「クルド人トラブル一部認識」「ヘイトスピーチは徹底排除」 川口出身の大野埼玉知事

「移民」と日本人

昨年12月に記者会見した際の大野元裕知事=埼玉県庁(柳原一哉撮影)
昨年12月に記者会見した際の大野元裕知事=埼玉県庁(柳原一哉撮影)

埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、大野元裕知事は28日の定例記者会見で「一部トラブルは認識している」とした上で「クルド人に限らず、ヘイトスピーチは地域社会から徹底して排除されなければならない」などとクルド人に言及して持論を述べた。

この日、大野氏は記者から「いまネット上で『川口市の治安が悪化している』と騒がれている。知事は川口市出身だが、体感としてどう思われるか」と問われ、「外国人の中には日本語や日本の生活の理解が十分ではない状況があり、逆に地域住民の中には外国人の増加に不安を抱える状況がある。このため一部で軋轢やトラブルが生じていることは認識している」と指摘。

治安維持対策として昨年夏、県警に厳正な対処を要請し、県の新年度予算で川口北警察署(仮称)整備へ財政措置を講じていると説明した。

また、「クルド人や支援団体へのヘイトスピーチが徐々に激しくなっていると聞くが、どう思われるか」と問われ、「クルド人に限らず、ヘイトスピーチは地域社会から徹底して排除されなければならない」と強調。

「県民の皆さまについても、一人一人がヘイトスピーチを許さないという思いを持って、日本人と外国人がともに地域を支える共生社会の構築を目指していきたい」と話した。

大野氏は自身が参院議員時代、ヘイトスピーチ解消法の起案に一部関わったことに触れ、「外国ではヘイトスピーチや人種差別は極めて重い形で受け取られている。日本だけがそうしたところから外れて、ある意味遅れていると見られるのは心外であり、日本人の温かみで共生社会をぜひ作り上げていただきたい」と述べた。

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