スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

異世界召喚された


髪を振り乱して叫んでいるアレは何だ。
常ならばしゃらしゃらと流れる髪は、白い指に絡んでなすがままに引きちぎられている。
聞き取りづらいそれは、本当に彼女が発している言葉なのか。違うと。こんなはずではなかったのだと、神を呪う言葉を吐く。

「み、巫女様?」

後ろから動揺も顕わな声がかかる。彼女の身の回りを世話する侍女だ。私が踏み出せなかった一歩を越え、彼女を支えんと近付いていく。

「止まりなさいアンナ」
「……巫女様?」

ぴたり、不自然に止まった叫びと、静かな命令。振り乱された髪から覗く目は、尋常ではない。

「お前たち、わたしのーーーをころしたな」

ぬらりと蛇のような目で、彼女は嗤った。


異世界召喚
巫女様→精霊の声を人に届ける人
召喚には莫大なエネルギーが必要。生け贄
精霊さんが囁く。「貴女の彼ら、死んじゃったよ?」
風の精霊、火の精霊、水の、土の、光の、闇の。
たくさんの精霊が笑うせいで、巫女様心のバランス崩しちゃう
前の記事へ 次の記事へ