賑やかな生徒会室を後にするソーマ。
「(そういえばまだ名前聞いてないな…今日は聞こう)」
足早に階段を降りていく。
と、その途中でソーマは何者かにぶつかった。
「っ…すみませ…」
相手を確認して驚いた。何故ならそこにいたのは…
「息を切らして走るなんて珍しいなソーマ」
「カティ先生…」
天然ばかりのこの学院ではめずらしく、鬼教師と呼ばれているカティ=マネキンだった。
「(やばい…余計なこと聞かれる前にとっとと去ろう)今は先を急いでるんで、説教はまた後で…」
そう言ってまたソーマは駆け出した。
カティの目はあっという間に見えなくなったソーマの背を見つめて目を細めた。
まるで何かを探るように。
「危なかった…」
ぜぇはぁと息をつきながら校舎の外に出たソーマ。
「あれに見つかったら今度こそ終わりだ…」
カティをまいてなおも辺りを警戒するソーマ。
「鷹みたいな目してるもの…」
茂みに身を隠しながら渡り橋を目指す。
「ついた…」
到着した頃には葉っぱだらけになっていた。
「よぉ」
そこには余裕の表情を浮かべたハレルヤの姿があった。
と、ハレルヤはソーマを見るなり腹をかかえて笑い出した。
「なっ!?」
いつも冷静なソーマもこればかりは顔を真っ赤にして反論した。
「何!?」
思わず声をあらげてはっとなり手を口に当てる。
「(まずいまずい)」
「だってよぉお前葉っぱだらけだから。かくれんぼでもしてたのか?」
「ちっ違うっ」
またもや取り乱してしまうソーマ。
「冗談だよ。ほんとかわ…」
いいかけてハレルヤは思わず顔を背けた。
「何?」
ソーマは訳がわからず首をかしげた。
「俺としたことが…(あやうく本音がでる所だった…)」
「今日は変だな」
「お前に言われたくないな…」
「そうだ名前まだ教えてなかった。私の名前はソーマ=ピーリス。皆ソーマって呼んでる。たまにピーリスって呼ぶ人もいるけど」
「俺はハレルヤ=ハプティズムだ。ハレルヤって呼んでくれ」
「へぇ〜いい名前ね」
「…」
「どうかした?」
「そんなこと言われたの生まれて初めてだからよ…その、なんだ…びっくりした」
そうハレルヤがいうとソーマはまた不思議そうに首をかしげた。
「まぁ確かに性格には合わない…な」
「っ!」
こんどはハレルヤ
の顔が真っ赤になった。
「あははっ」
けれど嬉しそうに笑うソーマを見てハレルヤは怒る気力をなくしてしまった。
「ハレルヤ?」
「ん?何だ?」
「ぼ〜っとしてるから…どうかした?」
「別に何でもねぇよ」
ソーマの笑顔に見とれてたなんてハレルヤは口が裂けても言えないだろう。
「そうだ…刹那大丈夫?」
大丈夫かと聞かれるとあまり大丈夫ではないが…ハレルヤはとりあえずその言葉は自分の胸にしまっておくことにした。
「大丈夫だろあいつガンダムバカだから女には見向きもしないって」
「ふふっそうか」
「…」
まただ。ハレルヤやソーマの笑顔に目が釘付けになった。
そうこうしているうちにあっという間に鐘がなった。
「もう時間?ハレルヤといると時間が経つの忘れる」
そう言ってソーマは少し寂しそうに微笑んだ。ハレルヤはそんなソーマを見て何故か嬉しくなった。
「明日また会えんじゃん」
可愛いやつ。本当はそう言いたいけれど言ったらソーマはどんな反応をするだろうか。
今度さらっと言ってみようと決意した。
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