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第二話「傲慢」
「いやっ」
私は霊夢にそのまま押し倒された。
「霊夢…やめ…て…」
霊夢は私の首すじを強く吸った
その位置は丁度私が昨日霊夢の首すじにつけたキスマークと同じ位置。
霊夢は多分あえてその位置を選んだんだ。
「あん…っ」
私は霊夢のキスに思わず声が漏れた。
「ごめん霊夢…っ!昨日の事は何度でも謝る……だからっ!」
「…勘違いしないでアリス」
霊夢は私の顔を、瞳を真剣な赴きで見つめた。
「先刻も言ったでしょ?…私はアリスが好き。これは恨みとか復讐じゃなくてその意を込めてしてるの」
霊夢は私の口の中に舌を絡めてきた。
霊夢の舌にまとわりついた唾液が私の舌の唾液とクチュクチュと音を立て混ざりあっていく…
霊夢のディープキスは、私が昨日したキスよりもずっと激しかった。
そして霊夢は私の胸に手を伸ばした。
強く、激しく、痛く…
私の胸を揉みしだいた。
その感覚は涙が出るほど痛かった。
先刻までの優しい霊夢の面影は
最早もう無かった。
霊夢は舌を私の舌からゆっくり…唾液の糸を引きながら離した。
「あんっ!…痛いよっ…やめ…ああん!」
私は強い刺激に耐えきれず、喘ぎ声が何度も何度も漏れていった。
「好き…だよ…ごめんね…アリス…」
霊夢は私を責める度にどんどん表情を暗くして行った。
「はぁ…はぁ…だめぇ!もうだめぇ…あんっ…痛い…よぉ…っ!」
私は霊夢から受ける苦痛に耐えようとした。
私が昨日霊夢にした苦痛はこんな苦痛よりもっと深く…激しいものだから…
でも耐えられない…
「ごめんね…ごめんね…」
霊夢の瞳からは涙が零れていた。
霊夢は私のスカートを脱がした。
「はぁ…はぁ…お願い…霊夢…下だけは…やめ…て…」
霊夢は私の瞳を見た。
そして私も霊夢の瞳を見た。
…お互いの瞳には涙が流れていた。
「…私、アリスが好き…だから…」
突然霊夢は私の胸に飛び込んできた。
「そこまで出来ないよぉ…」
霊夢は私の胸の中で泣いた。
「うわぁぁぁん!わぁぁん!」
大きな声で、ただひたすら泣いた。
私はこの時、やっと思い知った。
霊夢の愛を…
霊夢の涙を…
霊夢の、苦痛を。
「霊夢…ごめんなさい…」
私は泣きながら霊夢に謝った。今度は霊夢の痛みを知った上で謝ったんだ。
「ぐすん…っ、アリス…行って」
「え?」
「…魔理沙のところ…行って」
霊夢は自分の涙を手で拭い私を真剣に見た。
「…うん、分かった」
私は改めて決意をした。
乱れた服を整え、スカートをはき直し、涙を手で拭って
私は立った。
「私…行ってくる」
そしてそのまま神社を出た。
その時私は振り返らなかった。
振り返ったら私の決意が揺らぐ。霊夢の覚悟をまた踏みにじる。
そう思ったからだ。
だから…
私はもう、振り返らない。
どんな過去も忘れて、未来だけを見る。
そう私は、そして霊夢は誓った。
… … …
「…といっても魔理沙ったら、どこいるんだろ」
私は魔理沙の居場所が分からなかった。
魔理沙がよく行く場所と行ったら博霊神社、あとは…
…紅魔館の図書館かな?
まぁ魔理沙があそこに行く理由なんてロクでもないけど…
とりあえず…行ってみよっか
… … …
「んでここに来たって訳ね」
「うん、そうなの。レミリア、ここで魔理沙を見ていない?」
私は今、予定通り紅魔館の一部の図書館にいた。
そこでたまたま本を読みに来ていたレミリアと遭遇したので聞いてみる事した。
「全く、中国…じゃない美鈴は何をやってるのかしら…」
レミリアは誰かの愚痴を言っていた。
…多分あの門の前で寝てた門番の事だろう。
「白黒の魔法使いは見てないわ、それどころかパチェすら見てないもの」
「パチュリーも?」
パチュリーはこの紅魔館の図書館で暮らしている少女。喘息持ちで体が弱いから普段は外に出ない筈なんだけど…
「もしかしたらパチェがいないのも、あの魔法使いが絡んでるんじゃないかしら?」
魔理沙がパチェを誘ってどこかへ出かけるというのも考え難い話だ。
魔理沙はパチェが喘息持ちなのを知っている筈だし…
「どうかしら…でも仮にそうだとして、二人でどこに行くのよ」
そこが一番の重要問題だ。そもそも場所がわからなければここへ来た意味がない。
「まぁ…そうよね…」
レミリアがまた何かを考え始めた。
「あっ…!そうだわ!」
何かを良い案が思いついたのか突然人差し指を立てた。
「どうしたの?」
「咲夜を呼びましょう!」
咲夜…この館のメイド長か。
本当に宛になるのかはわからないが…
「お呼びですか?」
「うわぁっ!さ、咲夜!?」
突然レミリアの後ろから咲夜が現れた。
あまりに唐突だったので私は驚いて後退りをした。
「咲夜、能力は大切な時だけ使いなさい」
「申し訳ございません。しかしお言葉ですがお嬢様、主人を待たせない様最速を尽くす事は、大切だと私は思います」
「うーん…それもそうね」
この人達はコントをやっているのか…
私はふいにそう思ったがこれは言わない事にしておこう。
「咲夜、パチェがどこに行ったかわからない?」
レミリアは本題を咲夜に投げ掛けた。
本題といってもパチュリーと魔理沙がそもそも一緒にいないと意味は無いが。
「パチュリー様ですか?詳しくは私も分かりませんが…」
何だ、そもそも知らないパターンか
「でも確か以前、魔法の森に惚れ薬の材料があるとか言ってましたけど…」
魔法の森!?…よりその後に恐ろしい単語が聞こえたのは気のせいだろうね、きっと
「魔法の森…立ち止まっていてもしょうがないし、行ってみようかしら」
「そうしなさい、ついでにパチュリーを見つけたら紅魔館に戻るよう伝えてくれるかしら」
ついで、か…どの道パチュリーにも例の危険物について問い詰める気だったし、ついででもないけどさ
…というのは一応この二人には黙秘にしとくけど…
「…どうして?」
「ほら、あの子元々外にずっといるタイプじゃないから」
レミリアなりの気遣い、という訳か
「了解したわ、じゃあ私はこれで。色々ありがとう」
私はレミリアにニコッと笑い別れを告げた。