2008年8月27日 08:31
六は23題《5.体質》<伊→留←綾> (キサキ)
こちらのサイト様から素敵なお題をお借りしました。
登場キャラ:六は+綾部。
しかしぶっちゃけ未だに綾部のキャラをきちんと把握出来ていない自分(ちょ)
もしキャラが違っても首フィギュアだけは投げないで下さい。不気味だから。
━*━*━*━*━*━*━*
5.体質
一緒に並んで歩いていたら、突然伊作が目の前から消えた。
まぁ、それはいつものことなので、別段驚くべきことではない。
「留さーん、助けてー」
そして、その声が下から聞こえてくるのも、いつものことである。
「何、お前また落ちたの?」
「またとか言わないでよ」
声のする方に視線を向ければ、地面に掘られた穴に落ちたらしい伊作の姿。
不運委員長の善法寺伊作は、本日も絶好調に不運のようだった。
「随分とまた深い落し穴に落ちたもんだな」
「こんな人が通る道に落し穴を掘るなんて陰湿だ!」
「落し穴じゃありません。タコ壺です」
「あ、綾部」
振り返ると、穴を掘った張本人・四年い組の綾部喜八郎がそこに立っていた。手にはスコップがしっかりと握られていて、ついさっきまで別の穴を掘っていたであろうことが分かる。
「善法寺先輩。実はその穴が今日掘った中で一番底が深いんです。大当たりです。おめでとうございます」
「嬉しくない!」
綾部がパチパチと手を鳴らしながら、伊作へ賛美を送る。
まぁ、確かにある意味『当たり』ではある。一番の大物を引き当てて落ちたのだから。
「綾部。お前、掘るにしても場所を選びなさい」
「選んだ結果です。ところで善法寺先輩」
「……何」
とりあえずの注意をしてみるものの、見事にさらりとかわされた。言っておくがお前の掘った穴を毎回埋め直してやってるのは我が用具委員会なんだからな!掘るなとは言わないが、少しは後先考えて掘ってくれ。こんな場所に掘られては、被害が広がる前に早急に埋め直さなければならないではないか。これから出掛ける予定だったというのに。
そんな俺の事情も知らず、あくまでもマイペースに綾部は言う。
「実は今回、タコ壺に趣向を変えた名前を付けてみまして」
「へぇ」
あぁ、伊作の機嫌が明らかに急降下している。その証拠に、声がいつもよりも若干低い。
綾部の掘った穴に落ちたからか、はたまたそれに因って出掛ける予定を邪魔されたからか。
伊作が穴に落ちるのは最早日常茶飯事だから、おそらくは後者。
「ところで僕達これから出掛けるところだったんだけれどね、綾部喜八郎くん」
「で、その名前なんですが」
「君、人の話聞いてる?」
「その穴の名前は『善法寺伊作先輩』といいます」
「あぁ、そりゃ確かに大当たりだな」
「だから嬉しくない!ってか人の名前を勝手に…ッ!」
「ちなみにあちらの穴は『食満留三郎先輩』」
「え、」
「そっちの穴に落ちたかったあぁっ!」
「よし、とりあえずお前黙れ」
あぁ、何か凄く疲れる。伊作は穴の中から自信あり気に「ある意味留に落ちているけどね!」などと意味不明な発言をしているし。
どういう意味だ。
「とにかく俺はお前を引き上げるための縄を探してくるから。そこでおとなしく待ってろ」
「あ、出掛ける時間がなくなっちゃうから早めにお願いね」
「どこかへ行かれるので?」
綾部の問いに、ちょっと茶屋まで、と返す。
折角の休みだ。綾部の掘った穴に関しては、注意書きでもしておけば、帰ってきてから埋めても多分問題はないだろう。
「では私が代わりにお供します」
「ああそうか……って、えぇ?」
「ちょっと待てエェい!」
綾部の申し出を聞いて伊作が吠えた。しかし、穴の中からなので迫力は皆無に等しい。
「伊作、冗談なんだからそうムキになるな」
「本気ですが」
「え、そうなの?」
「駄目!絶対駄目っ!!」
「実は冗談です」
「どっちだよ!」
……あぁ、やはり何か疲れる。これは早々に立ち去った方がいいのかもしれない。
まずは縄を取ってこよう。でなければ埒が開かない。
「あー…綾部、まだ穴を掘るつもりならこの辺りにまとめてにしてくれ。その方があとで埋め易い。伊作、お前はおとなしく待ってろよ」
とりあえず俺は二人にそう言い残して、伊作を引き上げるための縄を探しにその場を後にしたのだった。
「……で。結局はどっちなのかな、綾部喜八郎くん?」
「何がです?」
「冗談か、冗談ではないのか」
「さて?」
あぁ、でも善法寺先輩。
もし先輩方が今日出掛けるのを私が知っていて、それを邪魔するためにわざと通り道に穴を掘っていたのだとしたら。
「どうしますか、先輩?」
━*━*━*━*━*━*━*
最後のが冗談か否かは、各人お好きなようにお受け取り下さい。どっちでもいいと思う。
他サイト様で綾食満見たことあるから別にこれもありだよね!ね!?(←ちょっと怖いらしい)
何だかんだ言って「掘るな」とは言わない留さんは、やっぱり後輩に甘い人。
多分伊作の落ちた穴の周りには、様々な先輩の名前を与えられた穴が沢山あるかと思われます。
お題から逸れてる気がしますが、一応は伊作の『不運体質』って意味です。
でもこれじゃぁお題『穴』だ。
伊作の「ある意味留に落ちているけどね!」とは、つまり留に恋に落ry
コメント(
0)
[前へ] [次へ]
[TOPへ戻る]
[このブログを購読する]