紅茶一杯。



来訪者と飲み友律霊
2016年12月14日 18:05

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※飲み友律霊の世界
※律霊注意
※モブに娘が居ます注意



爽やかな青空が広がる午前9時。律と師匠が住む部屋のドア前に人影があった。
チャイムを鳴らすも反応がない。
「あれ。今日だったよね?」
声は自分の斜め上を浮遊する、緑色の人魂に向けられていた。
「時間を間違えたとかじゃないのか?」
顔の付いた人魂ことエクボは自らの体を半分透かし、下から来る女児の手を避けている。娘を抱いているモブが
「いや、時間は1時に公園なんだけど…」
と告げると、エクボは溜め息をついた。
「早すぎだろ…なんでこんな時間に来たんだよ。まだ二人とも寝てんじゃねーのか。てか待ち合わせの意味がねぇ。」
休みの日くらい朝寝したいだろうよ。と同情するエクボ。
「だって、楽しみで…」
2週間ぶりに遊べる。との事で、モブは張り切りすぎてしまった。昨日なんか、なかなか寝付けなかった。
「遠足前日かよ。」
と呆れるエクボに、照れるモブ。娘はエクボを掴もうと必死だった。
「出直すか、公園かなんかで時間潰すしかねーだろ。」
と移動を促す。
「そうだね。」
とモブも歩き出す。公園までの道中、雑談の中で最近ニュースでやっていた事件を話し出したモブが、不意にピタリと足を止めた。
「どうしたシゲオ。」
気配に気付いたエクボが振り向くと、モブは不安そうに冷や汗をかき出している。
「シゲオ?」
「…どうしよう。」
様子の変化に戸惑うエクボ。モブは心配そうに
「もしかして、さっき出て来なかったのは、事件に巻き込まれてたんじゃ……」
そんな馬鹿な。と思うも、子供が出来てからのモブは心配性気味ではあった。その悪い癖が今あの二人に向いている。
「まぁ待てシゲオ。あいつら成人男性だろ。しかも律は超能力者だ。簡単に事件に巻き込まれるかよ。」
「うん…でも。」
中学生時代、色々あった。本当に色々なことがあったからこそ、心配性が発症してしまったのだ。
自覚は薄いが、潜在的にトラウマになっていた。
「やっぱり戻ろう。もしかしたら動きを封じられてるのかも!」
モブの中ではすっかり二人は超能力者に拘束されているか、負傷されてるかでまとまっていた。
「いやいやいや待て待て待てシゲオ!!絶対ねぇーから!あんな濃い時間過ごしちまったもんだから、そうなっちまうのは分かるが!大丈夫だって!!」
と暴走しそうなモブを慌てて止めるエクボ。
「分かった!わかったよ俺様が見てくるから!お前は公園で娘と遊んでろ!な!?」
必死に止めたのは、自分の為だった。いくら自制心が強化されようとも、安全に『絶対』も『確実』も無いのだ。
もし万が一に事故ってしまえばモブは深く傷付く。それがキッカケになって自我を手放せば、人類滅亡だって夢だと笑い飛ばせない。
未だにそれだけの膨大な力を抱えたままなのだ。
そしてエクボは、こんな消滅(死に方)は望んでいない。だから止めた。自分の為に。


部屋の前に来ると、エクボはスルリと侵入した。リビングはカーテンの間から朝日が差し込んでいた。電気は点いていない。
(まだ寝てるのか…?)
と薄暗い部屋をふよふよと進み、師匠の部屋前までくる。中に入ると電気は消えていてベッドは寝た形跡すらない。
(…帰ってないのか?)
困惑しながら律の部屋へ。
「よーう 律っちゃ…」
小さな片手を上げながら部屋に入ると(声掛けナシで入ると攻撃を受けそうなので)、ベッドに膨らみが二つ。エクボは瞬間に死んだ瞳になった。それでも逃げるわけにはいかない。確認しなくては。
と確認したくないのを我慢して近付くエクボ。
ベッド上空から見下ろすと、すやすやと安心しきった寝顔の律と師匠が居た。エクボは滝汗をかいて硬直している。
困惑顔のまま、どうしたらいいのか解らなくなる。と、二人がとりあえず上半身は裸だと布団の隙間から知ってしまう。知りたくなかった情報だった。
もう帰りたい。いや帰ろう、やっぱりただ寝てただけだ。と安心すべきなのにゴリゴリと精神を削られ弱りながらエクボはこの場から離れようとした。
「うーん…」
なのに師匠がいきなり寝返りを打った。それにビクッと反応してしまい、師匠に視線を向けてしまう。
そして首やら鎖骨やらに散らばる跡を発見し、思わず両手で顔を覆った。別に生娘みたいに照れたわけじゃない。

(変なモン見ちまった!!!)

その感想一択である。エクボはもう気持ち的に瀕死でよろけながら場を離れようと、ドアに近付く。と、玄関からガチャリと開錠音がした。
侵入者か!?と神経を研ぎ澄まし、玄関に飛ぶと、モブだった。
「エクボ遅いから来ちゃったよ。律は?師匠は?無事なの?」
息を切らしているモブにビビりつつ、今あの部屋を見せたら死人が出る!とエクボは焦った。
実際に死人が出るわけないが、エクボ的にそれぐらいの修羅場になると判断した。
モブが手を下さなくとも、許そうとも、あんな現場を見られたら多分あの二人は死ぬ。エクボは再び滝汗を流しながら、必死にモブを止める。
大丈夫だったぞ!チャイムに出なかったのは熟睡してるだけだ!疲れてるんだよ、アイツ等もほら、大変だからよ!な!?もうちょっと寝かせてやろうぜ!
と部屋に向かおうとするモブを玄関に向けさせ、背中をグイグイ押しながら食い止める。
えっ でも! とか、 待って、ちょっと確認するだけだから! とモブも抵抗したが、二人に迷惑かけるぞ、と言われればしょんぼりしつつ大人しくなった。
抱っこしてる娘を抱きしめて、本当に寝てるだけだった?と最後に確認するモブ。
おう大丈夫だ!休みくらいゆっくりさせてやれ。1時には会えるんだらな!と堂々と言えば、モブは抵抗を止めて素直に外にでた。


モブとエクボが玄関から出て行ってすぐ、律が目を開けた。明らかに顔色が悪かった。
(あとでエクボにお礼を言おう……)
と、冷えた肝を癒すように、無自覚に目の前の温もりを抱き寄せた。





・飲み友律霊はファン同士がくっついちゃったパターン。
このモブは二人がくっついた報告受けても祝福するタイプ。しかし二人が大好きすぎて疎外感に寂しさを感じてる。
娘ちゃんに律霊はメロメロ(そしてモブにもメロメロ)。


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