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M@ster!2

「今日来てくれて本当に嬉しいです。せとにゃんは、かつやの大切な、ご主人様だから・・・」

きらりと目には大粒の涙。彼女はそれを指で拭うと、すぐに明るく笑った。

「今までありがとうございました。今日も精一杯ご奉仕させて頂きます」

気が付くと僕は自室にいた。どうやっていつ帰ったのかもよく覚えていない。覚えているのはかつやさんが辞めるということ、「いってらっしゃいませ」と言ってくれたこと。
僕はその夜、一晩泣いた。

あの日から僕は仕事に打ち込んだ。モクバは何かを察したらしく何も言わない。ほとんど不眠不休だった。何もしていないとかつやさんのことを思い出してしまう。

「兄さま、学校の人がプリント届けに来たぜい」
「・・・学校?」
「同じクラスの、なんだっけ、ジョウノウチって人」

ああ、僕一応高校生だっけ。
いつもなら誰かに取りに行かせるけれど、今日は何となく、持って来て貰った礼でも言おうかと接待室で待つよう言った。

「待たせてすいま・・・」
「あ、かい・・・」

ピンクのブレザーと紺のスカート。童実野高の制服姿のクラスメイトは、間違いなく。

「かつやさん!?」
「せとにゃん!?」

かつやさんは僕を指差して口をあんぐり開けている。

「お、同じ高校・・・だったんですね」

偶然か奇跡か、こんな形でかつやさんと再会するなんて。

「あの・・・と、とりあえず座って!」
「あ、うん!す、座らせて貰います・・・」
「えっと、今かつやさんはメイドさんじゃないから、普通に話してくださ・・・話して、よ」

心臓が爆発しそうだ。嬉しい、嬉しいんだけど、今の僕は寝不足でクマが酷くて、ろくに食べてないから頬はげっそり、酷い顔に違いない。

「・・・突然辞めてごめん」

かつやさんはぽつりと話し始めた。

「家、借金あって。あのバイトは楽しかったけどお金にはなんないから、辞めちゃった」
「・・・そうだったんだ」
「でも、びっくりした。せとにゃんが高校生社長の海馬瀬人なんて」

全然結びつかないもん!そう言って笑うかつやさんはメイドさんのときと同じ笑顔だった。

「これからもよろしく、な」

差し出された手を恐々握ると、かつやさんはぎゅっと握り返した。

「う、うん!えっと、かつやさんじゃあれだから城之内さん・・・て呼んで良いかなあ」
「んーじゃあ・・・海馬って呼んで良い?君付けとかガラじゃないから」

はにかむように微笑むかつやさん、いや、城之内さん。明日から学校に通わなきゃ。ああでも仕事もあるや。いやそれより僕はまともでいられるだろうか?同じクラスで彼女と過ごすなんて。
僕の幸せな悩みは尽きない。


fin

アキバ系キャベツ
城さんはバイト中ぶりっこ

M@ster!

・オタクキャベツ×メイド城

白いシャツとヘッドドレス、オレンジのミニワンピース。コスプレじみた制服とサービスがこのカフェの売りで、食べ物は可もなく不可もなく。でも別に何か美味しいものを食べたくて来てるわけじゃないから良い。僕の目的は・・・

「せとにゃん、いつもありがとう!」

・・・やっぱり、かつやさんは素敵だなあ・・・。
僕がこの店に来るのはお気に入りのメイドさんの、かつやさんのため。
彼女が出勤する日を調べて通い詰めた結果、ポイントカードは三枚目、ついにはVIP客。ツーショット写真は宝物。

「きょっ、今日は、猫耳なの?」
「似合いますかにゃ?」

とっても似合ってます!そう言いたいけど緊張して上手く言えない。おまけに目の高さに彼女の柔らかそうな胸があって、僕はもう俯くばかり。
この店の制服はなんでこんなに胸を強調するんだ!彼女は(推定)Eカップもあるというのに・・・他の客も、このぽよんと揺れる胸にどきまぎしているに違いない。

「せとにゃん?」
「はいっ!」

ばちんと目が合う。そのスタイルに似合わず童顔な彼女は、零れそうなほど大きな瞳で僕を見ている。唇はつやつやで、そこから紡がれる言葉はさながら鈴が鳴るようで。

「変なせとにゃん!」

そうなんです。僕は君の前では変になってしまうんです。

「か、かつやさんのおすすめのケーキとコーヒー、お願いします」
「かつやのおすすめで良いの?わかりましたあ〜」

本当に、僕は駄目だなあ・・・。一応僕、社長とかしてて、部下には冷酷とか仕事の鬼とか言われてるんだけど、かつやさんの前ではただの客の一人に過ぎない。彼女の一番になりたいけど、こんな気の利かない僕じゃあ・・・。

「お待たせしましたあ」
「あ、ありがとう」
「はい」

苺と生クリームのケーキ。それだけなら別に驚かない。しかし白い皿にチョコレートで「せとにゃん」と書かれているなら別だ。

「あの、下手でごめんなさい」
「う、ううん、嬉しいよ・・・!」

へへ、と照れたように笑うかつやさん。とりあえず記念にデジカメで写真を撮っておく。
普段ならここで接客はお終い。呼ばない限りかつやさんが席に来ることはない。が、今日は席をなかなか外れなかった。

「・・・せとにゃん」
「はい!」
「・・・かつや、今日でこのお仕事辞めるんです」
「・・・えっ!?」

寝耳に熱湯でも注がれた気分だ。嘘、そんな・・・!

拍手お返事

拍手ありがとうございます。以下お返事です。


うあすみませんコピペが〜の方

お気になさらず(^o^)/拍手ありがとうございます!

27日のセトジョ〜の方

ありがとうございます!セトジョは色々想像できて楽しいですね^^城さんよりジョーノさんのが馬鹿っぽい気がします(笑)

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