ゆめくい
排球 松川
12/31 05:02
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「同窓会行ってくる」


彼がそう言ったのは数日前のことだった
社会人になってから出会った彼の高校の同窓会。
もちろん私は知らない人ばかりだし
女の子だっている。
不安にならないわけがないけど、私だって同窓会があれば顔を出したいし
それを止めるのも重い女になるだけだからとぐっと堪えて「いってらっしゃい」っと言った。


「遅すぎない…?」


彼はいつも飲み会に行っても1時には帰ってくる
それ以上は眠いから、と彼は言っていた。
しかし今の時間は1時半をとっくに回っていた。
何度も連絡が来てないか確認するものの反応は一切ない


「…一静のばか。」


ぽつりと呟いて重いだろうなとわかっているのに連絡してしまう。
いつもより遅いよ、不安だよと
短く打ち込むと送信ボタンを押した
ため息を付けばつくほど悲しくなって
不安が押し寄せてきた
どこかで寝ちゃったのかな。
事故にあったのかな。
もしかして、浮気なのかな。

嫌なことばっかり思い浮かんで
ぽろぽろと涙が溢れてきた
待ってることに疲れて布団に潜り込んだ。


「…ただいま」


そっとドアがあいて遠慮がちにする声に起き上がって小さな声で返事をした。
泣き出してから1時間後だった。
まだ止まらない涙をごしごしと拭く。
目、腫れてるだろうな。


「ごめん、遅くなって」
「…ん。」
「怒ってる??」
「…怒ってないよ」


私がそう返事すると一静は近づいてきて私の顔を覗き込んできた
ふいっと顔をそらしてもそらしても覗き込んでくる。


「な、に」
「…目、赤いよ」


ごめんね、と呟いてぎゅーっと抱きしめてくれる。
ああ、あたしってめんどくさい。
一静はきっと楽しんできたのに、それを台無しにしてしまってる


「…楽しかった?」
「うん、久しぶりだったからネ」
「そっか……あのね」
「ん?」
「浮気…しなかった?」
「しないよ。こんな可愛い彼女がいるのに」


更にぎゅーっと強く抱きしめてくれる
ちょっと痛いけど心地よくてお酒とタバコの匂いがする彼の服に顔をぐりぐりと押し付ける


「誰にも触られなかった?」
「ん、男といた」
「…めんどくさいやつでごめんね」


さっきより小さな声でそう呟くと
彼は少し笑って頭を優しく撫でてくれる


「面倒くさいなんて思わないよ」
「…うそ」
「俺、愛されてるわーって思った」


少し離れて彼を見ると
とても幸せそうに笑ってくれてて
この人を好きになってよかったって思えた


「このまま寝よっかなー」
「だめだよ、お風呂行ってこなきゃ」
「まっててくれる?」
「もちろん」


私の返事を聞いた彼は
また幸せそうに笑った







嫉妬
(それを彼は愛とよんでくれる)




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