「ただいまーっ!」
雲雀の車で送ってもらった綱吉は雲雀と一緒に車から降りて玄関に向かう。
綱吉が帰ってくる時間を見越して鍵が外してある玄関を開けて、最初はただいまの挨拶だ。
キッチンから玄関までいいにおいが漂って来てる。美味しそうなハンバーグのにおい。
おかえりなさーいとすぐに手が離せなかったのか声だけが返ってきて、それからパタパタとスリッパの足音がした。
「はじめまして、綱吉の母の奈々と申します。雲雀先生には息子がいつも大変お世話になっています」
ツっくんもお帰りなさい。雲雀先生よくいらして下さいました、すぐに夕御飯の準備が済みますからゆっくりとお掛けになってくださいね。
雲雀先生はそんな母に、こちらこそはじめまして。綱吉君の授業を担当しております、雲雀と申します。
と、普段の先生を知っている綱吉がびっくりするほど丁寧な言葉遣いで話す。そして手に持った何かが入っている箱を取り出した。
中身はホールケーキだという雲雀に、受け取った奈々がそれじゃあデザートに皆で食べましょうか、と言って雲雀によろしいでしょうかと許可を取る。
「ツッくん、雲雀先生を案内してちょうだいな」
「はーい!」
「それから、うがいと手洗い忘れないことよ」
「……はーい」
母さんてば雲雀先生の前でそんなことまで言わなくてもいいのに。先生笑っちゃってるじゃん。
口元に手をやって隠しているけれど笑っているのがバレバレな先生をじと、と睨みつけて去っていく奈々の後姿を追いかける。
「君、母親と二人暮らしなの?」
笑いが収まった雲雀先生は綱吉に質問した。
「そうなんです、父親は滅多に帰ってこないんで……」
「そうなんだ」
「それより、雲雀先生あの箱の中身ケーキだったんですね!」
「ケーキは嫌い?」
一応、ここら辺で有名なラ・ナミモリーヌで買ってきたんだけど。
少しばかり不安げに言う先生にぶんぶんと横に首を振る。
「ナミモリーヌのケーキなんですか? 俺、大好きなんです!!」
「よかった」
雲雀先生は安心したように笑みを深くして綱吉の髪の毛をいい子いい子と撫でた。
その仕草があまりに自然で気持ち良くて。綱吉はぼうっとする。
「それじゃあ、案内してくれるかい?」
僕の好きな、ハンバーグなんだろう? ……ああそれより先に手洗いうがいだったね。
靴を脱ぎ出した雲雀先生にあわててスリッパを取り出しそろえて置いて、綱吉は自分も靴を脱いで上がる。
「……先生って意地悪だったんですね」
綱吉がぽそりと言えば、今頃気づいたのかいとでも言うように雲雀先生は今度は声を上げて笑ったのだった。
雲雀先生の家庭訪問編今回で終わりにするつもりだったのに終わりませんでした^p^
もう少しだけ続きますー><