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えり足の形も目の色も声も



「愛されてますね」

一緒にブライダルフェアにいった後輩が言う。

まさか、まさかの展開で、4人で行った式場見学。彼女は年下で、でももう結婚もしていて。なのに学生のように可愛らしい2人に癒されて、初対面な彼同士も普通に仲良く話してた。

「自分の大切な人たちが仲良くしているのを見るのは本当に、凄く嬉しいものだよ」

結婚した先輩が言った言葉。
後輩やその旦那さんと笑って会話する千明さんを見ただけでそう思うんだから、きっと両親になってくるともっとそう思うんだろな


試着会でウエディングドレスを着てみたのはいいけど、
「やだ、え」
「無理だから」
と式場の人に意味分からんことを言って試着室から出れないあたし…

すぐに迎えにきた千明さんは
あたしの両手を握って、
『かわいい…!』
と言い、ぶんぶんと手を上下に振る。

嬉し恥ずかしくてなんとも言えない気持ちになって。まともに全身鏡なんて見えやしない。

そんなまっすぐに気持ちを届けてくれる千明さんも、まともに見えやしない

「彼、珍しくてとてもいい人ですね」
ドレス担当の人が脱ぐのを手伝ってくれながらそう言う。
なかなか自分から「可愛い」なんて、男の人って言ってくれないんですよ、って。

全部まっすぐに伝わってるよ



本当に結婚します
カウントダウンが始まった

大事にしたくてされたいだけ



友達の話。

素直な気持ちを隠さずにいようと思ったのは自分で。今までずっと我慢してきたんだぞ、っていう被害者根性もそこにはこもっているはずで。

そんな色々が上手くいかないから何も知らないかも知れない、全部知っているかもしれない千明さんが『あおがいいんだよ』って。
そういって言葉にして形にして欲しくないあたしについての全部をまとめてまるめて認めてくれているような気持ちになる言葉に、より一層安心してしまうのかなって。


いまのあたしの周りにある環境や人は、ひとつ残らずあたしの選んできたこと。
行動や言葉全てで引き寄せてきたことたち。自分のことも好きだし今あること全部すきで認めたいと思っているのに、底では自分のこと認められてなんかいないから、全部が崩れる。

自分も、人も、環境も。
全部がぜんぶ、嫌になる
こんなあたしが選んで作ってきた物だから。そう思ってしまう。

苦しめているのは自分自身で、
気付いて認めてあげて、それで?
最後のさいご、自分を愛せない

誰にも好かれない
必要ない

グループで喋った後には、
「あーまた喋りすぎた」
必要ないこんなやつの話。

どう思われているのか

それでいっぱいいっぱい

こんなだから千明さんに依存してしまうのかもとも思う。依存してないフリして。
自分も人も大切にできてない今。

ただ、拗ねてるだけなんだよ
それがわかった後はどうしたらいい?

言い訳をしながらひとつずつ進んでいくのか、この先も。

「今更もう誰に何を思われても
どうでもいい」

どん底で読んだアオハライドに支えられて、もがいてみるよ。

もう少ししたら「くだらねー」って笑ってる。ぜーんぶ知ってるから。大丈夫だよー、あたし。

この本を朝選んできたのも自分。
やっぱちゃんと、ひきよせてるよ。


できれば僕もひとつ欲しい



『用意しよう』
そう言って一緒に寝転んでいたのに急に、上に跨ってきた千明さん。

よいしょっ!
と聞こえたあたしはその掛け声で襲われるのかと思って、「いや、ちょ、やだ…」本気で引いていた。

ただ跨ぎ越そうとしてただけだし、聞き間違いに気付いて笑った後は、「よいしょっ!」って言いながら2人で腰振る真似。


しばらくゆっくりしてないなー
夜は相変わらずのすれ違いで、抱き合えるのは眠る時だけ。

甘えて側に擦り寄って眠る千明さんを何度みても状況が読み込めない。
とても手に入らないものを毎日見ているような気分。

両手に余る幸せに、こんなあたしでいいのかと幾度となく責める。自分も、彼も。

「間違ってない?」
度々、不安になって確認する。
何度でも怒らず応えてくれる千明さん。そんなあなただから未来を考えられるんだよ。

こんなに幸せそうな自分に出会えること、貴方と以外ないのです。


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