・主人公は閃くん♂
・無謀にもストーリーを追う。
・「続きを読む」で交換日記
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そういえばニキータといっしょにリュオン街道をあるいてると、またあたらしいヒトにであった。
ニキータみたいなケモノの耳と、シッポの、おんなのひと。あとで知ったけど、ダナエっていうらしい。
ニキータはダナエにもなにか売ろうとするのかとおもったけど、なぜかカオをまっかにしてモジモジして、かと思ったら、いきなりたくさんしゃべる!
けどダナエは、ぜんぜんあいてにしてなくて、ずっとケンジンがどうとか言っていた。
ケンジンっていうのは、本によると、この世のコトワリを知るモノ。よくわからないけど、なんでも知ってるすこいヒトなんだろう。
そして今日、ドミナの町でぼくはダナエとまた会った!
「死んだら、タマシイはなくなると思う?」ダナエはそんなことをきいてきた。タマシイって、ヒトのココロ? 死んじゃっても、ココロまでなくなったりなんかしないんじゃないかな。
このあいだニキータとでっかい魔物と戦ったとき、死にそうって思ったけど、それでぼくのココロまで消えちゃいそうって思わなかった。たとえ死んじゃっても、ぼくは負けるもんかってココロで戦いつづけようと思った。
そう言ったら、ダナエはちょっと安心したみたいに、「そうでしょう? いままでどんなケガをしても、タマシイまでは傷つかなかったもの」そう、ぼくとおなじようなコタエを出した。
「私、ガイアに会おうと思うの」ガイアは、ケンジンのひとり。リュオン街道にいるらしい。だからダナエはあの時、リュオン街道にいたのか。でも、ひとりで行くゆうきがなくて、まよってたんだって。
ぼくもいっしょに行くよっていったら、ダナエはありがとうって言ってくれた。うれしいコトバだね、ありがとうって。
ガイアのいるのは、ニキータと向かった道のとちゅうにある、わかれ道をはんたいに行った先。
ダナエも、ニキータと同じようにいろんな話をしてくれた。ダナエはギョウショウニンじゃないから、もちろん、モノを売ることはなかった。
ダナエはガトっていう町のソーへーをしているらしい。ガトはジインっていう大きなイエのあるところで、シサイってヒトが町の人たちを守ってるんだって。シサイって、すごく強い人なんだろうな! って言ったら、ダナエは違うって言った。
「マチルダは、ココロは強いけれど、ほんとうはか弱い少女のような子なのよ。小鳥のようにさえずって、花のように咲きほこって、野原をかけ回るのがとっても似合うの。……そんなこと、もうできやしないけど」シサイってヒトは、ダナエの大切なトモダチなんだって。そしてダナエは、シサイが大好きなんだ。けど、かなしいんだ。
好きっていうことも、かなしいっていうことも、ぼくにはまだわからないけど、ダナエがとっても苦しそうだから、たすけてあげたいって思った。
元気だしなよ! ってハンマーで背中を思いきりたたいてあげたら、ダナエはふっとんでいった。そして、おこられた。
元気がないときにキアイを入れるほうほう、タマネギにきいたんだけど、なにかまちがってたんだろうか。
ダナエには、ゴメンってあやまっておいた。まだおこってたから今日のオヤツあげるからって言ったら、なぜかわらわれた。
? よくわかんないけど、わらってくれたからいいや。
でっかい! ガイアを見たかんそう、そのひとこと!
ぼくのイエより、ニキータと戦った魔物より、ずっとずっと大きい! 岩のカベに、目と口があって、ぼくらをのせた手(これも岩)がゴゴゴってもちあがって、びっくり!
もっとおどろいたのは、そのジンメン岩がしゃべったってこと!
『こんにちは、子どもたち。私でわかることなら、何でも答えよう』
声っていうか、あたまにちょくせつきこえるような、ひびき。
どうやったらそんなにおっきくなれるの、とか、おなかはすかないの、とか、あめのひはさむいですか、とか、ぼくがいっぱいきくと、ガイアはひとつひとつに答えてくれた。やさしいヒトだ。
でも、ぼくもガイアみたいにおっきくなれるの、とか、つよくなれるの、とかきくと、ガイアは『それはあなたが決めることです。あなたの道をあるいてください』っていって、答えてはくれなかった。
ケンジンも、ぜんぶ知ってるわけじゃないんだなぁ。
『さあ、あなたも』そういえば、ガイアに会いたいって言ったのはダナエなのに、ダナエはまだなにもきいてない。するとダナエは、またかなしそうなカオをして。
「私の友達が悪魔の呪いを受けて命を落としかけています」「助けてあげたい…私はどうすればいい?」
さっきのシサイの子だ。ダナエが大好きな、大切なヒト。
『その友達が望むことをしてあげればいい』「いいえ、彼女は私に何か求めたりしないの。彼女はそれを運命として受け入れる気なの」『ならばそれを受け入れなさい。あなたはその人の言葉を理解しましたか?』「理解なんてできない! あきらめるなんて、弱い心から生まれてくるものだわ! 彼女は私よりずっと強い心を持っていたのよ! …なのに、変わってしまった。今の彼女は、もう今までの彼女とは違うの…」
しょうじき、ダナエたちの話はサッパリだった。でも、ダナエがまたすごくくるしそうなのはわかった。
ダナエをくるしめないで、そう言ったら、ガイアは目をほそくして、ぼくを見て、ダナエを見て、『人は自分を自分で決める力を持っている。その人の話に、耳を傾けてみなさい』そう、やさしく言った。
「もうすこし、冷静になってみます」ダナエはガイアと、ぼくに「ありがとう」とうれしいことばをくれた。
こんなことばをくれるダナエなんだから、きっとシサイの子をたすけられるよ。そう言ったら、ダナエはわらった。うん、そのカオが、いいよ。
シサイの子、げんきになったらいいね。さよならするときにそう言ったら、ダナエはなぜだか少しおどろいて、「そうね…。いつかアナタに会わせてあげたいわ」たのしみだな。うん、たのしみにしておくよ。
そしてぼくらは、えがおでわかれた。