ゆめくい
排球 松川
05/06 21:32
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残業ばかりの日常に嫌気がさす。
大きなため息を飲み込んでパソコン画面を睨みつける。
入社して数年がたった。
そこそこの事を任せてもらえるようになったけどまだわからない事も多い。
元々要領が良くない私は任せてもらった仕事をこなすのが限界で毎日が必死だ。
むしろ今は進まなくてキーボードを打つ手が止まる。
教えて貰ったはずなのに思い出せない。
頭をフル回転させながら思い出せと呪文を唱えるが思い出せない。
バカな私がほんとに嫌になる。


「どこがわからないの?」


とん、と私のディスクに誰かが手をついた。
見上げなくてもふわりと優しい匂いで誰だかわかってしまう。


「松川さん…」
「うん?」
「あの、松川さんも残業だったんですか?」
「…まあそんな感じかな。ほら、どこでつまづいちゃった?」


私を見下ろすように見ていた松川さんは私の視線に合わすように腰を曲げて目を細めて笑う。
心臓が煩くなる。絶対今顔赤い。


「あの、ここ、なんですけど…」
「ん?…あぁ、ここね。難しいよね」


そう言って説明してくれる松川さんの言葉を聞き逃さないように必死になるも耳元で喋るものだから心臓の音で聞き逃しそうになる。
でも聞き逃してしまうときっと呆れられてしまうから何も考えないように無心で集中するように言い聞かせた。


「…これで、大丈夫?」
「はい!ありがとうございます」


松川さんに笑いかけると少し驚いた顔をして私を見つめたあと優しく笑いかけてくれた。
ああ、ほんとに心臓がもたない。


「あの、松川さんはもうおわったんですか?」
「んー…そうね。」
「あ、じゃあ足止めしてしまいましたね。お疲れ様でした。」
「??ちゃんはあとどれくらい?」
「え?あ…あと、20分くらいですかね」


パソコン画面をちらりと確認する。
教えて貰えてもらったお陰であとはほとんど入力するのみ。
もしかしたら20分もかからないだろう。
ああ、もう少し私が仕事が出来たら一緒に帰宅出来たのだろうか。
くそぅ、と心の中で自分を責める。


「そ…じゃあもう少し頑張ってネ」
「あ…はい…え?」


もう彼は帰るのだと顔を上げると松川さんは私の隣の席に腰をかけるところだった。
驚いたまま彼を見つめ固まっているとスマホを出した所で私に見つめられていることに気がついたのか横目でこちらを見て目を細めて笑う。


「ほら、頑張って」
「あの、帰らないんですか…?」
「うん?そーね、??ちゃんが終わったら一緒に帰るよ。」
「え?…え??」
「ふふ。ほら、早くやっちゃって。ご褒美にご飯でもどう?」


頬杖をついて微笑む。
それがどうも色っぽく心臓がさっきより煩くなる。
どう反応したらいいかわからず固まり続ける。
顔が熱い。絶対赤い。
それを面白そうに見つめて微笑みを絶やさない。
ずるい。わかってて言ってる。


「…そんなことされたら、期待しますよ。」
「どーぞ?」
「っ…じ…10分で、終わらせます!」
「ふふ、はーい。」


楽しそうに笑いながらスマホを眺める横顔に気合が入る。

松川さんに、私から好きと伝えたら
次は彼の真っ赤な顔がみれるだろうか。




二人きりの夜
(本当は残業じゃなくて君を待ってた)














久しぶりに書いたら文が汚い…

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