少年探偵団のみんなと他愛もない話をしながら、私達は警視庁に到着した。大きくそびえ立つ威圧感を持っている建物に、悪いことをしていないのに何故か居心地が悪くなってしまう。
私が入口前でぼーっとしていると、
「おーい、おいてっちまうぞー」
「真衣お姉さんも早くー!」
元太君、歩美ちゃんが叫ぶ。
いつの間にか、私と子供達との距離が開いていた。
「あ、ごめんごめん!」
私は急いで子供達の後を追いかけ、これから起こるであろう出来事に向けてこの話を思い出す。
この事件。
7年前から続いている爆弾事件。
そして、佐藤刑事のトラウマ。
今日で解決するとわかっていても気分は晴れない。
晴れるわけがなかった。
例え今日この事件が解決しても、佐藤刑事が心に負った傷は決して塞がることはない。
そして、その事件で亡くなってしまった人も決して戻っては来ない。
…松田刑事も戻って来ない。
庁内を歩いていると、普段あまり聞かない声が聞こえた。
「あら、真衣ちゃん?珍しいわね、あなたが子供達を引率しているの…」
声のする方に顔を向けると、そこには交通課の由美さんがいた。
「あ、由美さん。実は博士が今日引率してくれるはずだったんですけど…博士ぎっくり腰になっちゃって…それで私が代理で来たんです。」
「あら、阿笠さん大丈夫かしら?」
「大丈夫だと思いますよ、きっと…。あ、佐藤刑事いらっしゃいますか?今日、実況検分をすると伺っていたんですけど…」
「美和子?美和子なら私と一緒に…って、あれ?いない…」
由美さんが振り返っても、佐藤刑事はいなかった。
いや、振り返る前から由美さんの後ろに佐藤刑事はいなかったのだが。
由美さんの後ろのほうを見ると、4.5m離れた所に、佐藤刑事はいた。
その佇まいはまさに、心ここに非ずを体言していると言っても過言ではなく、意識は完全に別のところにいっているのだろう。由美さんが何度美和子と読んでも、返事が返ってはこなかった。
「ちょっと呼んでくるわね」
由美さんが佐藤刑事の元まで走る。
由美さんの履く低いヒールの音が響いた。
(あ、なるほど…。このシーンが、あの話の最初に繋がるのか…)
ふいに私は思い出した。
この話の冒頭は、こんな感じで始まるのだ。
あまり深く読み込んでいなくても、この話は嫌というほど印象に残っている。
漫画はもちろん、アニメも何回も繰り返し見ていた。
そんな私が、今回この話に関わっていかなければならないというのがとても辛かった。
話の流れをすべて知っているというのが、今ほどいたたまれない気持ちにさせるとは思わなかった。
「ごめんなさい、待たせちゃったわね。じゃあ、行きましょうか」
佐藤刑事の何語ともなかったかのような振る舞いに胸が痛くなった。
泣きそうになってしまった。
そんなことを悟られないように、私は佐藤刑事と子供達を追った。
―――――延長戦の始まりまで、後1時間―――――
すべて本音
爆弾プロ第二弾(^ω^)
もうそろ動き出します
てか地味にコナン再燃\(^o^)/
今のうちに書き進めて今年の献花作品にします(^ω^)