「……村田のヤロー…」


 あいつは昔から、俺とアイツとヴォルフの3人でつるみ始めたあの時から飄々としていた。
何かを見透かしたようにいつも何かを隠しているようで、でもなんとなく恨めなかったりするのは、もはや腐れ縁だからだろう。
ま、今回はちょっとばかり違うけど。







「…………にぃ…ちゃ………」
「…俺はここだよ」


 抱きしめた身体は温かく、ほんのり情事の名残を纏っていた。あんなに不安げなヴォルフを久々に目にした俺に、彼女の要望を断る術なんて無くて。


金の糸のような髪に、ただただいとおしげに触れた。シーツがやけに冷たく感じて、余計に熱を認めざるを得ない。


 俺たちは互いの熱を貪るように抱き合った。欲求が理性に追い付かなくて、何度も何度もヴォルフラムの中に身を沈めた。
そうやってどんどん罪を重ねていく、泥沼のような世界にいる でも。



(やっと、手に入れたんだ)



何にも替えることの出来ない、唯一を。今やっとこの腕に抱いて眠る夢を何度見たか。




誰にも渡すもんか
俺の、俺の、俺だけのヴォルフを。


よりにもよって、一番信頼する親友に。



















渋谷、僕はね。
今まで君に見せてない部分があるんだ。
それは誰にも、ましてや妹ちゃんにも見せられないようなもうひとつの僕。そろそろ君にも思い知ってもらうしかないかな?






ねぇ渋谷。
「妹を抱く」ってどういうことか分かってる?












しな