2009年5月2日 16:54
六は23題《13.六−は教室》<伊留?> (キサキ)
登場キャラ:六は
伊作が留さんのこと大好きすぎるお話。
六年生の授業って実戦とかが多くて、教室での授業は下級生たちに比べると少ないんじゃないかなぁ…という、勝手な想像。
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13.六−は教室
教室では、僕と留とは隣同士の席だ。
お互いに起こしたり起こされたりしながら朝起きて、欠伸をしながら着替えをして、冷たい水で顔を洗って、食堂でおばちゃんの作った美味しいご飯を食べて。
そして、鐘が鳴る頃にこの席に着く。
学年が上がるにつれて実技が増え、教室を使う機会はめっきり減ってしまったけれど、だからこそこうしてたまに受ける教室での授業は、僕にとって至福の時間なんだ。
だって、隣には留がいる。
先生の話を聞いて、真剣な表情で頷いてみたり。分からない問題があると、眉間に皺を寄せてう〜んと唸ってみたり。すらすらと筆を進める手の動きだって、見惚れてしまうくらいに格好良い。
「ここ分かる?」って問題を指しながら聞いてきたときには、一緒になって教科書を捲って、今度は二人で唸ったりするんだ。留は実技の方が成績いいし、僕もそこまで頭がいいわけじゃないから、そんなことはしょっちゅう。
でも、僕も留も、すぐに先生に助けを求めたりはしない。
だって、二人で教科書と睨めっこしている時間ですら、僕にとっては至福の時間なんだから。
まぁ留は、ただ単に自分の力で問題を解きたいだけなのかもしれないけど…ね。
(…あぁ、それから)
眠くってうつらうつらしている留を見るのも、結構好きかな?
今にも睡魔に負けてしまいそうで、でも起きなきゃって奮闘してる姿が、端から見てるとちょっと微笑ましい。
最近委員会やら何やらで忙しかったから、多分疲れてるんだろうなぁ。
(あ、ほら、寝ちゃった)
奮闘虚しく、ついに睡魔に負けてしまったみたい。
あんなに頑張って持ち上げようとしていた留の目蓋が、閉じられたっきり開かなくなる。
(かわいい、なんて思ったら、変かな?)
だって、寝顔って、何だか普段よりも幼く見えない?
留の場合、もともと目付きが悪いから、尚更なんだろうけど。
(ずうっと、このまま、見ていたいな…)
部屋が同じだから君の寝顔なんていくらでも見れるのに、教室で見るとまた違って見えてしまうものだから。だから、つい目が離せなくなるんだよね。
窓から入るそよ風がさらさらと君の髪が揺らして。
そんな光景が、僕は好きなんだ。
―――結局。
その後居眠りしてるのを先生に見つかって、「なんで起こしてくれなかったんだよ」って留に文句を言われるのは、毎度のこと。
「この薄情者っ!」
「ちょ、待ってよ留!ごめんってばーっ!」
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伊作授業に集中しろ。
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