2009年3月29日 15:10
六は23題《11.誤解》<用具,伊> (キサキ)
登場キャラ:用具委員会+伊作
語り&ツッコミ:作兵衛。
伊作が珍しく(?)白伊作(?)です。邪な気持ちなんて一切ありませんよ!ありませんよ!!
大事なことなので二回言いました。
そしてまたお題から微妙に逸れている件。
駄目だ自分。
━*━*━*━*━*━*━*
11.誤解
子供ってのは、ときたま突拍子もない発言をする。あの一年は組の生徒ともなれば、それは尚更のことだ。
我らが用具委員会には、そんな人騒がせな一年は組の生徒が、二人在籍しているわけで…。
「は?」
「え?」
食満先輩と善法寺先輩がそんな反応を返すのも、無理はねぇと思う。現に、当事者じゃない俺だって、思わず補修作業の手を止めちまったくらいだ。平太だって俺の横で首を傾げてる。
唯一元凶の湿り気コンビだけが、ふにゃふにゃと締まりのない顔で笑っていた。
「えぇっと…しんべヱ、喜三太、もう一度頼む」
食満先輩が二人の前にしゃがんでそう言うと、二人はぴったり声を揃えて、
「「食満先輩と善法寺先輩って、どーいう関係なんですかー?」」
さっきと同じ質問を、一語一句違えず言ってのけた。
いやいや何その質問一体何処の次元から引っ張りだして来たんだよ。やっぱ一年坊主の考えてることってよく分かんねぇ。いや、つか基本的に何も考えてねぇだろコイツら!
でもまぁ、そんな訳分かんねぇ質問にも丁寧に答えてやるのがウチの親馬鹿委員長なわけで。食満先輩は二人の頭をくしゃくしゃ撫でてやりながら、優しい笑顔で質問に答える。
「そりゃ、勿論友d」
「恋人だよ」
「え?」
「は?」
俺は、危うく作業道具を手から落としかけた。
「伊作?俺たち、一体いつからそういう関係に…」
「え?僕と留ってそういう関係じゃなかったの?」
「あれ?そうだっけ?」
「えー?だって僕、ずっとそうだと思ってたんだけれど…」
「あー?じゃぁそうなのか?」
「んー?そうなんじゃないかな」
「まぁ、ならそれでもいいk」
「って食満先輩ッ!何納得し掛けてるんすか!」
危うく納得しかけた食満先輩に、慌てて俺は待ったをかけた。
いやだって、何今の話?いろいろと可笑しくねぇ?
「そこはもっとよく考えて下さい!そんな簡単に決めていいんすか先輩は!?」
「ん、駄目か?」
「いや、駄目っつーか!だって普通!」
「あ、じゃぁさ、今から恋人ってことにしようよ留」
「あぁ、うん、じゃぁそうするか伊作?」
「いやいやいや!だから何なんすかその軽いノリ!?絶対可笑しいっすよね常識的に考えてっ!!」
「えー?」
「そう?」
(もうやだこの人ら…!)
俺はちょっとだけ常識を見失いかけた。
「…あ、あのっ、先輩」
「ん、どうした平太?」
「僕も…先輩の恋人になりたいです」
否、俺は常識を見失った。
恐る恐る食満先輩の方を見てみると、先輩はふにゃりと今にもとろけそうな満面の笑みを浮かべてる。正直その顔気持ち悪い。
返事は、勿論。
「あぁ、いいぞ!」
「あ、ありがとうございますっ!」
平太がぱぁっと嬉しそうに笑った。まぁ言うまでもなく、先輩の方がそれに負けないくらい輝かしい笑顔を浮かべているわけだが。
で、そんな光景を見て黙ってられるわけねぇのが、我らが用具委員会下級生。
「平太ばっかりずるいっ!」
「僕も食満先輩の恋人になりたいです〜!」
「先輩僕も!僕も恋人にして下さーい!」
「留さん!僕も僕もっ!」
(あぁ、何か嫌な予感が……)
「よーし!じゃぁお前らみんな俺の恋人だ!」
「「「わーい!」」」
「………。」
恋人たちが食満先輩に群がる常識が行方不明の不思議空間を見て、俺はついに頭を抱えた。
ああこの委員会にはツッコミ役がいねぇ!寧ろこの場には常識人が一人もいねぇ!!ってか一人違うの混じってんすけど!?
(つか、あの人は一体何人恋人作る気なんだー――っ!!)
現在四人目絶好調記録行進中である。
こうなったら、俺が常識人としてしっかりしねぇと!と妙な義務感に駆られ、俺は強くそう心に誓ったのだった。
「おーい、作兵衛ー!」
「はっ、はい!?」
「勿論、お前も俺の恋人だからな!」
「えぇっ!ちょ、先輩…お、俺は別に…っ」
「ほら、お前もこっちにおいで」
「えっと…、あのっ…!」
「さーくべえ?」
「………ぅ゙‥ッ、……はいっ!」
俺の決意は、取り敢えず十五秒だけしか保たなかった。
こうして、我らが用具委員長の恋人は五人目に突入したのである。
━*━*━*━*━*━*━*
現在も記録行進中です。
用具委員会は相思相愛だと思いまっすッ!!
作兵衛が食満先輩に陥落させられちゃうと、ツッコミ役が誰もいなくなっちゃいますね。あら大変。
誤解ってのは
「そりゃ、勿論友d」
「恋人だよ」
の部分のことですよ!
誤解っつーより勘違い?
結局どちらの認識が正しいかは不明です。
つか何故いるの伊作。
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