2014/1/30 Thu 22:21
1人の人として生きるのが僕の夢

話題:創作世界披露会及び創作メモ帳
戦国の話。二重人格で主人公の1人磋奈行。
彼は幼い性格で、菜食主義。
何かを殺す事を凄く避けている様子。
そんな彼の説明のような話。
以下本文




生まれたときは別によかった。
感情の赴くまま、全部全部、ただ壊せばよかったから。
1番悲しい記憶と1番醜い感情だけの存在。
それ以外は持っていなかった。
彼が深く深くに沈めるはずだった僕。
彼が忘れたかった僕。
だけど、彼は僕に全ての記憶と半分の感情を与えて眠ってしまった。

「わからない、わからないっ、わからない!!」

突然湧いた感情。
矛盾で自分と回りを傷付けた。
負から生まれたはずの僕なのに、その刃を降り下ろす事が出来なくなった。
恐ろしい、恐ろしい…
何が恐いのかはわからない。
その答えはきっと彼が持って眠ったのだろう。
落ち着くまで少し時間がかかった。

皆が僕を磋奈行と呼ぶけれど、僕は彼じゃない。
自分という個を認識出来たときやっと視界が開けた。
ちゃんと人間になれたような気がした。

「僕の存在理由はこの空っぽな身体を守ること」

彼が帰ってくるまで。
帰ってこれるようになれるまで。
そんな突貫工事の僕だからいくらかの制限があった。

まずは感情の欠落。
半分しかないから、わからない事も沢山ある。
でもそこは彼の記憶でなんとかカバー出来た。
人との接し方、作法、禁忌は全て彼の記憶の通りに。
僕にはよくわからないから。
次に記憶。
どうやら僕が僕として記憶出来るのは3カ月程度の時間だけ。
それ以上前は綺麗さっぱり忘れているし、思い出す事も出来ない。
ただ、彼がくれた記憶は色褪せる事なくずっと僕の中にある。
これは守らなくてはならないものだから。

「記憶の中の彼が言うんだ。笑って、て」

沢山の楽しい記憶。
その感情は僕に渡されていた。
なにも壊せなくなった僕は笑うようになった。
あの頃の彼を繰り返すしか出来なくなった。

「亀子ー、ご飯だよー!」

彼は母親を生き返らせようと薬の研究をしていた。
その記憶を使って、亀の餌を調合し餌付けしている。
そしてちょっと実験。

「亀子ー?」

いつもの浜辺でいつもの亀を探す。
見つけた亀は海藻の塊を前足?で突ついていた。
よく見るとそれは人…。

「乙姫様!?」

海藻から覗く着物は平民では無い。
それが夕日ちゃん、いや、彼の記憶の最後にあるあの女の子との出会い。



おわり
***
先に書かなきゃいけないのがあるような気もするけど(笑)こんな話を書いてた。
亀の件は戦国の話の始まりがそーゆー始まりなので、そこに繋げてみました。


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