
「どうしたザックスー?」
隣のデスクに座っていたカンセルがひょいとザックスのディスプレイを覗き込む。
「あらら…。」
同情したような声なのに羽根のように軽い口調。
画面いっぱいに映し出された画像は可愛らしいモーグリである。
「CODE:Cの事調べてたのか?」
「っっそうだよ!!!!」
つばが飛ぶのを手元にあった書類で遮りながらカンセルはモーグリがクコの実を食べるアニメーションに再び目を落す。
「もう少しだったのに…!!」
「今度は何を調べてるんだよ。」
「連絡先!」
壊れそうなほど乱暴にマウスを叩くザックス。
矢印が押した先は『もっとCODE:Cの事が知りたいならこちら』というバナーである。
そして移り変わった画面はモーグリがクコの実を取るというゲーム画面だ。
障害物とモンスターを避けながら横に流れる画面を進んでいく。
「お前、職務中に何を…。」
呆れかえった声に返す余裕もない。
「これで、そこだ!よし!!!」
繊細なマウス捌きで次々と障害物を越えていく画面を見ると相当プレイ回数は踏んでいるのだろう。
「よし!よし!よし!!」
声がでかくなって行くとともに画面もとうとうクライマックスになっていく。出てくる障害物とモンスターが画面いっぱいだ。
とうとうモーグリハウスが見えてきた。あとはもうその家に入るだけだ。
「やった…!!」
家をクリックしてモーグリがログハウスに入る画面が映し出される。チャラララーと流れる音楽もファンファーレのようだ。
その瞬間、家が爆発した。

『残念。トラップだよ』

「ああああああああああああああ!!!!」
ポップな字体なのに無機質な文章でつづられたその告知。
画面は再び先ほど見た画面に移り変わり『もっとCODE:Cの事が知りたいならこちら』というバナーが表示される。
「嘘だろ・・・!?」
ザックスは再び画面を掴みあげてこれでもかというくらい画面に顔を近づける。
ぶるぶる震える同僚を見ながらカンセルは思った。
それこそトラップなのではなかろうか、と。

苦しくて息が詰まる

苦しくて息が詰まる




水の中でも呼吸ができる魚は偉大だ。
そんな事をぼんやり考えながらパサついたパンを齧った。水分がなくては飲みこむのも大変であるが贅沢はいってられない。
一般兵の給料は雀の涙である。現在行っている任務も合わせて豪華な食事なんてできるはずはない。
名前を呼ばれて慌ててパンを押し込む様に口に詰め込む。水を流し込んでようやく一息つき返事をした。
どうやら本日の任務は終わりのようだ。
ふぅ、と肩から銃を降ろし所定の場所に仕舞いこむ。制服のまま外に出れば既に日が落ち、オーロラ色の光化学スモッグが空を彩っていた。
寒いがあいにくコートは持っていない。ネックウォーマーを鼻上まで上げて走り出した。
今日の帰る場所には待つ人がいる。
その人物を思い出すと自然に笑みがこぼれてしまう。
好きだった人と思いが通じるのはこんなにも嬉しい事だったのだ。



インターフォンを2回押す。
相手を確認もせずに開いた扉と出迎えてくれた人物に胸が高まった。
「おかえり、クラウド。」
太陽のように笑うザックスがいた。
「た、ただいま。」
ぱっと視線を逸らす。小さな声で挨拶を返すのがやっとだった。
「寒かっただろ?飯は?」
そんなクラウドの態度にも気にすることもせずに問う声はいつも通りだ。
ドッドッと高鳴る心臓を抑える様にザックスの背中を追う。
「食べたといえば…」
再びカラカラに乾いている咥内に酸素を取り込みなんとか返事を返す。上手く、息が出来ない。
「どうせあのクソまずいチーズサンドだろ?スープあるから食べろよ。あと、着替え風呂場にあるから。」
「うん。」
もう何度か訪れているはずなのに部屋に入るたびに緊張してしまう。バスルームの場所だって、寝室だって、クローゼットだってわかるのにそれでも未だ身体は固まったままだ。
こんなに温かい空気に包まれているのにも関わらず。
そのままバスルームに向かい、制服を脱いで楽な格好に着替える。
ふわ、と香るザックスと同じ匂いになんとも言えない感情が湧き上がってくる。
一緒に暮らしているわけではないから服はまだ少ないけど、二つ並んだ歯ブラシやよく肌荒れを起こすクラウドのための化粧水等を見る度にクラウドの心臓はざわりと落ち着かなくなるのだ。
「すきだ。」
声にならない音量で呟いて頭を抱えた。鏡に映った自分の顔は真っ赤だった。
はく、はく
陸にあがった金魚のように口を開ける。
意識をして空気を取り込まなければならない。そうでなければ酸欠でどうにかなってしまいそうだ。
頬が赤いのは外が寒かったことにしよう。それで誤魔化せる。もういちど、服の香りを吸い込んでからリビングへ戻った。


「ほれ、食べろよ。」
目の前に置かれたスープに口をつける。
「いただきます。」
「どーぞ。」
無言で食べるクラウドにザックスが話しかけるのはいつもの事だった。
それは付き合う前からずっと同じことだった。
けれど、最近は前以上にどうザックスに返事をしていいのかわからなくなっていた。
彼は最初クラウドを友達と言った。
その後、恋人になった。
クラウドは友達の途中から自分の気持ちに気づいていた。気づきながらこの思いを口にすることはないと知っていた。それが相手も同じ気持ちであったと言われた時は本当に、騙されているのではないかと思った。
同性同士というものもあったし、自分のどこが好きなのかまったくわからなかった。比べるのもおこがましい、それほどまでザックスは魅力的な人物であったのだ。
はふ、はふ
息を吹きかけながら大きな野菜を口に含む。
「クラウドは今日なんかあったか?」
「・・・別に、普通。」
なんというつまらない答えだろうか。言ってから後悔することなんていつもだけれどザックスのように面白い話題を振ることもできない。
それでもザックスはクラウドに嫌な顔をすることもせずに話を続ける。
ザックスは、ずっと変わらなかった。友達の時も今も。
自分だけがこんなにどきどきして、息が出来ないでいる。
自分だけが溢れすぎる好きを消化できないでいる。
そこまで考えてはっとした。
もしかしてザックスはそこまでクラウドが好きではないのではないだろうか。
そう思うととても居た堪れなくなった。
自分に自信などない。全くほどないと言ってもいい。特に恋愛面ならなおさらだ。
経験もなければ、勿論駆け引きもできない。
興味本位で付き合ってみたが全く面白くなかったから別れたと言っていた同僚がいた。
思わず、ザックスを凝視していた。
「ん?どうしたクラウド?」
「あ、いや…。」
そう考えたら、ヒヤリと喉から心臓に氷を落された気分になった。
先ほどまで美味しく温かかったスープの味がいつの間にかしなくなってしまった。
「御馳走様でした。」
唸る様に呟いた言葉だったが「はいはい、御粗末様でした。」と返ってきた明るい声に救われた。
自分が言葉を発するたびに返される言葉に救われている。
はく、はく
地上の酸素は充分足りているはずなのに、自分は水中の魚ではないのにとっても息苦しい。
少し、息ができるところまで離れよう。
「なんでそんな端っこにいるんだ?」
「気にしないでくれ。」
ソファーに座るザックスと、ラグの端っこに膝をかかえるクラウドの姿。
ドクドク血潮を運ぶ働きものは変わらぬ速さで運転している。薄かった空気も少しだけ、ほんの少しだけ呼吸がしやすくなった気がした。そう思わないと平常心を保てなかった。
ぐるぐる回る考えをすべて閉じ込める。
目を閉じて膝に頭を落す。
例え、ザックスが自分と同じ感情ではなかったとしても、
考えてじわりと苦い物が込み上げてくるが息を飲んで押し込んだ。
それでも持て余すほど育ったこの感情だけは真実だ。ただ、それだけだ。
「なに考えてんだよ。」
耳元で聞こえた声に驚いたように顔をあげる。ついで、ガッという後頭部に鈍い衝撃。
「っ…」
顎を抑えてのけぞるザックスと頭を押さえて首だけで後ろを向くクラウド。
いつの間にか後ろに回っていたザックスの顎に急に頭をあげたクラウドの後頭部がクリーンヒットした図である。
復活が早かったのはザックスだった。大きな手が後ろから伸びてクラウドの首を撫でる。
嫌悪感ではなく立つ鳥肌と運動を早める鼓動。
「、」
息を飲んだのが喉仏の動きでわかってしまうだろう。
「クラウドくんが離れるから来ちゃた。」
悪戯が成功したような顔でザックスは告げて、そのまま怪しく唇が笑みを描く。
首に添えられた手が上を向かせたと思ったらそのまま唇をふさがれた。
硬直する身体、そして一瞬後には爆発したように心臓が悲鳴を上げた。
思わず逃げようとするクラウドをそれより大きな身体と手が抑え込む。
「むぅ」
二度目のキスに色気のない悲鳴をあげながらクラウドは思った。ザックスの睫が長い。と。
舌は入れられなかった。単純にクラウドが歯を食いしばっていたからだ。
それでも唇がくっついている時間は長かった。
離れた時にクラウドが慌てて空気を吸うぐらいには長かった。
はく、はく
陸にあがった魚のようだ。顔が熱い、血が沸騰しているようだ。
苦しい、息ができない、どうすればいいのかわからない。
吸って、吐いて、ついでに溢れ出た想いも一緒に吐き出した。
「すきだ」
一度じゃたりない、
「すき、」
「すき、ザックス」
少し呼吸が楽になったと思ったら再び唇をふさがれる。
「俺も、クラウド。大好きだ。」
キスの合間に囁かれたその言葉に答える様に何度目かの好きを吐き出した。
少しだけ、息が楽になった。

それは毒のように

「俺、どうしよう。おかしい。」
そんな言葉を誰かに相談できたらこんなに悩まないのかもしれない。
ただ、こんなことを相談できる相手はいなかった。
そう、吐き出せない思考は自分の中をぐるぐるとまわり続ける。
最初はこんなことにはなってなかったのだ。
純粋な憧れと強い焦燥感。
太陽に照らさるはっきりと形作る自分の影を見て己の大きさを知ったのもこの時だった。
あとどのくらい頑張れば自分は彼に近づけるのだろう。
そう、明確に考え始めたのは彼と友達という位置についてからであった。
言葉で友達の関係性を示し合せたわけではないが、上司と部下にしては慣れ慣れしく、同僚とも違っていた。
プライベートでも一緒に過ごすことが多く、面倒をよく見られていたといえばそうかもしれないがそれでも昔からずっといたような気安さがあった。
そんな関係だったはずだ。
それなのに、今はどうだろう。
彼と会えば胸が高鳴り、顔を直視することが出来ずにいる。
彼と話せば言いたいことも上手く言えず心ばかりが急いてしまう。
彼と別れれば、別れたくないという気持ちが湧き出てしまう。
世界の見え方だって違かった。
普通の日常であるはずなのにやけに心が弾むし、スモッグに汚染された空気なのになぜか胸いっぱいに吸っても気力が沸いてくる。
「可笑し過ぎる…!!」
現にいま、彼を考えただけでも心臓はバクバクと早鐘を打ち、じわじわと顔に血が集まってくるのだ。
これに名前を付けるとしたら、
そこまで考えて思考を停止させた。
ひやりと嫌な予感がしたのだ。
この気持ちを明確にすることを頭が拒んだ。
一人、首を傾げてみる。
「なんだろう。」















クラウドの脳波に変化があったのはその日であった。
「ザックス、クラウドが夢を見てるぞ、と。」
白衣が似合わない男はラボの中でも自分の戦闘服を脱ごうとはしなかった。
赤毛を揺らしながらそっと硝子に触れたのはレノだ。
大きな大きな円柱の水槽の中にはクラウドが体を縮めて眠っている。口には酸素マスクを、そして何本もの管が彼のいたるところに繋がれていた。
時々ゆらりと彼の金糸が液体の中で揺蕩うとヘルス信号も線を描く。
「何の夢を見てるんだろうな。」
頬に傷のある黒髪の青年が彼の電子信号を見ながら哀愁と慈愛がこもった眼差しをクラウドに向けた。
電子機械が線を激しく描き、やがてそれは静かに波打つように変化していく。
「夢の中くらいいい夢であって欲しいけどなぁ。」
ぎっ、と椅子が音をたてて傾く。
「どうだかねぇ。」
そうしてレノは未だ眠りつづける彼を見つめる。
ザックスは知らない。
クラウドがどんな夢を見ているのか。
ザックスはしらないのだ。

御蔭様で

Love is again.も39話になりました。
ツイッターでは春までに終わらせたいとのたまっておりましたが東京はもう桜が咲いているようですね。春まで…おおう。

終わりの構想はほぼできているのであとはがんばって書くだけですね。
複線を回収して書いて書きまくるだけです。
今回も一つ複線を回収できたので一安心です。
完成したら一冊の本にしたいと思うのでそれに向けて頑張ります。
ちゃんと印刷書さんに頼んで作りたいと思うので初めての本です。
ちゃんと完成してから同人誌作るのは勉強したいと思います。 
完結第一!



あとは短編を書いて書いて書きまくりたいです。もはや似たような話ばかりかもしれないけど。
企画にも参加させて頂いているのでザックラもがんばります!そこから始めよう。
まずは、シリアスかギャグにするかそこが問題だ。

残念、トラップだよ(ZC)

伝説設定。ツイッターで公開したもの。


電子の海をかき分けて、ようやくたどり着いた一本の糸。
その先にあるのはずっと追い続けていた一人の伝説。


「あああああああ!!!!」

ガシャン、なんて机からコップやら本やら、書類やらが重力に従って地面に落ちていく。
いや、もしかしたらこれは地面が食べ終わったファーストフードの器や可愛らしいチョコボのフィギュアを引っ張っているのかもしれない。
とりあえず、そんな崇高な事は考えられないザックスは目の前のパーソナルコンピューターの画面をぶち割りたい衝動にかられていた。
むしろ画面を掴んでいる指が白くなっているからこれ以上力をいれたら液晶は儚い命を散らすことになるだろう。
「どうしたザックスー?」
隣のデスクに座っていたカンセルがひょいとザックスのディスプレイを覗き込む。
「あらら…。」
同情したような声なのに羽根のように軽い口調。
画面いっぱいに映し出された画像は可愛らしいモーグリである。
「CODE:Cの事調べてたのか?」
「っっそうだよ!!!!」
つばが飛ぶのを手元にあった書類で遮りながらカンセルはモーグリがクコの実を食べるアニメーションに再び目を落す。
「もう少しだったのに…!!」
「今度は何を調べてるんだよ。」
「連絡先!」
壊れそうなほど乱暴にマウスを叩くザックス。
矢印が押した先は『もっとCODE:Cの事が知りたいならこちら』というバナーである。
そして移り変わった画面はモーグリがクコの実を取るというゲーム画面だ。
障害物とモンスターを避けながら横に流れる画面を進んでいく。
「お前、職務中に何を…。」
呆れかえった声に返す余裕もない。
「これで、そこだ!よし!!!」
繊細なマウス捌きで次々と障害物を越えていく画面を見ると相当プレイ回数は踏んでいるのだろう。
「よし!よし!よし!!」
声がでかくなって行くとともに画面もとうとうクライマックスになっていく。出てくる障害物とモンスターが画面いっぱいだ。
とうとうモーグリハウスが見えてきた。あとはもうその家に入るだけだ。
「やった…!!」
家をクリックしてモーグリがログハウスに入る画面が映し出される。チャラララーと流れる音楽もファンファーレのようだ。
その瞬間、家が爆発した。

『残念。トラップだよ』

「ああああああああああああああ!!!!」
ポップな字体なのに無機質な文章でつづられたその告知。
画面は再び先ほど見た画面に移り変わり『もっとCODE:Cの事が知りたいならこちら』というバナーが表示される。
「嘘だろ・・・!?」
ザックスは再び画面を掴みあげてこれでもかというくらい画面に顔を近づける。
ぶるぶる震える同僚を見ながらカンセルは思った。
それこそトラップなのではなかろうか、と。




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