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予告


貴方をずっと忘れない


桜の舞う春
愛しかった人と離れ離れになった

『ほなな、』

あれから六年

『これがあれば、寂しくないで』

貴方によく似た子供と出逢った












あの日






貴方は俺以上に








泣いていたのかもしれない










マイガール

キャラメルソング5

人ごみの中、俺は音楽を聴いてた
最近、売れたアーティストの曲
その頃は分らへんかったけど、今なら分かるんや

この曲、まるであの時の俺らみたい

久々に帰ってくるあいつの姿を見つけて手をあげる
あいつも嬉しそうに駆け寄ってきてくれた

「待たせたと?」
「当たり前や。三十分まっとる」
「えぇ?!」
「嘘。ほんまは五分くらいや」

クスクスと笑うとお前は手を握り締めてくれた
懐かしいな、なんて目を細めて

「お帰り、千歳」
「ただいま」

あの時、信じた夢
いつか絶対に帰ってくると約束した
お前との未来がやっと動き出した気がする

「ほんまや。十年もまったんやで?」
「すまんばいね。」
「この埋め合わせはきっちりしてもらうで?」

了承したと、額に唇が触れた

あの時の思いも、あの時の悲しみも
あの時間も全部、俺の宝物や

俺のいない未来で、千歳が笑うなら心から手を振るって決めたけど
そんなん撤回や、撤回
俺がいなきゃ笑わないで

「蔵、そういえば十年前に言えんかったことってなんとや?」
「・・・・聞きたいん?」

ンブンと首を縦に振った千歳
その様子があまりに面白くて声を出して笑った
千歳の腕を強く引っ張って耳元に口を寄せる

顔を真っ赤にした千歳が俺を抱きしめた

「ここ、街中」
「よか・・・嬉か」
「・・・ふふ」

あの時のように甘い夕空が溶けていく
人がいないのを確認してから、そっと千歳に唇を寄せた

 

 

 

 

 

 

 






『可笑しいくらいに、千歳が好き』

キャラメルソング4


蔵が泣いた
初めて見た蔵の涙

忘れないと、呟いた蔵に俺は何も言えんかった

忘れないなんて、本当に?
蔵の身体を抱きとめたとき、夕空が滲み落ちた

「・・・絶対に明日、見送りにいくから」
「蔵・・・」
「ほな・・・元気でな」

蔵が俺の腕の中から離れる
その背中を見つめながら手を握り締めた

まだ、間に合うなら
まだ、君を捕まえられるなら
この手を伸ばして、繋ぎとめたい
ホントは・・・・・



「                   」











俺の声で振り返った蔵
一瞬、吃驚して泣きそうな顔をして手を振ってくれた
その笑顔

嬉しそうなその顔
俺の宝物


可笑しいくらい君が好き

キャラメルソング3


千歳が俺を送ってくれる
何も言わないけど、繋いだ手が暖かい
恋人でも何でもないのに

少しずつ街に光りが灯る

「・・・」

千歳にこの気持ちを伝えたら困るんやろか
千歳がほんまは好き

初めて俺の名前を呼んだときからずっと
可笑しいくらいに千歳が好き

(好きや・・・好き)

口に出したら、千歳のことやから困るんやろな
繋がった手から伝わればええのに

好きと、サヨナラ

強く千歳の手が俺の手を握り締めた
それは離れて行くサイン
ほんまは離れたくない
だから、強く握り返してやった
少し吃驚した顔で俺を見つめて、困ったように笑う

「離れたくないねん・・・」
「・・・蔵」
「・・・・なんで離れなあかんの?なんでなん?」
「しかたなかと」
「分かっとる・・・・でも、なんで・・・・」

涙が零れた
わかっとる。親の庇護がないと生きてけんから
まだ、大人な俺らじゃあらへんから

「泣かんと」
「千歳・・・・」

俺は初めて千歳に自分から抱きついた

「俺、絶対に忘れへんから・・・・千歳のこと」
「蔵・・・」
「千歳のこと、絶対に忘れへん・・・。」

千歳を絶対に忘れないよ

涙の向こう

甘い夕空が溶けていく

キャラメルソング2


蔵に電話しても、メールしてもなんも帰ってこん
だから、迎えにいった
出てきた蔵はどこか切なそうに笑ってた

あぁ・・そぎゃん笑顔が見たいわけじゃなかと・・・。

近くの公園に連れ出した
夕暮れが迫ってくる
明日は俺の旅立ちの日

「・・・明日、やろ」

蔵の声が響く

「うん」
「・・・元気でな・・・」

あぁ・・・その優しさに心が締め付けられる
蔵の優しさはいつだって寂しさを連れてくる

「色々あったばい・・・。ここの公園も懐かしか」
「せやな・・・」

蔵と話したいのに、蔵のこと見たいのに思い出だけが頭を巡って見れない
だから今だけ、今だけは目を閉じさせて

「蔵、明日・・・見送りにきてくれっと?」
「・・・・たぶん、行く」
「たぶん?」
「・・・謙也あたりが俺のこと連れ出すと思う、から」

俺は蔵を抱きしめた
ここが人の目に付くとか関係ない
蔵のことが好き

「蔵、俺・・・・」
「・・・・千歳」

だけど、その言葉が言えない
伝わらない、伝えられない

「・・・蔵、最後に笑って欲しか」
「は・・・?」
「今日、あまりも笑ってくれんかったと。やけん・・・・笑って」

蔵が一瞬、困ったように視線を彷徨わせた
そのあと、はにかむ様に俺を見て笑った

あぁ、いつも見ていた笑みだ

「これで、ええん?」
「ん・・・おおきに」
「ふふ・・・・お前は、いつまでも発音がちゃうねん」
「しょうがなか」

もう一度強く抱きしめる

蔵の笑顔はずっと俺の宝物
この気持ちも全部、宝物に

可笑しいくらい君が好き

いつか訪れるであろう未来の先で
君が笑ってくれるなら俺は心から手を振るよ