「あだ名」がいじめの原因になるとして、禁止する小学校が最近増えているそうである。

 果たして、あだ名はいじめの原因になるのだろうか。確かに、漫画、小説などで、いじめられている人物は変なあだ名を付けられていることが多い。例えば、「メガネ」とか、「デブ」、「チビ」などである。

 身体的に見て、――一概にそうとは言えないが、基本的には――他人よりも劣っているところをあだ名にすることが多いようである。

 そして嫌がる人物にそのあだ名を言い続け、それがどんどんエスカレートしていく、というストーリーになる。

 やはり、あだ名はいじめを誘発するのだろうか。 

 それは可笑しな考え方だろう。例えば、背の小さい私の友人の一人に、「チビ介」と呼ばれている奴がいる。小さいから「チビ」呼ばれているが彼はそれをいじめだとは思っていない。

 つまり、あだ名イコールいじめとなるのは、呼ばれている対象がその名を嫌がるときである。
 
 あだ名とは、「愛称」を示す言葉である。「愛」の込められた言葉を、禁止することはならない。

 もしも「愛」の無い「アイショウ」が蔓延ったときは、大人がそれを阻止すればいいのである。

 あだ名自体を滅させることは、大人の怠慢にすぎない。子供に目と気を配ることを忘れなければ、あだ名からいじめが生まれることは防止できるはずである。

 愛のない「アイショウ」は、その人を指し示す名前ではない。

 愛を持った「アイショウ」こそが、本当の意味での「愛称」、その人のもう一つの「名前」なのである。