お昼寝日和
2014.10.25 Sat 16:47
:外伝
ひとりは嫌なの〜蒼〜
父は何だかとっても困っていた。
それは、可愛い我が子が泣いてるからってのもある。
その我が子が少しずつ擬態を解いていくのもあるし。
それに伴って身体がどんどん大きくなっていくのもある。
「蒼、わかったから落ち着きなさいっ。」
蒼と呼ばれた小さな…小さかったドラゴンは。
涙の量と比例してどんどん擬態を解いていく。
背中には翼。
ぽてりとふっくらしたお腹。
象牙色の角。
堅い鱗にシュッとした尻尾。
白に輝く身体は膨らんでいき。
あっという間に大人の大きさくらいになった。
華奢な身体の父を超えたその体長。
蒼は一生懸命に訴えていた。
お姉ちゃんとずっと一緒にいたい。
離れたくない。
引っ付いていたい。
切実なお願いは本当はどれもこれも小さなものである。
何故叶えられないのか。
何故違うお家に帰ることになるのか、蒼にはさっぱり理解出来なかった。
人型に擬態したままの姉が頭に乗って撫でさする。
そんな些細なことでも蒼にとっては嬉しいこと。
父の言ってる言葉さえも理解出来ずひたすら何故と繰り返す。
「お姉ちゃんと一緒にいたい?」
やがて観念したように父が問う。
あんなに渋っていた父がそんなことを聞いてくるものだから擬態を解くのもひゅっと止まってしまった。
それはもちろん一緒にいたい。
最初からそう言っていると頬を膨らませてゆっさゆっさと頭を縦に何度も揺らした。
大きな溜め息とともに父が言った。
「…そっか。いいよ。ママに迷惑かけないようにね?」
かわりに父が出したお願いはたった一つだけだった。
横を向いた父が、母に何度も頭を下げる。
母も仕方なさげに頷いて蒼の頭を撫でてくれたのだ。
母に迷惑かけないはイコールあまり大きくならないこと。
普段とても物分かりの良い蒼はたちまち小さな人型に戻っていった。
頭から飛び降りた姉と一緒に父の体に登っていくと少しだけ頬にすりより喜んでいるのだと伝える。
ひとりは嫌で。嫌で。
なんだか落ち着かない。
一番大好きな姉とふたり、のんびりフンワリ寄り添って。
明日も一緒、明後日も一緒。
いっぱい遊んで。
ずっと離れないで。
ずっと手を繋ぎあって生きていく。
はい。
文章にあるとおり、蒼は家の子ですが現在我が家におりません;
相方犬神宅で大事にされてます。
いやー、うん。
家に連れて帰って写真を撮っても良い顔に見えず。
でも、大好きなのでうちの子という考えは変わってません(・ω・)
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