2014/11/25 Tue 16:38
闇に輝

話題:突発的文章・物語・詩
がうです。
読んでた漫画のセリフに胸を撃ち抜かれて高ぶってるうちに書き上げました。
戦国の話、主人公は2重人格。
本来のパーティとは別れてちょっと隔離されてる感じで始まりです。
以下本文





夜風の気持ちいい窓際。
そこから身を乗り出して外を眺める。
静かな夜だ。
賑やかだったあの女とその他の事を思い出す。
おそらく小太郎はどこかから見ているのだろうが、姿は現さない。
平家の屋敷はとても静かだった。

「お前は俺に母親のことを何も教えないつもりか?磋奈」

内に問いかけるも返事はない。
これが父親の、小西の力で無いことは馬鹿な俺でもわかる。
小西の城よりも広く優雅な屋敷。
誰も会いに来ないこの隔離部屋。
俺達とそっくりな顔の清盛と名乗る男。

「あっ」

下から声がした。
見ると何かが転がっている。

「何をしている?」
「あ、え?」

その人物が俺を探してきょろきょろと見回していた。
どうやらさっきは転んでいたようだ。
ドジなんだろうか?

「こっちだ、こっち」
「え、え?あ!」

やっと目が合った。
どうやら女のようだ。
顔に泥がついているが…。

「こんなところで何をしている?」
「明日の食材を運んでいたのです」

そう言ってそいつは落ちていた食材を拾って見せてくる。
転んだ時ぶちまけたのだろう。

「俺の膳に肉や魚は入れるなよ、アイツが嫌がる」
「アイツ?貴方じゃなくてですか?」
「俺とアイツは同じだからな」
「は、はぁ…」

理解していないといった風だが、理解してもらおうなどとは思わない。
なので説明はしない。

「あの、お名前をお聞きしても宜しいですか?どなたの膳か分かれば考慮しますし」
「俺は月影、小西月影だ」
「小西様ですね、わかりました」

女は俺にニコリと笑いかけた。
そして「あのぉ」と何かを続けたそうにしている。

「どうした?」
「ツキカゲ様のツキはあの月ですか?」

そう言って女は上を指さした。
そこには真ん丸とした月が輝いている。
満ち欠けをする、闇がなければ輝くことも出来ない覚束無い存在。

「そうだな」
「やっぱり!でしたら、私とお揃いですね」
「お揃い?」

女は嬉しそうに俺を見て得意顔をしている。

「私、月を詠むと書いて月詠と申します」
「つく、よ」
「はい。こんな明るい月夜に会えたのも何かの縁かもしれませんね」

月詠は落とした食材を拾うと「それじゃ」と闇の中に去って行ってしまった。
月というより太陽の様な奴だと思う。
少しだけ、あの女のことを思い出す。

「俺は知るにはまだ弱いのか?」

内に問いかけるも返事はない。




おわり
***
久々にちゃんと名前がある話になった。笑
月詠さんはたった今考えたキャラです。
某ぎ〇〇まは関係ありません
字が一緒な気がしたけど…
あんまり確認とかはせずに直感でいきます。
そもそも月影もよくありそうな名前…。


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