相続登記Q&A 4月から相続登記の申請義務化、どうなる手続き 司法書士会に聞く

埼玉司法書士会が開催した相続について知る一般向けのセミナー=昨年9月、吉川市(同会提供)
埼玉司法書士会が開催した相続について知る一般向けのセミナー=昨年9月、吉川市(同会提供)

不動産の相続登記の申請義務化が4月1日から始まる。手続きをしないと罰則規定もあり、中には不安に思う人もいるだろう。しかし仕組みや手続きの流れを知れば慌てなくてもいい。具体的な相続登記のツボを、埼玉司法書士会の山田美穂・企画広報部長と押井崇・広報室長に教えてもらった。

--親などが死去し不動産を相続することになったら

「まず、遺言書が残されていないか確認から始める。自筆の遺言書は家庭裁判所の検認手続きが必要なので注意したい」

--遺言書がなければ誰が相続人となるか確定作業に入る

「死去した人の出生から死亡までの戸籍などを集めて相続人を確定。手続きは本籍地などの市町村役場に申請すれば取得できる」

--その後、相続人の間で分け方を話し合うのか

「遺言書があればその通りにするが、なければ相続人全員で協議する。誰がどれだけ相続するか分け方を決め、合意したら遺産分割協議書を作る」

--ただ、協議がまとまらないことも

「その場合は家庭裁判所の調停手続きなどを利用して合意を図る。また、もめないよう生前にできることとしては、遺言書を作成し分割方法をあらかじめ決めておくことだ」

--具体的な登記手続きの流れは

「主な必要書類は①戸籍謄本(死去した人の相続人確定の戸籍と相続人の現在の戸籍)②遺産分割協議書(相続人全員が実印で押印)③死去した人の住民票の除票または戸籍の附票④相続人全員の印鑑証明書⑤不動産を取得する人の住民票の写し⑥不動産の評価の分かる書類(固定資産評価証明書など)。申請書を作成し、必要書類とともに、管轄の法務局へ提出する」

--こうした相続登記の申請義務化が4月から始まる

「原則として3年以内の申請が必要になる。気を付けたいのは4月1日より前の相続も義務化の対象となっていることだ」

--3年以内に登記ができないと

「正当な理由がないのに相続登記の申請をしないと10万円以下の過料が科される場合がある。『正当な理由』というのは、相続人が多すぎて戸籍などを集めるのが難しかったり、相続人間で争いがあるケースなどだ」

--そもそも相続登記はなぜ義務化されたのか

「相続登記されていない所有者不明土地が多すぎて、災害からの復旧復興がスムーズに進まないといった問題が起きている。国土交通省によると、所有者不明土地は全国で約410万ヘクタールに上るとみられる」

--それでも自力で手続きできない場合は

「県内に4カ所ある司法書士相談センターで面談相談を受け付けているので利用してほしい。予約電話番号は048・838・7472。また、登記手続きの専門家である司法書士に直接依頼してもいい」

(柳原一哉)

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