称号が先か、名誉が先か
2010-8-14 20:34
騎士が先か、戦士が先か(134)
珍しく幼いナイトがぼんやりとしているのを見止めて、セシルは小さく首を傾げた。
しかし、ただぼうと送っているだけに見える視線の先をたどって納得する。
そこには、仲間達と手合わせをしている勇者の姿があった。
「強いよね、ライト」
話しかけながら、たまには自分も手を合わせてもらおうかと考える。
軍人であった騎士、兵士、獅子、そして例外として含まれる勇者は指南側にまわることが多く、剣を交えることはほとんどない。
もっとも、手合わせしていた時に一度、蒼白な顔をした義士と太陽に「心臓に悪い」と止められたことがある。
そんなに本気で立ち合っていたわけではないのに と呟いたら、「言わないでおいてやれ」と兵士にたしなめられたのだが。
「……でも、"戦士"なんだよね」
何となく、オニオンナイトの言いたいことがわかるような気がした。
形式の型に囚われているわけではなく、しかし美しい戦い方。
自らを律し、強くあろうとする心。
仲間を思うが故に、時に厳しく接する優しさ。
調和の女神に傅き忠誠を誓う姿や背筋を伸ばし剣を掲げる様は、"ナイト"の称号を賜った騎士や少年から見ても、十分その肩書きに値すると言える。
だが、彼は自らを"戦士"と名乗る。
けして、そのように立派ではないと、以前に言ったのだ。
「騎士が先なのか、戦士が先なのか。
ライトを見てると、いつも考えるよ」
けれど、きっと答えは目の前にあって、だからこそ"ナイト"である二人は己を戒める。
騎士たらんことを、誇りに思って。
騎士が先か、戦士が先か
――ウォーリア・オブ・ライト、光の戦士。
彼の行く先にどうか、光あれ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
atogaki
まぁライトさんもゆくゆくはクラスチェンジしてナイトになるんですけどね。
そのために試練を受けることになりますが、実はライトさんにだって足りないものがあるんです。
これはFF1ネタで書けたらいいな……
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