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太閤記/司馬遼太郎

今まで武蔵坊弁慶が一番だと言ってきましたが、秀吉に宗旨換えしても良い気分。
情け深くて陽気な羽柴秀吉の天下取りでした。陰謀を明るく、戦を祭りの如く、天下を相手に大芝居を打ったカリスマの姿が、読んでいてとっても爽快です。
ただ信長や秀吉のような革命家の世は一代限りで、長期政権を作るのは家柄も身分も良く保守的な思考の家康な辺りが、日本の歴史だなーと思いました。

竹中半兵衛が本当に素敵な描かれ方をしているので(上巻で亡くなるけど)お好きな方にはお薦めです。

覇王の家(上下)/司馬遼太郎


徳川家康の半生について。
この人が持っていたのは三河の強い絆と、ひたすら忍耐力の2つだったようで、割と角の無いお爺さんというイメージがあったのですが、この話のなかでは随分と陰に籠もった策略家でした。すごく性格悪いなー、っていう。
前半、織田と対等な同盟相手でありながら信長を接待する際の完璧さと、本能寺後の幸運、後半、小牧・長久手で対峙する秀吉との明確な差異が印象的でした。

うーんやっぱり性格悪いよねこのひと。

アラビアの夜の種族1/古川日出男


日本推理大賞とSF大賞を受賞、と華々しく書いてあったので購入。
ナポレオンの侵略に脅えるエジプトで、奴隷アイユーブが講じた秘策は、災いの物語を書き起こすことだった。

夜の語り手の千一夜物語をアイユーブが聞く形で進むのですが、この物語が面白くて、夜明けが来るたびに続きを知りたくて堪らない聞き手の気持ちがよく分かりました。盛り上げ方と、途中の切り方がとにかく上手い。スルタンとかアッラーとか砂漠の夜とか世にも醜い妖術師とかにときめく人には大変お勧めです。
早く続き買わねば。

永遠のゼロ/百田 尚樹


いま話題なので読んでみました。祖父が零戦のパイロットだったことを知った主人公が、祖父の軌跡を辿りながら大戦と特攻の真実と向き合う話。
序盤は、泣かせようって感じだなぁ、とあんまり読み進められなかったんですが、中盤以降は本当に怒涛で、あっという間に読みました。号泣っていうよりは、ポロッと泣けました。
宮部のような人が死んでしまうのが戦争なんですよね。


バルタザールの遍歴/佐藤亜紀


一つの肉体を共有する双子がナチ台頭のウィーンを逃れ、遊興と退廃と共に辿る道行き。

完璧な小説、と帯にもありましたが、まさに良いものを読んだ実感。主は双子の片割れメルヒオールの手記ですが、所々に挟まるバルタザールの述懐にはっとさせられます。
ほかの著作も読んでみようと思います。

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