愛したっていいじゃないか

その笑顔、声、表情、身体全部全部あたしのものにしたい
そうしないとあたし満足できない
だって君の事好き過ぎて
君の事手に入れたくてうずうずしてる。

こんなあたしを君は好きって言ってくれる？



だって不安が消えない
（俺からテニスを奪われた日）


君はテニス部の人気者だった。
まるであたしと一緒。あたしも顔はいいから男はよって来るし性格は明るくて人から好かれるから自分で言うのもあれだけどクラス人気者。注目される事は好きだったからこのポジションは気にっていたけど君に出会ってから何かが物足りないと思い始めたの。

たまたま委員会が一緒になってその時はテニス部のルーキーだって事しか知らなくて興味なかった。顔は男か女か分からないぐらい整ってて女から見たあたしからでも綺麗と思った。座る所がなくて仕方なく立っていたら君は立ち上がり

「座って下さい」って。
そこでやられたんだと思う。
それから君の事が気になって気になってわざと君と同じクラスの部活の後輩に用事がある振りをして君を見ていた。いつもいつも３人と一緒にいてあまり笑わない。でもね、たまに見せる笑顔に胸が高まる、これが恋なんだと思った。

あたしは君の誕生日も何もかも知ってる
勿論家も知ってる
でも家を知ってても何かがもの足りない。

君に近付くにはたくさんの障害がある
１番の障害はやっぱりテニス
テニスがあたしから君を奪うの。
あーあ君からテニスを奪ってやりたい。
普段教室では見せない表情もテニスの時はする、それに嫉妬してる。その表情をあたしだけのものにしたい。

あたしだけ見れるように
あたししか君の笑顔を見れないように
あたしの傍にぞっと居られるように
あたしは、あたしは
君からテニスを奪う事にした。

この時だけ跡部君と同じクラスで良かったと思う。

「桐谷君に委員会の事で話したいから部活終わったらメールして？」
「ああ、分かった。」

明日関東大会だから早めに部活が終わったらしい、跡部君からのメールを受け取りあたしは外に足を運ぶ、君が部活後一人で水道に行く事は知ってるからあたしは水道で待つ。あたしの姿を見て君は会釈をして水道の蛇口をひねる、その手を上からそっとあたしの手で重ねる。君はあたしの方を見る。

「ちょっとあたしに付き合って？」

そのまま手を掴み放課後は人通りの少ない倉庫裏に行く。
君を倉庫側にして、もう今からする事を考えただけでぞくぞくする、君を抱きしめると

「何がしたいんですか？」だって。
駄目駄目駄目、先輩じゃ駄目。ちゃんと名前を呼んで。それじゃ足りない。あたしは隠して居たナイフを気付かれないように持つ、一回君から離れた瞬間左腕に刺す。
やっぱり血も綺麗なのね？
ふふふ、君は驚いてる、その表情も堪らない、写メ撮りたい。
流石医者の息子、ナイフを外さないのね、そうだよね。外したら血がたーくさん出ちゃうもんね。出血多量で死んじゃう。死んだらあたしが永久に保存してあげる。

君はあたしを睨む。
睨んだって駄目、逆効果だから。むしろ興奮しちゃうんだよ？
君は持っていたタオルで止血しようとしてるけど駄目、そんなのあたしが許すわけないでしょう。右腕を掴んでタオルが手から離れる。そのまま君は座り込んでしまう。そんな君に前から抱きしめる。そして耳元で囁く、好きよって。右手であたしを離そうとするけど無駄、今の君の力じゃ勝てないの。抵抗する君の頬を軽く切る、流れる血を舐め唇にキスをする。絡めるようにじっくり。
そして君の顔は顔が真っ青になってる。そろそろ死んじゃう？

死んでもいいけど死んだら声が聞けなくなっちゃうのか。それは嫌だな。君の声大好きだし。もう少し血流したら助け呼んであげる。あ、でもそうしたらあたしが犯人だってばれちゃう。その前に逃げなきゃ。
でもこの苦しそうな君の顔を撮らせて、待ち受けにするから。

あたしが去ったあと息が荒い君は携帯を取り出す。あー携帯持ってたんだ。あたしが見てるって分からないのかな？もしここであたしが出たら君の携帯へし折っちゃうよ。しないけどね。今日は写メ撮れたしもう満足。

「−−ーー部長、助けて。」

それから暫くして跡部君が来たの。
跡部君はもたれ掛ってる君を見て顔を真っ青にさせる。跡部君ってあんな表情出来るんだ。すぐに止血に入る、そして携帯を取り出して救急車を呼んだ。あれだけ血流したらどうなっちゃうんだろ？もう使い物にならないのかな？明日の関東大会では使い物にならないのは明らかだけど。
どうしよう、凄く心がすっきりしてる。

君からテニスを奪った事によって君はあたしに集中してくれる。
元気になったらやり返してくるのかな？君の手で死ねるならそれはそれで最高な死に方。あたしはそれだけでも満足。


だって不安が消えない
（君があたしの事を見てくれないと）