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第十一話

※18禁要素含みます。
ご注意!!








初めて名前を呼んでくれたことに満足して、ますます動きを早くする。


ヴォルフラムにはもう、喘ぎ声を洩らす他には何も出来ないようだった。
狂ったように俺の名前を呼び、その華奢な身体でしがみつく。
その必死な様子さえ、


この腕の中に抱き込んでしまいたいくらい、


二度と離さないでおきたいくらい


愛しくて。


野球をやっていて良かった。軟弱なままでは、きっと、この妹を守りきれないから。


「ゆ、り、ふ…ッ!」

夢で何度も見た情景。
なあ、知ってるか??ずっとおれはこうしたいって思ってた。お前を抱いて、このたおやかな肩にキスを落として、胸にも脚にもおれが触れた証を全て残したいって。
お前は、そんな夢見たことがある??おれに抱かれる夢を、見てくれたことがある??


夢より何倍も、何百倍も素晴らしい身体が目の前にある。
絶対に無理だと、叶う筈がないと思っていた恋が現実に叶っている。


以前、村田がくれた物がこんな所で役に立つとは思わなかった。
付けて、中に侵入る。


「あああぁぁ…ッ!!!!!」
一際高い、矯声が上がった。







秘め事を終えて、俺達は暫く息さえ忘れたように、か細く、世界で唯一つの存在を感じていた。
本当に良かったのだろうかと後悔がよぎる。なんて苦くて、甘い残り香なんだろう。

「お兄ちゃん…ユーリ。」
ヴォルフラムが呼ぶ。

「私、幸せだから。後悔なんてしないでね。」
ああ、だから何でそう的確に俺の気持ちを言い当ててしまうんだ。


狂うような恋情。
俺達はもう一度、恋人同士のキスを交わしあった。


by 朝霞

※第十話





※ここから先は18禁要素を含むものになります。ぬるめですがお気をつけて!※






























「……っ、あ」
首筋に吸い付くと、ヴォルフラムは小さく啼いた。押し倒したベッドは下の段。それはヴォルフラムのベッドだった。


「や、お兄ちゃ、んっ」
「怖い……か?」
ヴォルフはううん、と必死に首を振る。その金髪を優しく撫でて、おでこにキスをした。その不安を取り除くように。


ああ、匂いがする。ヴォルフラムの香りだ。ゆっくりとまるで味わうようにその温かさと温度とを確かめる。

ひとつずつボタンを下から辿って外していくと、そこには真っ白な肌と鎖骨が露になる。

まだキャミソールは脱がさないまま、俺は左の鎖骨の下あたりに鬱血印をつけた。


左は心臓がある場所。
ヴォルフラムが生きる糧に、俺は印すんだ。俺は確かにお前を、愛していると。



「恥ずかしい…よ…」
「ヴォルフラムを、見せてよ…。もっと、恥ずかしいとこもいやらしいとこも、全部。」



ごめんな、と一言伝えて。
俺はキャミソールをたくしあげて、ブラジャーを上げた。
ちゃんと脱がしてやりたいけど、もっとヴォルフラムが見たくて、もっとヴォルフラムを感じたくて。



「……………ぁ、っ……」

その乳頭に口づけたら、そっと漏れた息。もっと、もっと、もっと。

その桃色の果実のような粒先に舌を這わせば、面白いように彼女は声を漏らす。でもそれを聞かれないように自分の口を押さえていた。

でもそんなの許さない。
俺だけの耳にその声を流して、もっと俺にお前をくれよ。
そんな意味をこめてその指を絡めて、口から離させた。


そして腹に感じる僅かな振動。いつの間にかヴォルフの両足が俺の腰に巻き付いていた。そして俺が吸い付く度に振動を大きくするその下半身。



ヴォルフラムのそこはもう、限界かもしれない。








「…っ、おにい、ちゃ」
「ユーリ…、だろ…?」


「………っ、ゆ、ゆーりぃ…!」







BYしな

第九話

それでも、この手を離したくないなんて。




ほんとはきっと、先に欲したのは俺の方。
それでも優しい妹は、恋人は、それを赦してくれる。


「ん……」
唇を貪ると、甘い声。
相手の意識がある状態でのキスは初めてだった。
重ねるだけでは足りなくて、もっと近付きたくて、足を絡め、膝を割って、交差させる。
恥ずかしそうに欲求に応えてくれる様子が愛しくて、この表情を見るだけでもう、俺は死んでしまっても構わないなんて。
こっそりと目を開けると、ヴォルフラムはぎゅっと瞼を下ろして、一生懸命に俺にしがみついて、合わせた唇に息を苦しそうにしながらも、やめようとはしていなかった。
涙が眦を濡らす。
それが息苦しくて零れた生理的な涙なのか、それとも罪の意識から生じたものなのか。
或いは両方だったかもしれないけれど、余裕のない俺には、その意味を推し量る暇はなかった。

「その…、ヴォルフラム、イイ??」
頷いたのは間違いなく肯定のサイン。


ああ、神様。
もしいるなら、俺にだけ罰を与えて下さい。
妹は何も悪くない、ヴォルフラムは何も悪くないんだ。


神様カミサマ。
どうして俺達を兄妹として生まれさせたんですか。


快楽に溺れる寸前に、頭の隅でそう問う。
答えは、返ってこなかった。




by 朝霞

第八話




「あーら!ゆーちゃんヴォルちゃん、二人してどこにお出掛けだったのかしらー?夕御飯前に!」
「おふくろ、ゴメン!いやさー、昼前に行ったバッティングセンターに忘れ物しちゃって。ヴォルフラムが気付いてくれたんだ。」
「お兄ちゃんったらグローブ忘れてたのよ?もうホントに忘れっぽいんだから…。」



食卓には笑いが響いていた。おふくろも親父も、俺とヴォルフラムのケンカ≠ェようやく収まった、と安心しきっている。


俺たちは上手く、演じられているんだろうか?


隣に座って、時々偶然を装って触れたお互いの指が熱い。
食卓の下で、俺たちは両親たちには見えないようにこっそりと指を一瞬、絡めあった。
それは俺たちのこれからの未来のようだった。










俺たちはお互いの気持ちを知ってしまった。もう、兄妹には戻れない。

誰もいないバッティングセンターの前…俺たちの思い出の場所で、愛を誓ったのだから。





そしてこれは契約だ。
俺たちは俺たちを否定せず、受け入れようという誓いの元に。








「おにい…ちゃん。」

部屋に入った途端、色づいた空気に俺は思わず、まだ戸惑う。


好きだよと言った。
抱きしめた。
首筋に顔を埋めた。
心の中で、泣いた。






ああ俺たちはついに、罪を犯してしまった。









BYしな

第七話

「……おかしいって何がだよ。」
だからこそ、今の俺には、そう問い返すことが精一杯だった。
「男の」顔じゃなくて、「兄の」顔を果たして作ることが出来ているだろうか。
ヴォルフラム。弱い俺を許して。



俺には
俺には
俺には、



こんな風に何気なく装うことしか出来ないんだ。

「あのね……、」
ドクドクと胸の鼓動が速い。破裂してしまいそうに波打って、波打って、そのまま弾けてしまいそうなんて。
ヴォルフラムは、自分の爪先を見つめたまま、何も言わない。それが、俺に警鐘を投げかけていた。
一千万分の一の確率が。

「お兄ちゃんだって、本当は分かってるんでしょ??」
現実になる予感がした。


震える声で、もう平静を装うことも出来なくて、俺はそれでも日常にピリオドを打ちたくなくて、見えない力に抵抗する。
押し倒したいぐちゃぐちゃにしてしまいたいあの細い肩を抱きたい、いや待って。
俺達は、兄妹じゃないか。


俺の欲望と、僅かに残った理性が争っている。
俺に出来るのは、馬鹿みたいに問い返すことだけ。

「……何がだよ…。」
「知ってる…でしょ。私、」
蚊の鳴くような声で、彼女は続ける。
「私、お兄ちゃんのこと、」
「言うな!!」
俺は耳を塞いで、現実から逃げようとした。
俺だって聞きたい感じたい耳も口も足も全て俺の物にしてしまいたい。
でも、俺達は。


「ヴォルフラム。」
名前を呼んだ瞬間、自分の声音が妹を呼ぶものではないことを知る。
日常が、パリン、と割れる音がした。


by 朝霞