「えぇぇぇ!?」
すっかり今が講義中だという事が頭から抜け落ちたのかはたまた元から馬鹿なのか近藤は大声で立ち上がった。
もちろんそんな近藤にというか俺達に視線は集る。
すみません、コイツ寝惚けてたんですよ〜と言いながら俺は近藤の服をグイッと引っ張り席に座らせた。
「なんでだよ!!!もうトシに言っちゃったよ!!!」
「はぁ!?知るか!!!二人で食えばいいじゃねーか。」
「多い方が楽しいだろ!!!」
ニコニコとこっちを見つめながら言う。
「だいたい今金がねぇんだ。」
「金なら安心しろ、俺の奢りだ」
俺の懐はホカホカなんだぜなんて言いながら此方にウィンクをしてきやがった。
このままだとコイツのいいなりになる気がする。
なんでコイツの言う事を聞かなきゃならないんだという苛立ちとこんな事を思っていても結局は行く事になるんだろうという俺への呆れがグルグル混ざりっている頭を俺は抱えこんだ。
「行かないか?イヤ、無理強いするつもりはないんだが…」
とどめに捨てられた子犬のような目。(外見はゴリラの癖に)
嗚呼…、俺って子供の頃捨てられた子犬を見つけるとすぐ拾って来ちゃうようなヤツだったっけ?
「たっく、その『トシ』って子は美人なんだろーなぁ…」
「ああ!!すっげー美人だ!!」
「…」
結局俺はハイと言わざる終えなくなった。
さっき置いた鞄に頭を埋めた。
アイツに連れられてくる『トシ』という子がゴリラの美人ではなく人間の美人なレディが来る事を祈りつつ俺は夢の中へダイブした。