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雑記と拍手

お久しぶりです。生きてました。
城さん誕生日おめでとう!永遠の高校生!
お誕生日話「ホワットアワンダフルワールド」、なんとかぎりぎりにアップしとります、よろしければどうぞ。
「人魚の恋〜」はまた近々アップします。

拍手ありがとうございます!以下お返事です。

あけましておめでとうございます!いつも楽しく〜の方

お返事遅れて申し訳ないです!
拙い文章ですがそう言って頂けるととても励みになります。嬉しいです!!
今のとこジャンルに行く気は一切ないです。海城大好きですよ。のろのろ更新ですがまた遊びに来てくださいね〜。

ホワットアワンダフルワールド2

「・・・いやいや、俺は」
「乗れ!」

掴まれた腕が痛い。逃げようともがいた結果、よろけて俺はタクシーの中へ引っ張られた。
なんて展開だろう。ケンカして、酔っ払いを助けたら拉致られて。

「××町」
「いや、ちょ、降ろしてください、運転手さん!俺は降りま」
「早く出せ!」

男の勢いに完全にひるんだ運転手は飛ばし気味に車を走らせ始めた。

「ちょっと、まじ意味わかんねえ。俺あんたとぜんっぜん関係ない!」
「頭が痛いから騒ぐな」

タクシーの助手席は足を乗せるとこじゃないですよ。額に手を当てながらふんぞり返って座る男に呆れて、俺は説得を放棄した。
最悪なはずなのに、俺は少し楽しかった。こんな誕生日も一度くらいあるだろう、多分。最低な気分が今は少しマシになった。

「名前は?」
「・・・じょーのうち」
「城之内か」
「あんたは?」
「海馬だ」
「・・・どっかで聞いた名前だな」

海馬なんて珍しい名前、どうして俺はすぐに気付かなかったんだろう。
こいつの正体に気が付くのはばかでかい城みたいな家に着いてからの話。

fin

城さんハッピーバースデー!愛をこめて。

ホワットアワンダフルワールド

・城之内、出会う。

誕生日だっていうのに俺は父親と酷いケンカをして家を飛び出した。財布と薄っぺらいコート一枚、それだけひっ掴んで。

「・・・さみぃな、くそー・・・」

一月の夜は雪でも降るんじゃないかってくらい寒くて、俺は公園のベンチで震えていた。深夜の公園には虫の声さえしない。俺一人だけだった。

さてどうしようか。まさかこんな時間に遊戯たちの家に行くわけにはいかない。それに―――あまりに惨めだ。白いため息だけが口から漏れる。
突如がしゃん、と派手な音が響き、俺は顔を上げた。
スーツを着た男がフェンスにもたれて座りこんでいた。酔っ払いだろうか、ぐったりとしているのが遠くからでもわかった。
少し心配になった俺は男に近寄って声をかけた。

「あの、大丈夫すか」
「・・・・・・大丈夫、だ」
「水、いります?」

男はうつろな目で俺を見た。よく見るとずいぶん整った顔をしていて少し驚いた(表情は死んでいたけど)。
しばらくしてこくりと、いやがくりと頭を縦に振るので、自販機で買ったミネラルウォーターを渡すと、一気に半分を飲み干した。

「・・・・・・すまない」
「いや、別に。慣れてるから、親父がよくそうなるんで」

自分で言って少し悲しかった。慰めるみたいに笑って言ってみたけど、乾いた笑い声は妙に響いて余計に悲しくなった。

「・・・寒いから、早く帰った方が良いっすよ。タクシーならその道を出たらたくさん停まってるし」
「・・・案内してくれないか」
「ああ、・・・良いよ」

酔いが覚めたのか、少しすっきりした顔で(足はふらついていたけれど)男は立ち上がり、二人でタクシーが並ぶ通りまで歩いた。
立ち上がった男は俺よりも背が高くて、スーツや暖かそうなコートは上等なものだった。

「・・・婚約していたんだ」
「はっ?」
「・・・式は一ヶ月後だった。打ち合わせに行くと、・・・婚約を、破棄したいと」
「・・・そ、うなんですか」

おいおい、初対面の高校生にはヘヴィすぎる話じゃないか?

「妊娠していた。他の男の子だ・・・相手の親は土下座して謝ってきた」

さながら二時間ドラマだ。プライドずたずたにされてやけ酒、ってとこなんだろう。

「・・・タ、タクシー乗り場ここっすよ!」

並んだタクシーの先頭に押し込むように男を乗せ、俺はその場を離れた。いや、離れようとした。

「待て。最後まで付き合え」

人魚の恋は叶わぬ恋

・ちょっと暗い

「お兄ちゃん、お帰り」
「・・・ごめん、起こしたか?」

私は今、お兄ちゃんと暮らしています。小さなアパートを借りて、念願の二人暮らし。お父さんにもお母さんにも止められたけど、それでもお兄ちゃんと一緒にいたかった。お兄ちゃんだって「良いよ」って、嬉しそうだった。
お兄ちゃんは学校が終わったら夜遅く、たまに朝まで働いている。この目が治れば、私もお兄ちゃんみたいにバイトをして、少しでもお兄ちゃんを助けるの。

「学校行ってくる」
「気を付けてね」
「ああ、行ってきます」

お兄ちゃんのいない部屋はすこし寒くて、寂しい。

◇◇◇

「ただいま」
「お帰りなさい!」

お兄ちゃんは今日も深夜に帰ってきた。疲れているはずなのに、そんなことを微塵も感じさせない。私に気を遣っているんだと思うと申し訳なかった。けれどそんな優しさが嬉しくもある。

「お兄ちゃんお疲れ様」
「静香、待たなくて良いよ。もう・・・三時だぜ」
「お兄ちゃんを迎えたかったから・・・私は大丈夫。お兄ちゃんを待つの、楽しいから」

私が笑うとお兄ちゃんも笑う。見えないけれど私にはお兄ちゃんの表情がわかる。私の頭の中で、お兄ちゃんは太陽みたいに笑っている。
それから二人揃って眠って、また朝が来る。お兄ちゃんを私から奪う朝が。

「今日は病院の日だよな」
「うん」
「気を付けてな、じゃあ行って来る」

お兄ちゃんが学校へ行ってからしばらくして、私も家を出た。病院行きのバス停へ。
手術の日は刻々と近づいてきている。見えるようになったら真っ先にお兄ちゃんを見たい。

◇◇◇

いつもより遅く検査が終わり、病院を出ると風が少し冷たかった。今日はお兄ちゃんがバイトが無い日なのに、私はイライラとバスを待った。

「・・・な、・・・だから・・・」

部屋の前で鍵を探しているとお兄ちゃんの声がした。誰かと電話しているようだった。珍しい。

「お兄ちゃんただいま」

お兄ちゃんは焦ったように電話を切った。

「お友達?本田さん?」
「いや、・・・バイト先の人。・・・バイト行ってくるな」
「・・・お兄ちゃん、今日は休みだったんじゃ・・・」
「・・・急にシフトが変わって。ごめん」

そんな。今日は本当についてない。
私は忌まわしいこの目を呪った。全てはこの、光を失った私の目のせいだ。

ねんまつ

ですね!今年も一年ありがとうございました。
なかなかまめに更新できてないのですが、見に来てくださる方々、本当に感謝です。
私情で年末年始は更新ができませんので、こちらを挨拶に代えさせて頂きます。
来年もよろしくお願いします!

深く潜れ
管理人 里
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