「盛ってんじゃねぇよボケ」
「うぅぅ…」
やっぱり今日も今日とて冷たい愛しい人、深雪さん。
「深雪さぁぁあん」
ドカッ
「…っっっってぇッ!!」
「当然だ。もう一度そんな呼び方してみろ。
―――ちょん切ってやる」
「ち、ちょん切るってドコを!?深ゆっ…ユキさんっ!」
危うく彼の名前を呼んでしまいそうになったところを、鋭い眼光に射られ、訂正する。
…そう。深雪さんは、自分の名前が嫌いなのだ。
理由は言うまでもなく、女みたいだから。
可愛いのに。
「俺のちょん切ったら困るクセにぃー。」
ジャキッ。
「っ!」
―――深雪さん。いつもサバイバルナイフを常備してらっしゃるんですか。
(教訓、長いものには巻かれよう。)