兄弟パロ、兄弟だけど血は繋がってなくて、苗字は本当は「仁王」だけど赤也は「切原」を名乗ってます。って設定でお読みください
「…どう思う?丸井先輩。」
「……お、おう…。」
一つ下の切原赤也の先輩である丸井ブン太は、可愛い後輩から相談があるとメールを受け授業中にもかかわらず教室を抜け出し、屋上への階段を上がっていった。
奥へと進み日陰がある絶好の昼寝場所を覗いてみると、思っていた通り先に待っていたらしい赤也の姿を見つけ、面倒そうだなぁと呟きながらもそこへ腰かけた。
この後輩の相談はこうだ。
兄であり俺の同級生である仁王雅治に、なんでかはわからないが赤也が一方的に顔を合わせずらく、家でもうまく接する事が出来ない、無視してしまう、どうすればいいのかという事であった。
正直、丸井にはどうしようもできない悩みである。
だがこの後輩は本気で悩んでいるのだろう。普段は勝気に吊り上った瞳も表情も、今は叱られた犬のようにしょぼくれている。赤也が本物の犬なら垂れ下がった耳が見えそうだ。
「…まぁ、なんも意識しないようにするしかないんじゃね?」
「意識しちゃうから相談したのに…」
完全に相談する相手を間違えたな、誰にも聞こえないように呟くも他に相談できそうな人が見つからなかった。あの先輩ならあぁ見えて口が堅い、絶対に相談した事をバレたくないと思った俺は丸井先輩に相談するしかなかったのだ。
幸村部長に相談しようという気はさらさらない。話をネタに脅される事が目に見えてるからな。
あー、帰りたくない。
ゲーセンでもよろうかなって考えたけど、一人で行ってもつまんねぇし、丸井先輩は弟の面倒見なきゃって早くに帰っちまったからどうしようもないわけで。
…しゃーない、帰るか…
ドアを開け中に入り視線を下げると兄貴の靴。…今日に限って早く帰ってきてんのか…。馬鹿兄貴。空気読めよ馬鹿。
顔を合わせたくないから足音立てずに階段を上っていく。
半分上ったところで、後ろから声がした。
「…赤也、帰ってきたら声かけろって言ったじゃろう。」
いきなりの声に驚き小さく肩が跳ねるも、ばれないよう平常心を保ち立ち止まって振り返る。
階段の下には、不機嫌そうに眉に皴を寄せた兄が立っていた。
「…ただいま、兄貴。」
「兄貴じゃなくて雅治って呼びんしゃいって何回言えばわかるんじゃ。」
「…どうでもいいっしょ、そんな事。俺疲れてるんで先に寝ます。」
「おい、待ちんしゃい」
無視して階段を上ろうとした時、俺を追いかけてきた兄貴に腕を掴まれた。
触れられている腕が異常に熱を持つ。あつ、い。
なんで俺、こんなに意識してんの。兄貴なのに、触れた場所が熱くて、兄貴なのに、目を合わせるだけで心臓が高鳴るなんて。
なんだよこれ、これじゃまるで……
「おい、あか、」
「っ、触んな!!」
頭を撫でようとしてきた兄貴が気に食わなくて、思い切り振りほどこうと腕を振り上げた途端、一気にバランスを崩し階段から足を滑らせた。
ガン、と頭に強い衝撃が流れたと同時に、意識が真っ黒に染まった。
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長くなりそうなので一旦打ち切り。
気分が乗り次第、または続きが読みたいという方がいらっしゃれば書き始めます。