ゆめくい
笛!:三上
01/16 19:25
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「あきらは、いつもそうね」
「あ?」


不機嫌そうに顔をしかめた彼を見ながら私は目に涙を浮かべた
亮はなんとも気まずそうに目を伏せて顔をそらした

亮がサッカーが1番なのは知ってる
誰よりも知ってる
ずっとそばで見てきたから。
中学の頃から、努力を。
だからしばらく連絡がなくても我慢してきた


「いつも勝手に決めて勝手に進んで」
「……」
「私を置いていくの」


浮かべた涙がぽつりと下に落ちていく
彼は海外のプロチームに行くことに決めたらしい。
しかもそれを聞いたのは本人ではない、後輩からだった
何年たっても犬のように可愛い後輩から電話がきた。


『おめでとうございます!』
「え?なにが?」
『なにがって、三上先輩が…』


何と言って切ったか覚えてもないけど
まっすぐ彼の家に向かったのだ。
彼がどういうつもりで黙ってたのかわからない
もう別れるつもりなのかな
そう思うと一粒落ちた涙がぽつぽつと何度も落ちていく


「亮は、どこまで私を置いていくの?」


一緒にいない時間で寂しくない日なんてなかった
それでも頑張ってる亮をみて私も頑張ろう、寂しいのは私だけじゃないと思ってきた。
でも…


「私だけ…」


私だけ好きみたい。
全部言葉にする前に大好きな匂いに包まれていた
抱きしめてもらうのは、いつぶりかな


「置いてくつもりなんてねーよ」
「…うそ。」
「お前ならついてきてくれるって思ってた、安心してた」
「え…?」
「ついてきてほしいんだ、結婚しよう」


少し離れて見た亮はいつもみたいに偉そうに笑いやがって
その余裕そうな笑みがムカつくのに好きで仕方がない


「もっとちゃんとするつもりだったんだ。プロポーズも、報告も」
「…だから不機嫌だったの」
「あのバカ代のせいで泣かせちまうし予定は狂うし最悪」


はーっと大きなため息をついて髪をくしゃりと掴んだ亮に思わず吹き出すと
彼も困ったように笑ってポケットから指輪の箱を取り出した。


「で、返事は?」
「そんなの、決まってるよ」




1歩先を行く

(でもちゃんとまっててくれる)















久しぶりの三上くん
俺様だけど自分勝手だけど努力家で優しいのは何歳になっても変わらないでほしい。

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