聖なる夜、クリスマス
世の中の子供達は両親からプレゼントを貰い、朝起きるとサンタさんからのプレゼントが枕元に置かれている。
そんなクリスマス
「恭平、恭夜、ごめんね」
母はいつも悲しげな顔をして、俺達二人を残して仕事に出かける。
もちろん、父も不在だ。
毎年クリスマスは家政婦さんの作ってくれた冷めた料理と恭夜と言葉も交わさずに食べて終わる。
両親からのプレゼントも、サンタさんからのプレゼントも貰った記憶はない。
「メリークリスマス!」
和彦の部屋に二人して呼び出された俺達は、突然差し出されたラッピングされた箱に困惑した。
「これ…は…?」
恭夜もどうしたらいいのか分からず、箱と和彦を交互に見ている。
「クリスマスプレゼントですよ!」
受け取ってくださいと言いながら押し付けられた箱を受け取る。
「あ、その、和彦、ごめん!クリスマスにプレゼント貰えると思ってなくて…」
「俺達用意してないんだ…ごめん」
「プレゼント貰いたくて用意したわけじゃないですから!お2人にはお世話になりっぱなしだし、ほんのお礼としてですから!」
和彦にとって深い意味はないんだろう。だけど俺達にとってクリスマスにプレゼントを貰えたことは人生で初めてで…
「和彦、愛してます!」
恭夜は今にも泣きそうな顔をしながら和彦を抱きしめた。いきなりのことで、和彦の鼻血も静かに鼻から流れる程度だ。
「…愛してる」
恭夜ごと抱きしめて和彦の耳元で囁けば、耳が赤く染まったのが見えた。
END