なれそめ 続きます。
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今回は閲覧注意!
ゆうちゃんも私も最低って言われても仕方のないことをしてます。
けいちゃんと付き合う2〜3ヶ月前 わたしはある女性をひどく傷つけた。
その女性は私に 私が誰かと付き合うとき 他の異性と会うのをやめてほしいと言った。それが自分に対する償いなのだ というように。
私は それを守ろうと思った。
そうして見える世界もあるのかもしれないし。
そのあと 穏やかで努力家な すばらしい人に出会った。神様の御褒美なんだってくらいに。それがけいちゃん。
幸い、他の異性と会わないことも容易く思えた。彼も それを望んだし。
いつ捨てられるんだろう?なんて悩みはあったけど それでも穏やかに日々は過ぎた。
ゆうちゃんからメールがくることもあったが、うまくはぐらかす。その頃私は塾をやめ 別のバイトをしていた。直に メールも減った。
けいちゃんと付き合って8ヶ月くらいに、ゆうちゃんからわたしへ本当に久しぶりにメールがきた。
ねぇ、どうしてるの?
忙しいの?
何通かメールしてすぐ ゆうちゃんがひどく落ち込んでいることがわかった。
ゆうちゃんは珍しく、
会いたい、話を聞いてほしい
って言った。
迷いなく「大丈夫だよ、会おう」ってゆうちゃんにメール。
そのあと このブログで相談。
ゆうちゃんに会うことを けいちゃんに言うべきだろうか?って。
様々な意見をもらった。
私は結局 けいちゃんに言わずにゆうちゃんに会うことにしたんだけど。
会ったのは私の誕生日。
お誕生日メールできなくってごめんね、今日会うからいいと思ったんだ
相変わらずの口調でゆうちゃんが言う。
脇には きれいな袋。
お誕生日おめでとうって それをくれた。
わけっこしてごはんを食べたあと ゆうちゃんのおうちへ行った。
ゆうちゃんの家へは 何度か行ったことがあったのね。ゆうちゃんに彼女がいるときは ゆうちゃんがおうちへあげてくれることはなかったんだけど。
だから 安心してた。
ゆうちゃんの家へ入ったときのことを 私は書き残していた。そこから抜粋。
「ゆうちゃんの家は、前よりも少し乱雑だった。
本棚には去年の就活本。
そうか、ゆうちゃん 去年就活しようとしてたんだね。
そしてテーブルにはメモ用紙。
なんらかの電話番号の横に 小さな字で“いのちのでんわ”。震えた小さな時で “寒い”とも書かれてある。私はその字を そっと撫でた」
私はその日 ゆうちゃんと性交渉を持った。
私、最低だよね。
ゆうちゃんも 私に彼氏がいたのは承知の上だった。
終わったあと 泣いた。
もうどうしようもない そう思って、ゆうちゃんの部屋着にしがみついて泣いた。
それでも どうしても好きになってしまった そう思えて また泣ける。
ゆうちゃんは 震える手で私を抱き締めて 頭を撫でた。
泣き止んだあと 少し話した。
ゆ「なんで笑ってるの?」
私「おもしろいからだよ」
ゆ「なにがー?」
私「ゆうちゃんの顔」
ひどいーって笑うゆうちゃんに
私「嘘だよ、好きだからだよ
すきだから わらうの」
って言うと ゆうちゃんがわたしの耳にキスをして 小さな小さな声で「ありがとう」と言った。
ゆうちゃんがふらふらと立ち上がって トイレへ向かう。
もう日はだいぶ落ちて暗かった。
ゆうちゃんはトイレのドアも開けっ放しで 便器に戻していた。
見に行ってみると、しゃがみこむゆうちゃんの背中が やけに小さく見えた。
さすってあげなきゃ と思うのに、なぜか触れるのが躊躇われる。
コップに水をくんで 吐いているゆうちゃんをぼんやりと見ていた。
吐き終えたゆうちゃんが私を見上げる。
コップを差し出すと 不思議そうな顔をした。
私「口、ゆすげば」
って言うと ありがとう って泣きそうな顔で笑う。
その顔を見て心底 あぁ 背中さすってあげればよかった って思った。
でも やっぱりだめだ とも思える。
私「もう来ない」
って言って帰ろうとすると
ゆ「ごめんなさい
ぼくもう迷惑かけないから
全部我慢するから、だから
いままで通り仲良しでいて」
ってゆうちゃんが泣きそうな顔。
私は 無言で扉を閉めた。
だが私はそれからも ゆうちゃんの家へ通うことになる。
性交渉は なしで。
迷った末、けいちゃんと別れた。
別れる間際、けいちゃんには笑顔で ゆうちゃんには意識的に冷たく接していた。
ゆうちゃんに対してなんて、「もう来ねぇよ!」とか「お別れだね」って普通に言ってたからね。
それでもけいちゃんは「どうしてそんなに時々つれないの?」ってため息をついてたし、ゆうちゃんは「まきちゃんはさ、冷たいけど優しいよね」ってにこにこしていた。
やっぱり限界だって思った。
けいちゃんと別れて、ゆうちゃんに告白をした。付き合おうか、って。
そのときはぐだぐだだったんだけど その次会ったとき、
ゆ「まきちゃん 僕のことすき?」
私「嫌いだよ」
ゆ「僕は好きなのにな」
って、初めて 「好き」って言ってくれた。
いま思えば それが答えだったのかもしれない。
だけど私は信じられなかった。
セックスのあと、
私「告白もシカトだしさー」
ってぽろっと言った。
すると真っ青な顔で震えるゆうちゃん。
誰かに依存するのが怖い。
付き合って 自分がどうなるかわからなくて怖い。
ゆ「僕ひとりで決められない…
ごめんなさい…」
ってうつむいてふるえるゆうちゃんを 何も考えずに抱きしめた。
私「じゃあ私が決めてあげる。
付き合おう。
幸せにする、絶対
私が幸せにする」
何も考えなくても 言葉が出てきた。
そうだ 幸せにしたいんだ って 自分の言葉に深く納得する。
ただ ゆうちゃんの答えは
ゆ「僕、病気で…
病気でごめんなさい…」
だった。
私「ねぇ、
私たちが仲良くなったときのこと
覚えてる?」
うなずくゆうちゃんを抱きしめたまま、早口になりながら続ける。
私「私たちが仲良くなったのって お互い寝られなかったからじゃない?ってことはさ、つまり、ゆうちゃんって鬱病だから私と仲良くなったんだよね?ゆうちゃんは鬱病のおかげでこーんなに可愛い子と仲よくなれたんだよ?だからさ、だから」
今度は私が泣く番だった。
私「病気でごめんなさいだなんて、
もう絶対、一生言わないで」
ゆうちゃんも泣いていた。
今は急がないようにしよう
決められるようになったら決めよう
落ち着いたあとそう言うと 「いいの?そばにいてくれるの?」ってゆうちゃんが抱きついてきたので 笑って頷いた。
そのあとはなぜか 過去の恋愛の暴露大会。私の過去なんか ゆうちゃん知ってるのにね。
ベッドでとなり同士に座って 手をつないで話す。
だから、そのときそいつとやったんだけどさぁ なんて最低な私の話し方にも きちんと相づちを打ってくれた。
初めて ゆうちゃんの過去の恋愛について詳しく聞いた。
ふとした瞬間にゆうちゃんが漏らした、「ぼく、こんなこと誰かに話すの初めてだからさ」の言葉が誇らしい。
そのあと真夜中にふたりで定食屋に行ってアジフライ定食を食べた。
絶望的だったはずなのに なんだか笑いっぱなしだった夜だった。