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使わなかった文章がもったいなかったので




「依存性薬物」「麻薬」、英語では通称「ドラッグ」とされる。
「国際条約や法律で取り扱いを規制された薬物」が依存性薬物、麻薬であるとされているが、数値や規定による明確な定義づけに関しては、曖昧な部分が多々ある。そのため、一般的に身体的、精神的に悪影響を与える薬剤を総じてそのように呼んでいる。
具体的には、覚せい剤、ヘロイン、LSD、マリファナ(大麻)、シンナーなどを差す。ほとんどの国で合法とされているアルコールや煙草、カフェインなどの嗜好品もこれに当たる。
同じ依存性薬物と定義されながら、アルコールや煙草は接種が許されているのに、何故覚せい剤などの薬物は合法化さ
れないのだろうか?
ひとつには精神的な依存がアルコール、煙草とは比べ物にならないくらい高いことが挙げられる。また、覚せい剤など
の製造は暴力団にとっての資金源に当たること、多大な悪影響が周囲に及ぶこともその理由となっている。

1作用による分類

依存性薬物と一口に言ってもさまざまなものがあり、種類によって作用や副作用、危険度など多くの相違点を持つ。
それらの特徴の中で一番分かりやすいのは、精神を覚醒させる興奮剤系(アッパー)か、鎮静する抑制剤系(ダウナー)であるかということだ。それ以外に視覚や聴覚を敏感にする幻覚剤系というものもある。共通するのは、一時的に快感を得られるということだ。
それが、痩せる、元気になる、眠くなくなる、セックスの快感が高まる、などの売り文句に繋がり、広く蔓延する原因
となったのだろう。
代表的な薬物では、覚せい剤、コカイン、単離されたニコチンは興奮剤系、ヘロイン、アヘン、幻覚剤系は抑制剤系、
LSD、MDMA、マジックマッシュルームは幻覚剤系に、それぞれ分類される。マリファナやシンナーはこれらの性質の融合した薬物である。
これらは法律によって製造、譲渡、所持、使用を厳しく禁止されているが、こうした規制を受けていない薬物も存在する。睡眠薬系、抗不安剤系(抗うつ剤)である。医師の処方で容易に手に入る薬物だが、これらも、興奮剤系、抑制剤系の要素を持つ依存性薬物であり、大量摂取により、最悪死亡に至ることもあるという。

2具体的な作用・副作用

薬物の摂取による作用のうち、悪影響とみられるものを特に副作用とする。
個々の特徴に違いはあるが、副作用の内容は共通したものが多い。WHOでは薬物依存についてこのように規定されている。
・急性中毒…摂取した直後の一時的な障害
・依存性症候群…所謂薬物依存
・離脱症状…使用を中止したときに禁断症状が起きる
・せん妄を伴う離脱症状…意識混濁、錯乱、幻覚、妄想、睡眠障害
・精神病性障害…幻聴や強迫観念、著しい被害妄想
・健忘症候群…短期記憶障害が慢性的に続く
・残遺症及び遅発性の精神病性障害…使用後しばらくたっても起きる障害。フラッシュバック、人格障害、うつ病など
以上の7つの障害の程度が基準として定められている。
では、代表的な薬物の、身体に及ぼす具体的な作用にはどのようなものがあるのだろうか。
覚醒剤を摂取した際の作用として、眠くならない、食欲が減少する、のどが渇くなどが
ある。大量摂取による副作用では、幻覚、興奮、痙攣、死亡と、深刻な症状が現れる。ヘロイン、アヘンに代表される
抑制剤系は、一時的な強い陶酔感、多幸感の後、嘔吐感、呼吸がしづらくなる、のどが渇くなどの副作用が出現する。
また大量摂取により、呼吸困難、体温の低下、こん睡、死亡などの危険もある。LSDなどの幻覚剤は、言葉通り幻視、
幻覚を引き起こす。大量摂取の影響として、幻覚が長く続く、誇大妄想、精神異常、死亡などが挙げられる。依存性薬
物の中では比較的副作用の軽いマリファナ(大麻)は、理由もなく晴れ晴れした気分となり、意味不明の笑いを発したり、食欲が増進するなどの作用を持つ。ただしこれも一時的なもので、大量摂取をすると判断力や観察力が落ちる、吐き気、めまい、筋力低下、平衡感覚障害などの影響を及ぼす。
睡眠薬の摂取は意識の混迷、眠気を起こし、この作用は医療でも利用されているが、大量摂取により昏睡、呼吸低下、死亡することもある。
最後に、もっとも流通していると言われるシンナーについてだが、手に入りやすく摂取しやすいため現在では若者への浸透率が問題となっている。作用として、意識が朦朧とする、ふらふらする、所謂「飛んだ」状態になる。また、神経や感覚を麻痺させ、それが少年犯罪の増加と強く結び付いている。大量摂取の影響として、無気力になる、幻覚、不安感、嘔吐感などがあり、死亡へ至ることもある。
そして、これらすべてに当てはまるのが身体的または精神的な依存度が高いということだ。

3危険度の判定

依存性薬物と呼ばれる中で人間の体にとって無害なものはない。
その害の程度は、種類や量により実に多用で、簡単にランクづけできるものではないが、次の3つのポイントから危険度を判断するのが一般的とされている。
1身体的な依存の程度。身体的な依存とは、薬物の摂取を中断したときに起こる離脱症状、所謂禁断症状のことである。
2精神的な依存の程度。これは摂取していない状態での薬物への欲求、苛々、興奮などの精神症状の程度を見る。
3耐性の程度。耐性とは、薬に対して体がだんだん慣れてくることである。耐性ができてくると以前の摂取量では効果が得られなくなり、量を増やすようになる。そうすると薬物を買うためにさらに金がかかるようになる。

以上の見方から、抑制剤系のヘロイン、アヘンが、身体的、精神的依存、耐性のどれも強く、もっとも危険な薬物と言える。
アヘンはけしの実の樹脂を固めたもので、アヘンを加工したものがモルヒネ、モルヒネをさらに精製し毒性が20倍にもなったものがヘロインである。