「もう少し生きられると思ったのに」












絶望色をした目が静かに私を捉らえて、

そう言った。




病棟に上がるまでの数十秒間、


エレベーターの中で、

私は背中をさすることしかできなかった。









私は、

あの目を一生忘れることはないだろう。












人生の終焉を迎えようとするその人の時間を、

その人と共に過ごす、ほんのわずかな時間。




私の心は決まって揺れる。



そう、いつも揺れ動いている。