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おばけなんて嘘さ!


「さむい」

家に帰ると、部屋はきんきんの冷たさでした。

「透世も、こっちにおいで」
「ホラー見てるから」

ふたりの兄に促されるまま、私はソファへ。
ホラーなんて、何を見ているのかと思ったら、随分と古めかしい映像でした。

「なぁに、これ」
「チャッキーだよ」
「チャッキー?」
「知らない?」

……知らないなあ。

「人形が動くんだよ」
「そいつがチャッキー」
「殺すんだ」

どうやら、人形が動くようです。
大人しく見ていると、怖がりの常世お兄ちゃんは、短い悲鳴を連発。目なんて、手のひらで半分覆ってしまっていました。
その悲鳴にびっくりするのが、私と千登世お兄ちゃん。
怖がり、って訳ではないですが、やっぱり驚いてしまう。


「あのさ、」
「なに」
「なんで、人形一個、すぐに壊せないだろうな?」

その言葉に、凍りつく私達。

「そりゃあ、チャッキーは呪いの人形だから」
「刃物も持ってるし」
「でも、人形じゃん」
「でも、呪いの人形だから」

ホラーって、見ていると、自分ならこうするのに!みたいな場面になりませんか?

私より怖がってくれる人がいるお陰で、今日の私はどっぷりとホラーに浸れていませんでした。
しまいには千登世お兄ちゃんとふたりで、なんで?家の中はだめだって!そこで躊躇うなよ、ちゃんと殺さないと!なんて、サバイバル気分になっていました。


「海外ホラー好きだなあ」
「なんで」
「頑張ったら倒せそうだから」

それを聞いた常世お兄ちゃんは、ゲーム脳だ、と千登世お兄ちゃんに言っていました。

ホラーだと私は、日本特有のあの気味悪さと救われない感が好きです。
輪廻、とか、大好き






その先は言わないで

NieR:Automata
人形達ノ記憶


2Bと9Sの会話が、ひたすらに温かくて寂しい
9Sの語りも、思い出を辿りながら話している感じで、2Bはいなくなってしまった、大切な存在だったんだと伝わってきて、胸がぎゅうっとなりました。

2Bだけが、それしか、見出だせなかったんだ。

二人で見た世界が眩しすぎて、ひとりぼっちが辛くて……死への餞も、人類を真似ただけのもの。彼らは機械だから。その気持ちが、人類に近づきつつあるとは気がつかない。

私が好きなのは、遊園地の歌姫戦でのBGMなのですが、ボーカルの方の後ろで流れる戦闘シーンの美しいこと!

声優のみなさまの語りも相まって、さらに、ニーアに感情移入してしまいました。

DVDも発売するそうなので、これは絶対に買いです。


彼の逃走劇

外は土砂降りの雨だと言うのに
我が家のお犬さまが逃げ出してしまいました。

しばらく雨が続いていたから、散歩もながくできなくて、きっとモヤモヤが溜まっていたのでしょう。
ごはんをあげようと、お兄ちゃんが小屋を開けた瞬間に

ダッシュ!

「うそ!」
「どうしたの?」
「ハコが逃げたっ」
「えっ!」
「コトは?」
「コトはいる……」

うちには犬が2匹います。
白いハコと
茶色なコト。

コトは小屋の中で、ハコの脱走を心配そうに見つめていました。

ハコはやんちゃなお兄ちゃんっ子
お兄ちゃんと遊んでいるつもりなのか、お迎えに来たお兄ちゃんに近づいてはギリギリで避けて、また近づく……の繰返し。

おやつ作戦を試みましたが、水溜まりに足を突っ込む方が楽しい様子でした。

私も、ふたりのお兄ちゃんもお手上げです。

「仕方ない、奥の手を使おう」
「おぉ、使っちゃいますか」
「あれしかないね」

奥の手、とは。

みんなで、遠くに走っていってしまったハコに叫びます。

「ハコちゃん、バイバーイ」
「帰るね!」
「じゃあねーハコ!」

それから、3人で家に帰る。それだけ。
構われたがりなハコは、そうすると一気に不安になるらしく、慌てて私たちのところへ走ってきます。
足元をうろうろしますが、無視、無視、無視……

「ハコ、お家は?」

そう聞けば、ハコは小屋に向かってダッシュ!
きちんと収まってくれました。


帰ってきたハコは、ぐっしょり濡れていて、なんだか野良犬みたいな出で立ちになってしまいました。
鼻筋の毛が薄いから、うっすら地肌の黒が目立って、なんだか……

「なんかメイク濃いね、ハコ」
「アイラインも濃いね」

ハコは知らん顔でした。






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いとしい、いとしいと言う心

うちの一番上のお兄ちゃんは、高慢で我が儘な女王様みたいな人だ。

目配せひとつで意思を伝えて、ため息ひとつで誰かを落ち込ませる。それなのに、人一倍の負けず嫌いで、努力と計算を惜しみ無く捧げていく。水面下の白鳥みたいに澄ましながら、波を掻き分けて進んでいく人だ。

だから

だから、きっと
誰かはそんな姿を見て、憂鬱になったりするんだろう。


思う。

「遠くで見ている分はいいけれど、近づきすぎると潰れてしまう」


でも、この距離で満足できない時がある。
見つめるだけでなく、意図を持って触りたくなるのだ。

キーボードを打つ後ろ姿に、そっと近づく。

「肩でも揉みましょうか?」
「やった。誉めてやろう」
「光栄です」

軽いやり取りをしながら、私の指はいらない力が入る。邪な気持ち、隙間から溢れる汚泥、甘い香りの爪先。
脛椎が美しくて、撫でたくなった。

「なあ、」
「なあに」
「まだ、好きなの」

ああ、頬を叩かれたような衝撃。
諦めなよ、そう言った。
バカだなあ、バカだなあ



「できたら、とっくにやってるよ」



震える手で、胸を開いて



「絵、書いてるんでしょ」
「どんなのか見せてよ」

そう聞かれて、言葉に詰まってしまいました。

「どんな絵を描くの」
「本名で描いてるの」
「検索したら絵、見れる?」

初めて会う人に、自分の描いた絵を見せるのは、少しだけ抵抗を感じてしまいます。
絵=本質、趣向と、囚われているようで。

「透世の絵は、皮を一枚剥いだ姿なのね」

昔、篠束ちゃんから言われたことを思い出す。
剥いだ皮、輪切りの肉、瞼の窪みに落ちた影。

そういう人なのかと、思われそうでイヤだった。
引かれそうで、イヤだった。

「絵を描く人って、見せてなんぼじゃないの」

見せるのを躊躇った私に、掛けられた言葉は、とてつもなく苦かった。
見せる相手を選んでいるの、なんて言ったら、この人は怒るかしら。それとも、情けないと笑うかしら。


「見せれるものが、描けたら」


誤魔化した言葉。
怯えていると、悟られはしなかっただろうか。





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