喉がムカムカする。
今にも吐き出しそうだ。

そうやって、喉元を押さえていると先輩が俺の顔を不安そうに見上げてくれる。

「鳳君?どうしたの。」

小柄でかわいらしいこの年上の先輩は俺には勿体ないくらいの美少女で、一年ほどお付き合いをさせて頂いている大事な女性だ。

「なんか、すごく辛そうだよ?」

先輩の長所はお人よしで優しいところ。
今だって俺のことを本当に心配でたまらないといった表情で見上げてくれている。
俺は、きっと、この人の事が好きだ。きっとこの人と結婚をして子供を授かり静かに暮らすことができる。この人は俺を愛してくれている。だから俺しかこの人を幸せにできない。俺はこの人が好きだ。

びゅう、と冷たい風が先輩のやわらかい髪を揺らした。
茶色の可愛らしい髪が鼻に掛かり、彼女は目尻を柔らかくして困ったように笑う。犬のような笑顔。
俺は先輩の髪を手で払ってやり優しく微笑んだ。

「もう大丈夫?」

彼女は聞く、

「ええ、大丈夫ですよ。」

そう答えると優しい彼女は眉を緩めた。



大丈夫。きっと大丈夫。
俺が、この人を幸せにする。

(これでいいんですよね宍戸さん)

喉の奥に引っ掛かっているものを全て飲み込んで封のかわりにキスをした。






( 裏切りキス(テニス/鳳宍?) )



ぜいたく

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