・ネギま
・このか視点
・あすこのせつ風味
○設定
・アスナ過去知って心閉ざし気味
・このか、せっちゃんもアスナの過去認知
SSは続きから。
冷たく感情の読めない瞳が、うちをその場に縫い付けた。
近づこうにも、足が前へと進むことを拒否する。
触れようにも、腕も手もぶらりと垂れ下がり上がらない。
声をかけようにも、喉はカラカラで、震える唇からは乾いた風音しかでてこない。
「 」
彼女の唇が動く。
けれど、声はうちの耳に届かなかった。
隣の彼女には届いたみたい。
必死になにかを叫んでいる姿が、右目の端に映った。
なんだ、案外冷静……。
いや、違う。
誰の声も届いていないのに、冷静であるはずがない。
「お嬢様っ!」
肩を強く掴まれた衝撃と、すぐ近くで響いた声にはっとした。
そういえば、彼女にこんなにも強く掴まれたのは、ネギ君が大怪我したとき以来。
大事なとき、大切な声はまっすぐ届く。
例えどんなに狼狽えていても。
だったら、今、彼女にも、うちらの声は届くはず。
『 』
遅れて聞こえてきたさっきの彼女の言葉。
手に、ぐっと力が入る。
一歩、一歩、足も動く。
ごくりと、唾を飲み込んで、
「アスナ…」
うん、声もでる。
「せっちゃん」
名前を呼んで、顔を見合わせて、力強く頷いた。
せっちゃんも力強く頷いて、でもなんだか少し、笑っているように見えた。
「ありがと、せっちゃん」
「お礼を言われるようなことをした覚えはありませんよ」
ふっと笑う瞳は、強くて優しかった。
いつもうちの両隣にある4つのうちの2つ。
もう2つは、今は曇ってしまっている。
でも、大丈夫。
きっと、うちらの声は届くから。
届けて見せるから。
そしたらまた、いつも通り。
何も変わらない日々が待っている。
変わるとしたら、うちらの絆の深さが深まるくらいかな。
そのためには、彼女に戻ってきてもらわないと。
隣にいるせっちゃんの手をとる。
少し驚いた様子を見せたけど、すぐにまた笑って。
二人でまっすぐ、アスナと向き合った。
「 」
「 」
二人で紡ぐ、心からの言葉。
微かに、でも確実に、アスナの瞳は揺れた。
届いてる。
ちゃんと、届いてる。
安心して、嬉しくて。
三人でまた笑いあえる景色が見えた気がした。
おしまい
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まず、書きかけのものをどうにかしようと思い立って玉砕。
これも書きかけでは?とか思われるかもしれないおわりかた←
読み返すとなかなか恥ずかしい内容ですね。