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(兼続と幸村と左近)
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真面目に折檻の筈が。
10月3日/戦パラより再録
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ようこそ2146人目のお客様。 こちら「真」と書いて「チェンジ!!」と読む、 時の流れが見えてないブログです。
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虫が鳴くには少し早い、熱気さめやらぬ初秋の夜だった。
ひととき軍師を借り受けたいと言う兼続に、三成はため息をついて、あれに直接言ってくれと言った。首を傾げて廊下を進むと、すこし離れたところに虫除けの蚊帳が吊られた部屋があった。
近づくだけで濃い酒気が漂ってくる。合点がいった。酒気に弱い三成はこれでは近付けない。何とはなしに声を掛けずにひょいと覗くと、障子を開け放した中では島左近と真田幸村が差し向かいで呑んでいた。
「強い・・・が、旨い」
「だろう?直江の旦那が隠してたのを・・・ちょっとだけ、ね」
左近が酒を移しかえる身振りをする。
「・・・共犯にする気か」
さっと顔色を変えた幸村に左近は否と手を振って笑った。
「真田の旦那は真面目だねぇ。ほんの一口だ、ばれるわけないだろ・・・ん?」
震える指で背後を指差した幸村の指の先を、左近は目で追った。
「・・・なるほど?」
閻魔が立っていた。
「まったく。武将ともあろう者が盗みを働くなど・・・嘆かわしい」
酔漢二人を正座で並べると、兼続は何気ない仕草で床に並べられた徳利のひとつを拾い上げた。くだんの秘蔵の酒とはまた違った濃い酒気が漂う。燗にしたのか未だ温かく、振るとちゃぷと軽い音を立てた。
兼続の注意がそれたと見るや酔漢とは思えない俊敏さで身を翻した左近に鞭の一打をくれると、幸村の足元に縄を投げて言った。
「・・・ましてや己が断罪される場において真っ先に逃げようなど。・・・さて真田殿、仲間が道を踏み外した時それを正すのは仲間のつとめ。貴方が左近に縄を掛けなさい」
ぱし、と革の打ち合わされる音がやけに大きく響く。
「それが済んだら貴方はそれがしが縛って差し上げます。まさか逃げようなど思いなさるな」
・・・あとは、推して知るべし。
朝日が眩しかった。
「酒はしばらく見たくもない」
「・・・俺は呑む。これ位でこりて堪るか。・・・高価い酒だったのに・・・」
幸村は、ほぅ、と熱い息を吐いた。
左近は、はぁ、と。
「頭が痛い・・・関節がおかしい・・・」
「俺もだ・・・。とりあえず寝ようや、旦那」
「そうだな」
寝て全て忘れよう。二人の心が一つになった瞬間だった。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 9月10日 |
地 域 | 富山県 |
系 統 | 普通系 |
血液型 | A型 |