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†佐久間と吹雪



俺はあいつと妙に仲が良い。

なぜだ、いつもなら嫌いな奴でない限りこんなこと考えないのに、こればっかりは気になり出したら止まらなくなった。

「おはよう、佐久間くん。今日も良い天気みたいだね」
「ああ……そうだな」

出会い頭にそう言ってふんわり笑うそいつに、ちょっとだけぎこちなく返事をする。
そしたら吹雪はそんな俺に気付く素振りもなく(もしくは無視されたか)、当然のように俺の隣を歩いた。
そこから今日の会話が始まる。
別に仲が良いから会話も弾むとかそんなわけはなく、俺とこいつの会話は常に流れているのだ。
何にもつかえることなく、途切れることもなく、調子が変わることもなく、終わることもなく、ただ流れている。
何も悪いことなんてない、上手くやれている。
それなのになぜ吹雪との仲を気になり出したのか、それはたまたま吹雪と一日中一緒にいた日から始まった。
そして今日、また朝から吹雪と共にいる。

「なぁ吹雪、お前俺のことどう思ってる?」
「え?」
「いや……ほら、俺達って正直、出会いがアレだっただろ?それにまともに会話したのだってつい最近だし」

むしろ数日前だし。

「あー……確かにそうだね。真帝国のアレって出会いに入るの?」
「………俺あれ黒歴史だから入れたくねぇや」
「じゃあ、なしで。そうだね、確かに最近だよね」

俺と吹雪が朝から出会うと大抵、食堂に入った時にはすでにお互いがよく行動を共にする相手が他の相手と朝食をとっている時だ。
俺は鬼道(と不動)、吹雪は豪炎寺と染岡。
だから暇な俺達は一緒に朝食をとる。
そこまでは良い。
朝食が終わってお互いのそういう相手がちらちらこちらを見てるのをわかっていながら、あえて俺達は気付かないフリをして結局一日中一緒にいるのだ。

「ぶっちゃけ吹雪みたいなタイプは帝国にいなかったから、俺ちょっとお前のこと苦手」
「ぶっちゃけたね。それを言ったら僕もだよ」
「じゃあ俺達、なんでだ?」

何が、とは言わないし聞かない。
ちらちらこちらを見てくる鬼道や豪炎寺を今すでにもう俺達は無視ってる。

「うーん、あれじゃないかなぁ」
「あれ?」
「僕も君も、お互い気に入ってるんだよ」

ね?と首を傾げる吹雪に意味がわからないと伝えたら笑って流された。
しかし心の中では納得してる俺がいる。
結局俺達、お互いただ人間的珍しさに惹かれただけのようだ。





―――――――
佐久間も電波でいい

†豪吹と虎丸

※微ネタバレと微下品



親が子供にきかれて最も困る質問とは各家庭でそれぞれ違うし、複数ある。
ただしどの家庭でも共通して「困る」といえる質問はきっとこれだろう。

「豪炎寺さんと吹雪さん、夜にいっつも何してるんですか?」

ジャパン宿舎に吹雪がきてからほぼ毎晩のように行われている二人の愛の行為。
合宿所時代は虎丸だけ自宅通いだったから気付かれずに済んだことが、ここにきてついに疑問を持たれてしまった。
どう答えようか迷いに迷ってそのまま動きを停止させてしまった豪炎寺と吹雪を俺は見ながら、鬼道あれなんとかしてくれと呟きながら背中をぎゅうぎゅう押してくる不動と佐久間のそれに、足を踏ん張らせて全力の抵抗を続けた。
やめろお前達、あんな静かな修羅場を俺に鎮めさせるんじゃない!

「吹雪さんの声かな?よく聞こえるんですけど、夜中にお二人で何してるんですか?」
「…………ふ、吹雪…」
「やめて、それを僕のせいにしてこっちに押しつけるのほんとやめて」

あぁそうだな、吹雪だけのせいじゃない、というかまず吹雪のせいではないだろうな。
合宿所の壁は薄かったから俺の部屋まで聞こえる時期があったぞ、気を付けてやれよ豪炎寺……!

こっほん、吹雪が咳払いをした。

「あー、あのね虎丸くん。あれはね、その、あれだよあれ」
「あれって?」
「あれだってば、ほら染岡くん的なあれだよ」
「オイこらどういう意味だ吹雪」
「ああ!わかりました、プロレスごっこですね!」
「うんそう!」
「今のでわかったのか!?嘘だ!」

男泣きするなら影でやってくれ染岡。
なんだか意味もなく同情してる豪炎寺が哀れんだ目でお前を見てるぞ!

「じゃあやっぱり豪炎寺さんの方が強いんですよねっ?」
「え?あぁ、うん、そう!やっぱり豪炎寺くんは強いよー」
「吹雪さんの場合はほっそいから、すぐ折れそうで怖いんですよ!」

おい、おいそこ、勢いよくかつ小刻みに頭を上下に振り回すのをやめろ豪炎寺。
虎丸の意見に賛成なのはわかるが、頭おかしくなった人間みたいで恐ろしいうえに気持ち悪いぞ!
(ついでに俺はもう帰っていいだろうか)

「あーでもよかったぁ、ただのプロレスごっこで!」
「え?」
「だって吹雪さんのあんあんって声、なんかやらしーんですもん」

変なことじゃなくてよかったです!
そんな虎丸の、笑顔が眩しい。

「この子の教育に悪いよ豪炎寺くん!」
「すまない自重する!」

†一之瀬と吹雪

※ゲームネタバレ






『もう大丈夫なの?』
「あぁ、おかげさまでね」

手術が終わって最初に顔を合わせたのは土門だが、最初にことばを交わしたのは吹雪だった。

目覚めた時に俺の顔を上から覗き込んでにんまりと笑った土門は電話をしていて、会話の節々に出てくる名前からその相手がイナズマジャパンだと知った。
うっすらもやがかかったようにぼやける頭で知った。
即座に思い起こす顔といえばやっぱり円堂守だけれどそれも一瞬。
すぐに脳裏には別の人物が現れた。

俺があまり上手く回らない呂律で彼の名前を口に出したら土門はくすりと笑って、また電話に向かって早口に何かを伝える。
それからすぐ横の椅子に座ったかと思うと携帯電話を俺の耳にそっと押し当てた。
もしもし?耳から入ってきた優しい声は俺の脳みそを覚醒させてくれたんだ。

「あー………うー…」
『本当に大丈夫?』
「ん、大丈夫……なんだか、しゃべりにくくて」

全身麻酔は使われていないはずなのに、話したいこともいっぱいあるのに、口を動かすのがひどく億劫だなぁと思えば思うほど、喋れなくなっていく。
土門が苦笑した。

『今、終わったんだよね……無理しちゃ駄目だよ』
「手術自体は、もう少し前に終わってるから………いいよ、いっぱい話して、吹雪。今すっごく、声が聞きたい」

結果はわからない。
成功しかのか失敗したのかわからない。
なんにも聞かされていないからだ。
だって今起きたんだし。

『一之瀬くん、もし成功してたなら回復して最初に僕とサッカーしてよ』
「吹雪と?」
『うん、僕と。円堂くんや土門くんや他のアメリカメンバーよりも先に、僕と。駄目かな?』
「いいけど……どうして?」
『病院』
「え」
『僕も、知ってるから』

知ってるからって、何が?
決まってるさ、喜びと絶望だ。

病院のベッドの上で目覚めて始めに聞かされることばに絶望することも、長らく必死になったあとに医者からもう大丈夫だと聞かされた時の喜びと安心感も、吹雪は両方知ってる。
だからこれは気付けだ。
どっちに転ぼうとも気をしっかり持てと、何があっても一緒に喜びも絶望もすると、吹雪はそう言ってくれている。
泣きそうだった。

「……吹雪」
『なぁに』
「サッカーしたい、早く」
『うん』

電話を切ると泣きながら笑って叫ぶマークとディランが病室に雪崩れ込んできて、病み上がりの俺に抱きついた。
それが、手術結果だった。

†豪吹


好きな人のそういう姿ならなんでも可愛らしいと思ってしまうほど盲目的な恋をしているわけだが、似合わないとは何があっても言わないけれど代わりに言わせてほしい。
甚平でなくて、浴衣姿が見たかったと。

「豪炎寺くん?」
「ん、なんだ吹雪?」
「どうしたの?…楽しくない?」
「いや、そんなことはないさ」

不安げに眉尻を下げる吹雪の髪を優しく撫でて、数分前に買ったたこ焼きをひとつとって「でも、」なんて言うその口に突っ込んだ。
やはり熱すぎたようで案の定というか、短い悲鳴をあげてはふはふと口を開閉し、立ち止まったかと思えば、はふはふ言いながらだっと走り出して前方にいる円堂達へと突っ込んでいった。
今度は数名分の悲鳴。

「ねえ、豪炎寺くん」
「どうした、基山」
「さっきのはひどくない?吹雪くん猫舌だって知ってるでしょ」
「まぁな」

あの姿が可愛いんだ、俺は。

「………なぜお前は浴衣なんだ。いやなぜお前が浴衣なんだ」
「そんなこと言われても……あ、俺似合う?」
「そこそこ」

吹雪と一緒に円堂宅で借りてきた浴衣と甚平、二人はじゃんけんで決めたというがそこは基山が吹雪に浴衣を譲るべきだと俺は心から思う。
吹雪には黒い甚平よりも、白い浴衣が似合うと思うからだ。
まぁ、それでも似合ってるが。
わかっていて吹雪に浴衣を譲らなかった基山をじとりと睨んでやると、こいつは悪びれもせずににっこりと笑った。

「そりゃね、俺だって吹雪くんには浴衣がいいと思ったさ。でもこれ白いし、吹雪くんには黒がいいと思ったんだ」
「は?」
「近くで見ればわかるはずだよ。ほら、帰ってきた」

ごぉえんじくぅん、と恨めしそうに真っ赤になった舌を出しながら吹雪がぱたぱたと戻ってきてから基山はいなくなり、半泣き状態の吹雪は俺の前でぐずりだした。
よほど円堂達と暴れたのか甚平が大分乱れ、黒の生地が吹雪の肌の白さを際立たせて…………はっきり言おう、エロい。
吹雪と着物と黒……なるほど、このエロさを出すには白生地は惜しいということか基山!

遠くからぐっと親指を立たせる基山に同じく指を立てて返し、吹雪の頭をなでる。
円堂には悪いが、このあと吹雪と抜け出した後に少し服を汚してしまうがまぁ仕方ないだろう。

好きな人のあられもない姿にはどんなものでも欲情してしまうような盲目的な恋を、俺はしているのだ。







(……今は正そうか)
(ふえ?)

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